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アニメ『SHIROBAKO』に学ぶ「やりたいこと症候群」から抜け出す方法

ふと、ねとらぼを読んでいると『SHIROBAKO』のキャラクターランキングが出てきました。

僕はこのアニメがとても好きで、何度も見ています。特に、仕事で壁にぶつかったときは見直すことが多いです。何度見ても『SHIROBAKO』からの学びは途絶えません。

今回は主人公の宮森のストーリーを追うことで、「どうやったら、やりたいことが見つかるか」について書いていこうと思います。

就活ではもちろん、転職でも多くの人が患う「やりたいこと症候群」。「自分がやりたいことは何なのか?これなのか?」と脳内で無限ループしてしまう、、そんな経験がある人も少なくないはず。


『SHIROBAKO』を見れば少しはやわらぐと思いますので、もし症候群に陥っているのであれば、ぜひ、『SHIROBAKO』をご覧ください。

※この記事には一部ネタバレがございますのでご承知おきください

SHIROBAKOとは?

本題に入る前に『SHIROBAKO』を知らない人のために概要を紹介しておきます。(知っている人は読み飛ばしてください)

2011年制作の『花咲くいろは』に続く、P.A.WORKSの「働く女の子シリーズ」第2弾。本作は制作進行・アニメーター・声優・3DCGクリエイター・脚本家志望としてそれぞれアニメーション業界に入って夢を追う5人の若い女性を中心に、作品の完成を目指して奮闘するアニメーション業界の日常を描く群像劇である。キャッチコピーは「アニメーション業界の今が、ここにある。」。
題名の『SHIROBAKO』は、制作会社が納品する白い箱に入ったビデオテープを指す映像業界の用語である「白箱」に由来する。白箱は作品が完成した時に関係者が最初に手にすることができる成果物であり、様々な技能を持つスタッフが協力しあい、困難を乗り越えた証でもある。

https://ja.wikipedia.org/wiki/SHIROBAKO

端的に言えば、アニメ制作会社のお話です。『SHIROBAKO』は大きく3つに分かれており、それぞれで、アニメ制作に関わる人の苦悩や喜びが描かれています。

テレビシリーズ前半(1 - 12話)『えくそだすっ!』制作のお話 
テレビシリーズ後半(13 - 24話)『第三飛行少女隊』制作のお話
劇場版『空中強襲揚陸艦SIVA』制作のお話

この作品の一番の魅力は、自分が見たときのフェーズに応じて面白さが変化するところにあります。

新卒のころは主人公である制作進行の宮森に自己投影するし、ある程度仕事になれてくると矢野さんや小笠原さん、そしてさらに成長すると監督や丸川社長に投影先が変わっていくと思います。そのため、何度見返しても面白さが続きます。だからこそ、放映から7年以上経過した今も愛されている作品なのではないでしょうか。

どうやったら、やりたいことが見つかるか?

さて、『SHIROBAKO』の紹介を終えたところで、本題に入ります。
この記事のテーマは 「どうやったら、やりたいことが見つかるか?」です。見つけ方は1つではないと思いますが、1つの答えとして「自分で決める経験を積む」ということを、僕は『SHIROBAKO』から学びました。少し長いですが、順を追って『SHIROBAKO』のストーリーを追ってみます。

11話「原画売りの少女」 〜宮森の就活時代〜

11話「原画売りの少女」では宮森の就活時代が描かれています。

ザ・ボーンの面接では

〜中略〜
伊波(ザ・ボーン社長)
「でっ 今回改めて業界に 入りたいと思ったと」
伊波「やってく自信はあるの?」
宮森「あります! なんでもやります やらせてください」
伊波「はあ〜 なんでもやるって言葉 俺嫌いなんだよね」
宮森「ああっ…」
伊波「それってつまり やりたいことがないってことだよね」
宮森「ああっ…」
〜中略〜

『SHIROBAKO』11話「原画売りの少女」より

そして、宮森はあっけなく、お祈りをされてしまいます。『SHIROBAKO』には宮森以外にも同年代のアニメ制作に関わるキャラクターが4人登場するのですが、その4人は皆何かできる人たちでした。えまっちは絵が描け、ずかちゃんは声優を目指し、みーちゃんは3Dクリエイター、りーちゃんは物語が書けます。そんな中で、宮森は何もできない自分にモヤモヤしながら就活で苦悩していました。

一方でムサニの面接では、

〜中略〜
丸川(ムサニ社長)「他にも どこか制作会社 受けた?」
宮森「あっ はい 採用していただけませんでしたが」
丸川「おお そっか… なんでか考えてみた?」
宮森「受けたところが G.I.STAFFとか サンアップとか ザ・ボーンとか レベルが高いところばかりだったので」
丸川「それでムサニにしたんだね」
宮森「えっ、あっそのムサニがレベル低いとかじゃなく 御社が自分に合ったレベルじゃなくて… あ〜」
丸川&渡辺(ナベP) 〜笑顔〜
〜中略〜

『SHIROBAKO』11話「原画売りの少女」より

ムサニは対比されるかのように、優しい感じの面接です。そして、宮森はこのやり取りで採用されます。会社によって素直な人を取る会社もあれば、できる人を取る会社もあります。会社が違えば、人は違うのです。


21話「クオリティを人質にすんな」 〜宮森デスク時代〜


そして、採用された宮森は制作進行として2年目に入りデスクになります。

居酒屋でザ・ボーン伊波、竹倉とナベPが飲んでいるところに、突然宮森が呼び出されます。

少し脱線するのですが、飲んでいる居酒屋でバイトする声優の卵のずかちゃんが、お酒を宮森に出すときに、宮森と挨拶を交わします。

そこで、ザ・ボーンの竹倉が知り合い?と聞くのですが、

宮森が「彼女は声(せい)… 」と声優であることを伝えようとするのを、宮森の肩を叩きそっと首を振るずかちゃん、、

ここは、ずかちゃんがかっこいいなと思うシーンなんですよ。どういう感情なのかわからないのですが、そういう形で仕事を取りたくないのか、居酒屋はそういう場では捉えていないのか、悲しげな顔で首を振るずかちゃんにぐっときたシーンです。どこかいつも闇を抱えているずかちゃんが好きになるシーンです。

話がそれましたが、その後も会話は続き

ザ・ボーンの伊波社長に再度詰められます。

〜中略〜
伊波「…で 今は何ができんだよ」
宮森「えっ ああ… 私 今も これができるっていうのは 何もないんですけど」
伊波「何もねえのかよ」
宮森「でも みんなにいいアニメを作ってもらえるよう 頑張りたいです!」
〜中略〜

『SHIROBAKO』21話「クオリティを人質にすんな」

ここのシーンで2年目にしてようやく宮森が、自分のやりたいことの兆しを見つけるのです。そして、ここから無事アニメを作り切り、最終話は大団円で終わります。

ただ、TV版『SHIROBAKO』が終了した次点では、まだ宮森は22か23歳、ここでは本当にやりたいことは見つかり切っていなかったように感じます。


劇場版『SHIROBAKO』 〜宮森ラインプロデューサー時代〜


さらに、劇場版では時間が進みます。個人的にはここで、初めて宮森は自分でやりたいことを見つけられたんじゃないかなと思います。劇場版では26歳くらいになるっていると思います。

劇場版は、劇場版アニメを制作するお話です。劇場版をげーぺーうーという会社に葛城(プロデューサー)が依頼していたのですが、実は全くできていなかった!でも、作らないとまずい、、、葛城さんピンチ!というところから物語が始まります。

この劇場版の序盤で、カフェに集まり、葛城がムサニに映画制作を受けてくれるよう宮森を説得しようと言葉を紡ぐシーンがあります。スケジュールが無茶なため、葛城は受けてくれないだろうと思いながらも、あらゆる言葉を尽くして説得しようとします。そんな中、葛城が説得をしている途中で、宮森が覚悟を決めた顔で、

「あっ はい」

劇場版『SHIROBAKO』より

と一言で言い切ります。

宮森はここで、自分で「決める」ということをするわけです。ここでのナベ長の驚いた顔もたまらないのですが、宮森が自分でやるかどうかを決めて、圧倒的に成長した瞬間だと思います。

やりたいから「決める」のではない、「決めた」からやりたい

できるかわからないけど、できますと言い切る。そしてやり切る。できるか、できないかわからないけど、やると決める。決めるとやりたくなる。僕はここで、新卒からモヤモヤし続けてきた宮森の「やりたいこと問題」は解決されたのではないかと思います。覚悟を持ち、意志を持てるようになったのだなと。

そして、本編では「決める」までに色々感動的なシーンがあっての、「あっ はい」なのですが、それは本編に譲ります。


『SHIROBAKO』はもちろんフィクションです。そして、「やりたいこと」を見つけられた宮森は本人の頑張りだけでなく、とてもラッキーだなと思います。「やりたい」がある人がもてはやされますが、それは能力というよりも、「決める」機会によるところが大きいと思います。でも、「決める」チャンスは自分でとにかく行動し続けないと手に入りません。

結局、「やりたいこと」の有無は、どれだけ任せてもらえて、自分で決めてきたかによると思います。

悩むくらいなら宮森のように「なんでもやります!」で、とりあえず働き続けてみるのもいいのではないでしょうか。

一方で、色々とできるのに苦悩する、、、宮森のカウンターパートとしている平岡、ぶっとんでる高梨太郎については、また、どこかで書いてみようと思います。

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