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キングスリーグはj2くらいの年俸になりつつある

キングスリーグのマクロ面をまとめた記事に引き続き、この記事ではキングスリーグの運営スケジュールや選手の年俸など、大会としての実態についてまとめてみたいと思います。

「そもそもキングスリーグってどういう仕組みなのか?」「選手をやってみたいけどどれくらいの年俸なのか?」「オーナーになるにはどうすればいいのか?」「オーナーになるにはどれくらいの人気がいるのか?」といった疑問の答えをまとめてみたいと思います。

結論から言うとキングスリーグはかなりアメリカンスポーツに近い運営をしていて、12チームでリーグ戦をやるのが基本です。

選手の年俸はj2くらいの水準になりつつあり、女子リーグに至っては1部リーグより年俸も人気も上回り始めている状態です。

また、オーナーになるには数千人程度の同時接続があれば問題はなさそうです。興味があるなら配信者側からキングスリーグ運営にオーナーの立候補をすることも可能だと思います。

以下、キングスリーグの運営形式、年俸、配信者事情等についてまとめていきたいと思います。


どのリーグも同一のスケジュール、12チームが原則

キングスリーグ運営は世界で同じスケジュールで運営していくことを重視していると発言しているので、どの国のリーグも同一のスケジュールで行われる可能性が高いと思われます。屋内競技なのでどの国でも季節に左右されない点がいいですね。

Q: 新しいリーグは、オリジナルのキングスリーグと同じになりますか、それとも新しいものが追加されるのでしょうか?

A: はい、私たちはすべての大会が同じカレンダーを持つことを望んでおり、すべてのリーグが同じルールで運営されるようにする委員会も設置する予定です。最終的に私たちが望んでいるのは、各リーグの最高のチームが出場できる毎年恒例の国際大会です。ですから、新しい大会で各リーグから数チームを集める瞬間から、どのチームも有利にならないように、すべてのチームに同じルールを適用する必要があります。

参考記事:バルサの伝説ピケが革命的なサッカートーナメントの世界展開を発表

ただこのスケジュールが現状しっかりと定まっておらず、スペインの場合2023年1月、5月から3ヶ月かけてリーグ戦を行った後、秋にカップ戦を行って2024年1月から2023年の第3スプリットを始めてしまっています。一応Wikipediaでは2023年1月〜2024年3月までの3回のスプリットとカップ戦を含めて2023シーズンとなっています。

その後ムラッシュFCの参加したキングスワールドカップ、2024年9月から秋スプリット開始となっているので、あまり定まったスケジュールが確立しているとは言えないでしょう。

ibai氏やピケの発言を見るに3ヶ月のスプリットを年3回行い、そこにカップ戦やワールドカップを組み込んでいきたいようです。既存のサッカーと違って40分の試合なので、カップ戦を週の半ばに行っても体力的には大丈夫だったりするので、案外実現できるかもしれません。とにかく今後もスケジュールは修正されていくと思います。

他のリーグを見るに、12チームで同じスケジュールというのが絶対的な共通事項であるようです。ピケの発言通りキングスワールドカップに向けてカレンダーを調整していると思われます。そのため、最初に12チームが選ばれた後は、チーム数が増減する可能性は低いと思われます。どの国のリーグも平等に12チーム、アマチュアの試合であることから、サッカーのチャンピオンズリーグのようにリーグごとにワールドカップの出場枠が異なるようなことにはならないと思われます。

また、降格がないのも重要で、リーグ内の格差が生まれにくいシステムだと考えられます。ドラフトもある点からアメフトなどのアメリカンスポーツに近いと言っていいでしょう。選手の給料は一定の金額が定められているため、太いスポンサーやオーナーをつけたチームが勝つマネーゲームにはなりません。

既存のスペインや北中南米リーグの場合、12チーム総当たりで66試合を行います。総当たり戦終了後1位から10位によるトーナメントが開かれ、優勝したチームがスプリット王者となる仕組みを取っています。5位から10位は予選から、2位から4位は準々決勝から、1位は準決勝から参加できるようです。

12チーム中上位10チームはリーグ戦終了後もリーグ優勝の可能性があるため、最後までどうなるかわからないハラハラ感を楽しむことができます。リーグ戦で10位に終わってもトーナメントで4連勝すれば優勝できるのは面白いですね。優勝するにあたってリーグ戦の順位は相当重要なため、少しでも優勝する可能性を上げようとどのチームも最後まで熾烈な争いをします。この点は観客のことをよく考えていると思います。

また、準決勝からスタジアムを使うというのが定番のスケジュールのようです。

そのため、1スプリットである3か月間に行われる総試合数は75試合が基本のようです(1チームが行うリーグ戦の試合数は11試合、トーナメントで9試合)。システム上、ホーム・アウェイという概念が既存のサッカーのようにありません。試合が行われるのは3ヶ月の1スプリットの週末のみで、ずっとキングスリーグの配信をしなければならないわけではありません。多くの配信者を見るに、普段はゲーム実況などをしていて週末はキングスリーグの配信をする人が多いようです。

そしてこの形態をどうやらフランチャイズとして運営しているらしく、フランスではリーグ開催を求めて各地域がスタジアム建設を求めている状態です。

パリ、リヨン、マルセイユなどフランスの約10都市がすでにフランチャイズを創設し、2025年からキングスリーグチャンピオンシップに参加する申請を送っている。

参考記事:キングスリーグ:2025年1月からフランスで大会開催、ジェラール・ピケが発表

確かにキングスリーグが現実の地域に恩恵を与えるとしたらスタジアムが建設される地域が一番大きいでしょう。逆に言うと現実との接点がスタジアム1つくらいしかなく、本当に固定費の少ないビジネスだと思います。日本でも関東近郊にスタジアムが建設されると思いますが、どこに建設されるかは本当に気になりますね。

セブンイレブンのような多店舗展開を行っていると考えると、リーグの展開速度がなぜこんなに早いのか納得もできます。

まとめると以下のようになります。

キングスリーグの運営形式は世界共通の形を目指している
年間で3スプリット実現させたいようだが、まだスケジュールは不安定
・12チームで行うのが共通事項
・キングスワールド
カップに向けてカレンダーを調整している
・最初に12チームが選ばれた後は、チーム数が増減する可能性は低い
・国ごとにワールドカップの出場枠が異なるようなことにはならない
・降格がなく、リーグ内の格差が生まれにくい
・総当たり戦終了後1位から10位によるトーナメントが開かれ、優勝したチームがスプリット王者となる
・12チーム中上位10チームはリーグ戦終了後もスプリット優勝の可能性がある
・準決勝からスタジアムを使う
・1スプリットである3か月間に行われる総試合数は75試合が基本
・試合が行われるのは1スプリットにつき14日間
・フランチャイズ形式のため世界での展開が速い

キングスリーグはプロで日の目を浴びなかった選手の再生工場

キングスリーグに出場している選手は、基本的に元プロが多く、海外サッカー好きなら一度は聞いたことあるようなプロチームのユース出身が多いです。

とはいえ、1部リーグで活躍していたような選手ではなく、4部や5部などあまり日の目を浴びないリーグで薄給でプレイしていた選手たちです。1部のチームに入っていたが試合には1試合にも出れず契約を打ち切られたり、ユース出身だったけど放出されてしまった選手がキングスリーグに多数集まっています。

4部や5部を転々としていた選手がツイッチで人気者に

サイヤンズの10番のダニリニャレス選手はビジャレアルのユースを放出された後、4部や5部のクラブを転々としていた


例えば2024冬期スプリットを優勝したサイヤンズの10番のダニリニャレス選手は元々4部や5部を転々としていた選手で、契約を切られ無職になることもしばしばあるような選手でした。しかしサイヤンズで1年程度活躍し、優勝も経験した今はツイッチで同時接続数百人程度の人気配信者になり、後述する選手の給料を合わせると結構な金額を稼いでいると思います。キングスリーグのおかげで人生が好転した選手と言えるでしょう。

このようにキングスリーグは注目度が高いため、youtubeやtwitchとのシナジーで一定の金額を稼ぐことも可能なようです。今回のキングスワールドカップ日本代表でもリニャレス選手のように人気が出た選手はたくさんおり、単純な給料以外での魅力もありそうです。

選手の給料は現状400万円程度で、j2程度になりつつある

注目が集まる以外にも、キングスリーグではある程度の金額が支払われます。スペインキングスリーグでは現在スプリット期間中の給与総額制が導入され、1年間フル稼働すれば125万~380万円が計算上もらえる状態となっていました。幅があるのは、試合ごとに最優秀選手にはボーナスが支給されること、カップ戦で早期敗退した場合給与が支払われないことがあります。ただ、この金額でもスペインでは十分なようで、選手がかなり集まっていました。

すべての給与が平等ではなくなったため、選手たちは3 か月間で 2,500 ~ 7,500 ユーロを手に入れました。つまり、今後もこの条件が維持され、 12か月間に3回のスプリットが行われる場合、 1年で 7,500ユーロから2万2,500ユーロの収入を得られる可能性がある。キングスリーグは、これらの給与を支払うために総額200万ユーロを投資すると発表した。

そしてキングスリーグは2024年9月から始まる秋スプリットのため、新規登録選手に12000ドル(190万円程度)の奨学金を配布すると発表しました。

🚨 NOVEDADES DEL MERCATO DE KINGS Y QUEENS.

👉 Los jugadores descartados podrán ser escogidos por cualquier equipo a cambio de la tercera ronda del draft.
👉 Esta decisión se debe comunicar entre el 1 y el 3 de julio.
👉 El próximo draft será en septiembre y habrá mesas de… pic.twitter.com/rPFZn98wNj

— Kings League InfoJobs (@KingsLeague) June 26, 2024

・マドリッドでトライアウトを開始します (7 月 11 日):
・上位 3 名が次のドラフトに参加します。
・クラブが彼らを選んだ場合(ドラフトで選手登録された場合)、バルセロナに移籍するための 12,000 ドル(190万円相当)の奨学金€が与えられます。

単純計算で選手の年俸の幅は315〜570万程度になり、j2の平均年俸程度の金額だと思います。j3でアマチュア契約するより良いでしょうし、選手によっては高卒でj1に入ってc契約するよりも良い可能性があると思います。

キングスリーグが上手くいくか定かでない日本で最初からこの年俸になるとは思いませんが、上手く行けばいずれこれくらいの金額にはなるでしょう。今後も年俸は上がっていくと考えると本当にj2よりキングスリーグのほうが収入面で上回る現象が起きるかもしれません。

クイーンズリーグ(女子リーグ)は女子1部リーグを上回り始めている

女子リーグの場合、1部リーグより金周りがいいため選手が続々とキングスリーグに参加しているようです。

イバイ氏は「クイーンズリーグの選手の中には6~8か月で約1万5000ユーロの選手もいるが、クレイジーに思えるかもしれないが、これは女子1部リーグの給料だ」と述べた。

およそ女子1部リーグ並みの給料を6-8か月で稼げるので、女子1部から選手が集まってくる理由もうなずけます。

女子リーグもキングスリーグの本配信で同時接続3万人くらい(男子は5万人程度)だったので、普通に人気があると言っていいと思います。既存の11人制サッカーにおける男女程の注目度の格差は感じませんでした。

そして2024年秋からは、女子リーグにも男子と同額の奨学金が導入されます。 

これまでの記事内容をまとめると来シーズンからは本当にスペイン女子1部リーグよりクイーンズリーグのほうが収入で上回りますし、人気の上でも順位が逆転するのではないかと思います。女子については本当にサッカーよりキングスリーグ(クイーンズリーグ)のほうが上回り始めていると思います。

トライアルの競争は熾烈

日本でキングスリーグを開催する場合も、最初は11人制サッカークラブの元プロ選手が集まってくると考えられます。リニャレス選手のようにある程度プロとしてのキャリアに頭打ちが見えている選手が転向してくるのではないでしょうか。

しかし、1チームの選手は大体15-18人なのでリーグ全体で登録される選手は200人程度であり、スペインでは1万1000人が応募し倍率は50倍を超えています。今回のワールドカップでキングスリーグの認知度が上がったことから日本でも熾烈な倍率争いになると思われます。個人的にはリニャレス選手のように11人制で日の目を浴びなかった選手がキングスリーグで活躍するような姿を見たいです。

ちなみに選手はドラフト制で各チームに登録されます。

ピケと彼のパートナーは、新しい7人制リーグでプレーするためにオンラインでプレーするようアマチュアサッカー選手を招待した。 11,000名を超える応募者という圧倒的な反響を得ました。

参考記事:破壊的な戦略家: キングスリーグ

100億の投資に成功しているわりに給料が低く感じますが、サッカーの移籍市場がインフレして各チームの財政を圧迫していることを考えると、このように一律で給与を配布する形式にしたほうがいいのでしょう。

昇給ペースは速く、当初キングスリーグが人気になるかわからなかった2023年1月には1試合1万2000円(75ユーロ)の単発バイトのような給料であったことを考えると、今後もどんどん昇給していく可能性があります。

キングスリーグが今後数年以内に発足した場合、j3-j2並の給与体系をもつスポーツリーグになる可能性が高く、既存のスポーツ産業の中でどのような位置になるのか期待です。キングスリーグだけで食べていけるようになる可能性もあるかもしれません。

参考記事:キングスリーグの選手はいくら稼いでいますか?給料と試合ごとの金額

参考記事:クイーンズリーグでもキングスリーグと同じ料金がかかりますか?これがピケの報酬だ

参考記事:キングスリーグの新年俸は年間上限15,000ユーロ

変化する選手のキャリア

ただ、スプリットごとの期間給制に移行したのち、ピケは給料を受け取る条件としてキングスリーグとの専属契約、すなわち他のサッカーチームとのプロ契約しているので、キングスリーグに出場する際は専業でやる必要があります。

このため現在スペインサッカー界では11人制サッカーとキングスリーグの間で選手の取り合いのような現象が起きており、キングスリーグに残るものや11人制のプロキャリアに戻る選択をする選手が現れています。そしてキングスリーグ側の選手の扱いに対する規則が追い付いていない側面は否めないでしょう。

例えば上述の独占規定が定められた後4部程度のクラブからキングスリーグにレンタルされていた選手の買収条項を巡ってトラブルが起きていたりなど、既存のサッカーシステムとの兼ね合いは必ずしもうまくいっていないようです。この辺はもうリーグの黎明期で致し方無いことも多いので、選手側も腹を括ってキングスリーグに参加する必要があると思います。

選手のバイアウト

2023年シーズンの第2スプリット終了後、キングスリーグの選手には独占権が必須となり、その結果、一部の選手は11人制サッカーのキャリアを続けるために自主的に大会を離れ、他の選手は残留を選択した。2023年8月、テルセラ・フェデラシオンFEグラマは、ポルシノスFCとxBuyerチームが、以前リーグで活躍していたグラマの選手2人、ナディル・ルアとアドリ・ヒメノの買収条項を発動し、2人がグラマを離れ、キングスリーグでのみプレーし続けるようにしたことを受けて、キングスリーグに正式な規制を適用するよう求めた。[25]

参考記事:キングスリーグ-wikipedia

キングスリーグの日本開催に必要な条件

ここまでキングスリーグが急拡大している理由は、そのビジネスモデルにあります。フットサル施設程度の専用スタジアムを1つ作り上げ、審判と機材やスタッフを用意し、12人の配信者と契約し、12チームを作ればリーグが開催できてしまうからです。他のスポーツと比較してリーグ創設に必要な条件はかなり低いと言っていいでしょう。ちょっと固定費が必要なesportsと考えたほうが適切だと思います。

別記事でまとめたピケの発言によると、キングスリーグ創設に必要な期間はおよそ3か月~6か月ほどだそうです。これはjリーグが創設に5年かかったこと、bリーグでも1年5か月かかったことを考えると相当早いと考えられます。時間のかかるスタジアム建設が1回だけで済み、配信者の視聴者がそのまま各チームのファンになるので集客コストも低く抑えられる点が大きいのでしょう。

参考記事:Bリーグ創設、川淵三郎氏が見せた「剛腕」
参考記事:B.LEAGUEの誕生と展開藤原 歩

むしろどれだけ人気配信者と契約できるかが大事であり、キングスリーグ運営の一番大事なところだと思います。これからどのようにオーナーが選ばれるのかと、キングスリーグがどのような体制で運営されるのかについてまとめてみたいと思います。

キングスリーグのオーナーに選ばれるには

キングスリーグの各チームは1つの株式会社

こちらの記事を読むとキングスリーグの各チームは独立した会社なようで、プレジデントは正真正銘のオーナー(社長)です。一般的なプロサッカーチームと資本制度は変わらないと思います。この記事のperixitaa氏のように株の一部売却をすることも可能です。

どうやってキングスリーグのオーナーが決まるのか?というとまずはキングスリーグを運営するコスモス社から未公開株の譲渡又は買取を打診される形になると思います

ただ、過去のリーグ創設時の記事を読んでいると運営からの打診だけで決まったとも思えません。

こちらの動画ではグアテマラのyoutuberが自国もキングスリーグに参加したいと表明しており、配信者側からアピールする道もあるのだろうとは思います。(この動画の配信者は残念ながらオーナーにはなれませんでしたが)

キングスリーグアメリカの創設時の記事を読むに基本的には向こう側から打診される形になると思いますが、ある程度人気があれば普通に話は回ってくると思いますし、こちらのyoutuberのようにリーグ開催が決まった段階でコスモス社に逆オファーしてもいいと思います。むしろ、今の時点でオーナーを募集していないかメールで問い合わせてもいいのではないでしょうか。

参考記事:ペルシータはロス・トロンコスの一部を売却し、チームに何が起こるかを説明

オーナーの責任は大きい

もしキングスリーグのオーナーになる場合、配信以外の能力も必須と言えるでしょう。どういう経営スタイルにするかもオーナー次第ですし、配信者の意向がチームに大きく影響するのは確かです。

ドラフトやチーム運営で配信者以外の仕事をすることも多くなるでしょうし、pkもあるのでオーナーが積極的に自分のチームに関わっていくのは大切だと思います。チーム関係者と上手くやっていけるコミュニケーション能力などは必ず求められるでしょう。オーナーが選手を批判して揉め事になるケースなどは最悪のパターンと言えます。

スペインのキングスリーグを見ているとどのオーナーも数年単位で自分のチームを作っていこうという空気を感じますし、1人の社長としてチームを引っ張っていく覚悟が必要です。

また、年間6か月、毎週土日のゴールデンタイムをキングスリーグの配信にあてる必要があるので、配信者としての負担は大きそうです。加えてカップ戦やドラフト、ワールドカップもあると考えると年間でそれ以上の時間をキングスリーグに費やすことになります。こういった条件を踏まえても挑戦したい人がオーナーになるべきでしょう。

オーナー配信者の人気はそこまで高くなくてもいい

とはいえ、オーナーの条件はそこまで厳しいわけでもないようです。

今回のワールドカップに参加した配信者を見てみると、軒並み同時接続数が数万単位の配信者ばかりで、最高で50万人近く同時接続を集める配信者もおり、それくらいの配信者じゃないとオーナーにはなれないのかと思いましたが、実態はだいぶ違うようです。

今回日本代表のオーナーだった加藤純一さんやibai氏のように普段から数万人の視聴者を集めている配信者は世界でも一握りであり、大体は普段から同時接続1000~5000人程度のオーナーが多く、普段の平均同時接続が3桁でもオーナーをやっている配信者がいました

配信者ではなくキングスリーグに興味がある層は一定数いるようで、試合になるとどんなに少なくても4000人くらいは勝手に見るようです。毎試合j2クラブくらいの集客は勝手に行われるので、そこから自チームや配信にいかに定着させていくかは、配信者やチーム運営の見せ所だと思います。マスコットキャラクターで視聴者を惹きつけるクラブも多いですし、サイヤンズのようにどこかで見たことあるかっこいいユニフォームを作るのも大事でしょう。

上述したように一部株式を売却して共同オーナーになる道もありますし、個人的には思ったよりオーナーの門戸は広いと思います。かといって誰でもオーナーになる資格があるかと言われるとそうではないと思います。コスモス社側から見ればちゃんとビジネスの相手としてふさわしい配信者を選びたいでしょうからね。

日本国内のサッカー人気の懸念

ただ、キングスリーグの日本開催における大きな懸念点として日本でサッカー人気が他国と比べ根付いておらず、本当にコンテンツとして人気が出るのか?という問題があります。

これまでリーグが創設された国で展開が上手くいった理由は、各国で元々サッカーが人気で、サッカー文化が根付いていたのが大きいと思います。スペインの場合人口の2%がサッカー選手であり、国民の7割が娯楽としてサッカーを楽しんでいるため、そもそも日本と大きく土壌が違う面はあります。

参考記事:まさに国民的スポーツ!スペインのサッカー事情

とはいえ、スペインなどのサッカー大国と比較すると劣りますが、日本は世界的に見てもサッカーが人気の国です。比較のために各国リーグの平均観客動員数を上げたいと思います。

参考記事:世界42カ国51リーグ「平均観客動員数ランキング」 1位は独1部、J1、J2の順位は?

この中でjリーグは世界12位、1部リーグのみなら10位であり、実はかなりの高順位です。ドイツやイングランド、米国に次いでリーグを設立する国としてはトルコなどと並ぶ候補だと思います。

私としては、キングスリーグに興味はないけど配信者が好きだから見てみる、配信には興味ないけどサッカーが好きだからキングスリーグを見てみるといった相互のシナジーを利用して上手く興味が集まってほしいと思っています。

キングスリーグはどれくらい日本での開催に興味があるのか

ここまで日本でキングスリーグができたらという前提で記事を書いてきましたが、日本開催については特に何も決まっていないのが現実です。

ただ、キングスワールドカップ以前の普通のスプリットの際にドリブルデザイナーの岡部選手が招待されていたり、もともとかなり日本で開催するのに意欲的な姿勢は伺えます。

参考記事:元スペイン代表DFジェラール・ピケが主催 7人制サッカーリーグ「キングス・リーグ」にドリブルデザイナー・岡部将和がアジア人初出場

今回SNS等で海外の意見を調べていて感じたのは漫画・アニメ文化の影響で日本について知っている人が相当多いということでした。ムラッシュFCの試合前にも謎のアニメ演出がありましたからね。

ナルト、ドラゴンボール、進撃の巨人、東京グール、ポケモン、キャプテン翼等々何かしらの形で日本の文化が好きな人はかなり多く、彼らにとっては身近な国だったのだと思います。日本の参加に反対する意見は本当に1つも見なかったですね。

別の記事で日本でキングスリーグというビジネスが上手くいくかわからないと書きましたが、招待してくれた以上日本でキングスリーグを開催したいのは間違いないと思います。

今後、無事に日本でキングスリーグが開催されることを願いますし、いつかはjリーグに匹敵する新しいリーグが出来てほしいと思っています。

そのためにも日本の選手や視聴者、配信者側がちゃんとキングスリーグについて理解しておくのは必要だと思いますし、その際にこの記事が役立ってくれればいいと思っています。

ここまで読んでいただきありがとうございました。


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