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「禁煙物語」後編

話は少しさかのぼる。確か1996年だったと思うが(その前年にコンサル会社を創業していた)親しくさせていただいていた出版のダイヤモンド社のK会長から「荒木くん、君、大阪出身だろ?関西に面白い起業家がいて、今度荒木君たちと一緒にやる起業家塾に参加して自分を一流の経営者にしてほしいと言ってきてるんだが、一度会ってみてきてくれないか?」と頼まれた。「社長室で戦国武将の旗を立てていて、実に面白いんだが」ということで、その翌月のある土曜日のお昼前に本社に伺った。

あっというまに7時間経っていた。来し方行く末ついてまさに飽くことなく語ってくれた。そして、話が面白い。さすが営業会社としてここまでになるには理由があるものだと感心した。が、もちろん課題も多い。「荒木さん、軍師契約をしてください。僕の竹中半兵衛、いや諸葛孔明になってください!」いやいや戦国・三国時代やないねんから「軍師」って言われても(笑)

ということで初対面から顧問になることが決まってしまった。それから、本当にいろいろなことがあったが、このN社長はいまも大活躍されているし、ずっとお付き合いが続いていて不思議な縁で結ばれているとつくづく思う。切れる人とは切れるが続く人とは続くんですよね。

さて、禁煙の話に戻ろう。

2011年の秋に、確か西麻布の当時良く通っていたバーで久しぶりにN社長と会った。エイベックスを辞めた経緯とか、そんな話を聴いてもらっていたんじゃないかと思う。いま比較的暇だし、なんか目標決めてやりたい気もする。なんでもいいですけど、例えば、この機会に禁煙できたらなとか、絶対無理やしとか話したら、即座に「禁煙外来いかはりますか?」と、思ってもみない具体的な提案が。「僕の彼女がクリニックに勤めててそこが禁煙外来やってて禁煙に成功している人多いとゆうてました」こういう話の流れには乗った方がいいと直感的に思ったので、すぐにアポをお願いした。

翌週、その禁煙外来クリニックを初訪問。受付に、美しい女性がいる。この人かな?あ、あの、Nさんの紹介で…「はい、荒木さんですね。こちらにご記入願えますか?」誰もいないのを確認したうえで、Nさんの彼女のかたですよね?「いまは違いますけどー、元ですね」と微笑まれた。いやいやバツ悪いやん。元ってどういうこと?Nさんつながりだと思って結構遠いところまで来たのになー。禁煙外来なら近くにもあったし。でも今更変えるのも違う気がするしな。乗りかかった舟やしなぁ…

先生は、ややぶっきらぼうだが、必要なことをはっきり説明する、僕の好きなタイプだった。問診の後きっぱりと「P社のCという薬でいきます。約7割の人には有効ですが3割の人には効きません。3割の方だったら諦めてください。」何日目から禁煙しないといけないのですか?「禁煙する必要はありません。薬が効き始めると気持ちが悪くなって煙草が吸えなくなりますから」なるほど、これは僕向きかも。

それから一週間今までにもまして煙草を吸い続けたが、全く不自由なく吸える。あーあ、3割の方にはいちゃったんだー、折角禁煙できるかと思ったのになー、遠いところまで行ってまあまあお金も使ったのになー。

ところが、その週末金曜日、もう禁煙もできないし、朝まで飲んじゃおっと、飲んで吸ってしていたら12時を過ぎたあたりでいきなりきた。「オエーッ」気持ち悪くて煙草が吸えない。遂に、念願の禁煙ができる\(^o^)/

おかげさまで禁煙に成功したことを告げたついでにN社長に「元」について訊いたら、「荒木さんと会った次の日に別れたんですわ」とのこと。一言言ってよー!でも、もし聞いていたら、禁煙外来に行ってない可能性が高く、まだ今も煙草を吸っていたかもしれないな、と思う。僕の人生って、どうもこういう運やめぐり合わせで大事なことが決まって行ってる気がする。人生は深いのか浅いのか時々わからなくなる。



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