【ラジオ】アレコード備忘録・2022/03/02放送分

 ついに3月、ラストスパートです! 伊集院さん曰く「残すところあと4回」つまり最終週はコーナー無しなのかな……残念ですね。ただし今日はゲストが二人。こりゃ濃くなるぞ、と思ったらその通りでした。

・「平成のお嬢さん/和田弘とマヒナスターズwith CHIHIRO」

 1991年リリースだから平成もまだ3年目、レコードではなくいわゆる懐かしの8cmシングルだ。当時は13歳、昭和と平成がまだまだ混在していた時期だと記憶している。音楽シーンを見てみると『ラブ・ストーリーは突然に』『SAY YES』『愛は勝つ』『どんなときも。』が大ヒットしてて、明らかに80年代後半とは違う雰囲気になってますね。そんな中でマヒナスターズはどう出たか?
 ……確かにマヒナスターズ節だけど、いつぞやの『襟裳岬』らしくハワイアン。海外旅行(とりわけハワイ)が盛んだったのとは無縁でもなかろう。そして伴奏も打ち込み音源なあたりにカラオケっぽさがある。そこにCHIHIROさんのパートが入り込むが、ここだけはラップというかヒップホップとダンスミュージック。しかもそこの歌詞をよく聞きゃ平成初期の流行や芸能・スポーツを盛り込んだりで、思わず「ありましたねぇ、そんなのが」とさせられる。
 つまりは、昭和のおじさんがどうにか平成のお嬢さんの気を引こうと必死な一方で、お嬢さんもおじさん達からアレコレ貢いでもらいたいというお互いの願望。マヒナスターズとラップが出会った結果、こんな風に仕上がった珍曲だ。おじさんと今時ギャル(この言い方も古いか)の掛け合いなんて、ホント平成初期を感じますわ。ああ懐かしい。

・「Oh テクノ・ギャル/バラクーダー」

 これも1980年代の「テクノ・ブーム」の産物か。なにより加山雄三ですら『メガロポリスサンシャイン』なるテクノな曲をリリースし、こちらも初期のアレコードでも紹介された。テクノ調になっても加山メロディーは全くブレが無く、実に爽快感のある名曲と化した。自分の中でもお気に入りの一曲である。

 じゃあバラクーダーはというと、イントロはとても良い……でもそこまでなんだよなぁ。テクノ・ギャルがイカしてるのは分かった。男が誰も振り向いてしまうのも分かった。気になるのはその先だよ、どういう娘なのかがその先が聴きたいんだよ! あと間奏部分でクラシックの編曲入ってるけど、元ネタは何だ? 思い出せないのが悔しい、確実に聞いたことあるのに。

・「父ちゃんが欲しい/赤城マリ」

 ガラッと変わって1960年代の曲。伊集院さんも「朝から流せるの?というか、どのタイミングで聴けばいいの?」と言いたくなる問題作のようだ。そもそも題名からして嫌な予感しかしない。で、見事なまでにその通りの曲だったが、想像のはるか上だった。
 まずイントロからして暗いのに、最初の歌詞が
「♪父ちゃんおととい 煙になって 煙突くぐって 高いとこ行った」
 いきなり重い!この時点で『涙の猟銃』に匹敵する衝撃を受け、そりゃ父ちゃんが欲しいと思うよなぁ、と考えてたら「母ちゃん待ってる 高いとこ行った」と語り始め、この時点でもうドンヨリ。しかも「あたいと坊やにゃ そば屋の屋台がおいらの命」幼い弟もいて店は屋台かよ?! しかも一番でこれだけのシチュエーションを語ってるのだから濃すぎる。もはや「父ちゃんが欲しい」どころじゃ済まないぞ。
 他所でも有名な一曲『父ちゃんどこさ行った/奈良遼子』もなかなか重々でドンヨリ(東京へ出稼ぎしてた父親が若い女と失踪し、故郷で泣いている娘の話)だったのに、それ以上のパンチをかましてくるという暗さに暗さを極めたコンボ。もう勝てねぇよ、聴いてるこっちもボロボロだよ。
 しかしそれでも幼い弟を背負いながら、それでも父母の残した屋台を守ろうとするのだからねぇ……いいよいいよ、聴いてるだけでボロボロになってる俺なんかはいいから彼女の屋台をどうにかしてやってくれ。こんな曲が今まで紹介されなかったのは惜しいが、オンエアしづらい気持ちも分かるな。最後の最後に問題作が出てきましたね、ホント。

・「栄光のチャンピオン・ベルト/柴田国明」

 柴田国明。後に二階級制覇したプロボクサーである。イントロはリングに上がる際の紹介コール。導入部はなかなか良いではないか。
 で、歌はどうかというと……うわ、普通。ほぼ棒読みなのはかのコサキンソング『白いボール』の王貞治にも通じるが、あちらは曲の軽快さとワンちゃんの歌声に合った(合わせた?)音階で結構楽しく聴けるのだ。で、こっちは音階こそ外してないが「ジャブだ!フックだ!ストレート」と叫ぶべきパートでもずっと同じトーンなのね。情感溢れる歌なのにこのギャップは何だ。チャンピオンベルトを獲った記念で出すにしても、果たしてコレで良かったのかなぁ。まあ物事には旬というのがあるから……

 ラストスパートが凄すぎるけど、おそらく来週もこんな調子だろう。もちろん、こちらも最後まで追いかけますよ!
 ではまた来週!

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