アラケン

その昔、新宿で<100人の手下を持つ伝説のスカウトマン>と呼ばれた男がいた・・・。 ヤ…

アラケン

その昔、新宿で<100人の手下を持つ伝説のスカウトマン>と呼ばれた男がいた・・・。 ヤツの名は「アラケン」。 いまやデリヘル「輝き」グループの総帥に君臨している。 ヤツはいかにして<伝説のスカウトマン>となり、そして「デリヘル王」となったのか。

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  • 炎の男の実録檄白手記!~俺の備忘録~

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炎の男の実録檄白手記!~俺の備忘録~最終話

 思った以上にアラケン軍団はお荷物だった。  全員がクビになりかけた劣等生ばかりなわけで実力が無いのはわかってたんだ。  だけどまさかこれほどとは思わなかったんだよね。  俺の経験を元にしてスカウトのノウハウを教えたらなんとかなるんじゃないかと甘く考えていた。  いやほんと甘かったね。  あいつらやる気が無いって言うか飲み込みが悪いんだよ。悪すぎる。    それにだよ。  軍団はやたら人数が多いから一人一人に直接レクチャーするわけにはいかないんだ。  よくわかったよ。  

    • 炎の男の実録檄白手記!~俺の備忘録~Vol.17

       アラケン軍団は思う以上にポンコツだった。  無理はない。  もともと業績をあげられずクビになろうとしていた野郎ばかりを集めたわけだからね。  みんなはさ、  よりによってなんでそんな連中を?  って思ったはずだ。  しかもだよ、押し付けられたんじゃない。自らの意思で奴らを囲ったんだからさ。  さすがのアラケンもやきがまわったって言われたよ。  まあ、言われるだけのことはあるなって。  朝、集合した軍団の連中の顔を見ていると、  「なんでこんな奴らを?」 とため息が出てしま

      • 炎の男の実録檄白手記!~俺の備忘録~Vol.16

         俺のスカウトのやり方はどこまでいっても我流だった。  かつて出会い系でやっていた事、キャバ嬢の送り迎えのバイトで培った事、それが全てだったんだ。  俺は出会い系で頑張っている時から以下の事をモットーにしてた。 ○女性を見かけで差別しない。 ○女性の話をじっくりと聞く。 ○女性の素性や性格、連絡先などの情報をこまめにメモする。 ○メモを整理整頓してデータ化しファイルで管理する。  スカウトを始めた頃はひたすら女の子の話を聞いていた。それをメモしまとめたアラケンファイルは、

        • 炎の男の実録檄白手記!~俺の備忘録~Vol.15

          悪い噂って言うのはすぐに広まるもんなんだ。  俺が紹介料をピンハネしてるなんてあり得ないことだけど「噂」はそれが真実である必要はない。 なんとなくの信憑性があればそれでいい。 あいつならやりかねないと思わせるだけでいいんだ。  相手を噂で追い込む。  風聞は風に乗って走る。  たちの悪いことに、いったん走り出した噂はとまらないんだ。  Kもそれをよくわかっていて、実に上手く風聞を撒き散らすわけよ。  スカウトマンもKくらいのベテランになると息のかかった店長やホステスなんかが

        炎の男の実録檄白手記!~俺の備忘録~最終話

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        • 炎の男の実録檄白手記!~俺の備忘録~
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          炎の男の実録檄白手記!~俺の備忘録~Vol.14

          俺の前に、立ちはだかった男。そう、その名はK!  俺がスカウトを始めてから事あるごとに俺をディスってた男だ。  喫茶店でサボってるとか、マブイ女を逃してブスにばかり声をかけてるとか、ね。  俺のやってる事を監視しながらネチネチボスに報告してたんだよね。    多分、俺の事は半ばバカにしてたんだと思うよ。どう考えてもスカウトとしては思えない風采だったし、落ちこぼれなやり方だったからね。  こんな野郎すぐに自滅するはずとたかをくくってたんだろうと思う。    そんな俺が結果を残

          炎の男の実録檄白手記!~俺の備忘録~Vol.14

          炎の男の実録檄白手記!~俺の備忘録~Vol.13

           路上での声かけが中心となるスカウト業。冬場は大変なわけ。身体が芯から冷えるんだよね。  もう喫茶店で暖まりたい一心で女の子に声をかけてた。  別に喫茶店でスカウトするわけじゃない。口説くわけでもない。お茶を飲んで世間話をするだけだよ。  女の子って、人に聞いてもらいたい話って幾つもある。それを根気よく聞いてあげるだけ。  もちろん、スカウトマンってことは伝えるし、お店を紹介することも出来ることも伝えるよ。  ごり押しはしないけどね。  スカウトの世界っていうのは非常に狭

          炎の男の実録檄白手記!~俺の備忘録~Vol.13

          炎の男の実録檄白手記!~俺の備忘録~Vol.12

          そんなこんなでいろいろあって「スカウトマン」になってみたものの、スキルがないから何をしていいのかわからない。  とりあえず事務所に顔を出して繁華街に出掛けるわけよ。普段着でね。  で、アルタ前辺りでじっとしてる。そんな毎日だった。  実は「an・an」とか「non・no」とかの女性誌を見てスカウトマンの求人を知ったわけだけど、事務所が六本木と新宿歌舞伎町にあった。  さあどちらにしよう?  悩んだ末に、六本木は俺に合わないと歌舞伎町を選んだ。その選択が正しかったのかどうか。

          炎の男の実録檄白手記!~俺の備忘録~Vol.12

          炎の男の実録檄白手記!~俺の備忘録~Vol.11

          出会い系を未練なく卒業してスカウトマンになったのはいいけれど、最初はそれなりに戸惑った。  絶対になりたいと思ってスカウトになったわけじゃ無かったしね。  何をやるにしても俺の場合たいがい成り行きなんだよ。  本気じゃない。  だからだろうと思うけど、事を成し遂げたことなんて1度も無かった。  当然、達成感とか感じたことも無い。  早稲田大学でサークルに入って政治の現場に触れたけど、それだけで終わり。結局ものにならなかった。  司法試験なんかもそうだった。弁護士にでもな

          炎の男の実録檄白手記!~俺の備忘録~Vol.11

          炎の男の実録檄白手記!~俺の備忘録~Vol.10

          未練も何もなかった。  出会い系から卒業した時の気持ちは清々しいものだった。やり残しなんて無かった。  燃え尽きた感じ。    さあこれからどうしようと。出会い系で費やされていた時間が丸々余るわけだから、もう暇で仕方ない。    ゴミにたかるハエじゃないけど、新宿に出張っては、あてもなくウロウロしてた。  遅れてきたモラトリアムって感じだった。  出会い系で頑張ってた時は「女性とねんごろになる!」そんな明確な目的があったのに、もう何も無いわけよ。    たからと言って就職なん

          炎の男の実録檄白手記!~俺の備忘録~Vol.10

          炎の男の実録檄白手記!~俺の備忘録~Vol.9

           これといって目標もなく、ただ家を出たいとう理由で新宿に来てた家出娘のA子ちゃん。  取り敢えず部屋に連れて行ってやるだけのことはして、家に戻した。  俺からしたらいつものパターンだよね。    俺なりのルールがあって。出会い系で知り合った女性には「情」をかけない。  もちろん、相手の気持ちとか立場とかを慮るのは大事だよ。でも、過剰に人の生き方に土足で入り込むことはご法度だと言い聞かせてる。  情に流されるとろくなことはないんだから。  で、そんなA子ちゃんからメールで連絡

          炎の男の実録檄白手記!~俺の備忘録~Vol.9

          炎の男の実録檄白手記!~俺の備忘録~Vol.8

          その頃の俺は、出会い系で引っ掛けた女性との待ち合わせやアルバイトの都合とかでよく新宿に出てたんだよね。  その日も新宿の歌舞伎町をぶらついてて。そんな時、たまたま出会ったんだ。  その子に。  ……仮にA子ちゃんとしときましょうか。  まだ18歳で、少しぽっちゃりしてて、笑顔が可愛らしい子だった。  彼女、歌舞伎町の路地で変なおっさんに絡まれててね。 キャッチでもないし、ホスト風でもないほんと普通の中年の親父に。  ひょっとしたらナンパだったのかもしれないけどね。  そいつ

          炎の男の実録檄白手記!~俺の備忘録~Vol.8

          炎の男の実録檄白手記!~俺の備忘録~Vol.7

           出会い系でナンパを繰り返していたのはおそらく3年から4年くらいだったと思う。  20代も半ばを過ぎたくらいになんとなく遠ざかっていったんだけど、その期間は俺にとって凄く大事だったんだと今更ながら思ってる。  人間性が磨かれたというか、よい意味で人生経験を積ませてもらった。  出会い系に感謝してるよ。  長年、出会い系で頑張ったおかげで幾つか対人関係の  「コツ」  みたいなものを会得したように思うね。  スカウトマンになった時に捨ててしまったけど、俺は出会い系で会った女の

          炎の男の実録檄白手記!~俺の備忘録~Vol.7

          炎の男の実録檄白手記!~俺の備忘録~Vol.6

          さっきまで奥さんの暖かい肉体を抱いていたと思ったら、脱いだ服を抱えてベッドの下で震えている俺がいる。  突然の旦那の帰宅。  天国から一転しての地獄だった。とんだアンダー・ユア・ベッドだよ。  床に顔をつけながら、薄目を開けて部屋の観察していると黒地のズボンと高級な靴下が視野に入った。  おそらく旦那の足だろう。  それにしても高そうな靴下だ。シルクか。  「や」の付く自由業の人が穿く靴下は一味違うなと妙に納得したね。  みしっ。  ベッドが軋んだ。  旦那が横になったん

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          炎の男の実録檄白手記!~俺の備忘録~Vol.5

          そう、「出会い系」で危険な目に合ったことは一度や二度ではないよ。  正直命の危機を感じたこともあった。自分でも思うけど、よほど女好きでないと「出会い系」なんてとっくに卒業してるよ。  ほら、司法試験から脱落して、モラトリアムな日々を過ごしていた俺だろ。  ただなんとなく灰色な毎日が過ぎていく。日々、灰色から透明になっていく自分がいる。生きてるのか死んでるのかすらわかんない自分が。  だから。    なんとか自分というものの存在証明がしたかった。   そのためには「自信」が

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          炎の男の実録檄白手記!~俺の備忘録~Vol.4

          果報は寝て待て……。  まさにこれだよ。出会い系で禁物なのは「焦り」。  それがわかってたから、入れ食い状態でメールが来たけど、慌てなかった。  早く出会いたい、今すぐデートしたいと気がせくあまりやたらと自分をアピールしたりするのは最低。  先方から色よい反応があっても、グッと我慢の子だよ。  舞い上がって  「会いたい会いたい」  としつこくメール責めにするのはよくないんだ。  ほんと、よくない。  無事に何回かのメールのやり取りがあって、さあ会いましょうとなる。  

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          炎の男の実録檄白手記!~俺の備忘録~Vol.3

          高校から早稲田大学に入って、しばらくは政治サークルにはまったんだ。高校はナンパに明け暮れていたけど、大学時代は結構真面目に政治を勉強していたんだよ。  司法試験も受けて、末は政治家か弁護士にみたいな時もあった。  で、司法試験に失敗したんだね。  周りの仲間がどんどん立派になっていくのに、俺だけ取り残された感がはんぱじゃなかった。  ほんとのモラトリアムが始まった。24歳だったよ。  政治が、だめなら性事というわけじゃないけど、出会い系にのめり込んでいったわけさ。

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