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まちの発見を共有しよう! -荒川区景観まちづくり塾2022 〈第6回講座〉-

荒川区景観まちづくり推進委員、委員長の山本です。
このnoteでは、あらまち(私たちの委員会による景観まちづくり活動)について記しています。
今回は、2023年2月25日に開催された荒川区景観まちづくり塾2022〈第6回講座〉について。

第6回の講座は、意見交換会です。
塾生の皆さんには隅田川、暗渠の2回の体験ツアーにて「あなたが発見した〈水×景観〉を教えてください」という絵日記のような宿題をお願いしています。
発見をみんなで共有しながら、荒川区らしい「水×景観」を炙り出していこうという企画

ファシリテーターに日本大学理工学部まちづくり工学科教授の岡田智秀先生をお迎えして開催しました。

当塾講師の岡田智秀氏





1. 発見報告、136点!

宿題の発見報告ですが、塾生26名から計136点ご提出いただきました。
体験ツアー時の写真だけでなく、その後ご自身で行われたまち歩きでの発見、またお手持ちの昔の写真や、お手製イラストなど、さまざまな方法で表現されています。いずれも興味深く、運営の僕たちも含め、1点ずつ食い入るように拝見しました。

当日はテーブルごとに見られるよう計4セットを用意しましたが、それでもこうしてずらっと並べてみると、圧巻です。

そのうち、いくつかご紹介。

体験ツアー中、ふと見上げて見つけた暗渠の名残
昔の写真、天王公園になる前の様子
手描きのスケッチで昔の景観を表現


これらを分類すると、内訳は以下の通り。
1. 街:5点
2. 川・暗渠:10点
3. 芸術・文化:0点
4. 生物:7点
5. 治水・災害・衛生:28点
6. 交通・産業:24点
7. 祭り・イベント:1点
8. レクリエーション:31点
9. 飲食物:0点
10. ストリートファーニチャー・看板・舗装・遺構:30点

なお分類方法については、2021年に開催した「荒川区景観まちづくりオンラインシンポジウム -水で見つけるまちの風景-」にて、私たち運営側が行なったプレ調査のものを使用しています。
また、何を発見したかに重きを置くために、写真そのものだけでなくコメント内容も踏まえて分類しています。

当日、この発見報告を冊子、もしくはデータにまとめて欲しいというご意見をいただきました。
(他にも、以前作成した「防災×景観 かるた」と同じように、「水×景観 かるた」を作成しては、とのご意見もいただいています。)

ということで今回、PDFデータにしました
以下のリンクからダウンロードください。
ただし、各発見報告は個人の感想や意見を前提としていること、あらかじめご理解ください。



2. 荒川区らしい「水×景観」って?

全体としては、川周辺の空が開け、遠くを見渡せる場所や、あらかわ遊園の観覧車やトミンタワーなどの高いところから望む眺望景観を評価されている方が多いのが印象的でした。多くの場所で平地が続く荒川区にとって、貴重な景観です。

また、暗渠についての発見報告も多数ありました。
暗渠は蓋がかかっているので一見して見つけることは難しい。でも、道の曲がりくねりや幅員の変化、また軒先の植物などの暗渠サインを見ていると、なんとなく暗渠が浮かび上がってくるように感じる。この辺りをもっと調査してまとめてみたい、というご意見がありました。

荒川区の暗渠には哀愁を感じるというご意見も。
例えば、路地に捨てられてしまったゴミも暗渠サインのひとつですが、川に滞留した誰かの生活のカケラと考えれば哀愁と感じられる…
なるほど、暗渠と生活が密接しているのも荒川区らしさのひとつかもしれません。

一方、昔から荒川区にお住まいの方からは「生まれた時はまだ暗渠化されていない“ドブ川”があって、川にはいろんなモノが浮いていたので、暗渠にいいイメージがない」との意見も。
それでも、現状を見てみると、蓋をされて道になったところに暗渠の名残が残っていて、面白いなと思ったという体験談でした。
安全や衛生が確保された現在だからこそのノスタルジー。それも暗渠の魅力かもしれません。

それから、講義の後、ご自身で古地図を見ながらまち歩きしてみたという方のお話。
荒川区は道が曲がりくねっていて面白く、そのうちいくつかは暗渠で、今は商店街になっていた。他区に住んでいて、これまで荒川区を訪れる機会は少なかったが、実際に歩いてみるとすごく面白かった。

他区との比較で見ると、荒川区の特徴が浮かび上がってくると感じたので、例えば台東区と荒川区の区界を流れた音無川跡を歩いて、それぞれの違いを見つけるなどもやってみたい、というご提案もありました。

以上、いくつかのご意見をピックアップしてご紹介しましたが、他にもさまざまな視点から発見報告をいただきました。同じ写真であってもコメントを見ていると視点が違う。ぜひPDFデータでご覧いただければと思います。



3. マップ化してみました

今回の記事作成にあたり、各発見報告をgoogleマイマップに落とし込んでみました。
黒いピンが今回塾生のみなさんから寄せられた発見報告です
地図をクリックすると拡大してご覧いただけます。

ちなみにこのMAP、まだまだ更新中です。
もし他にも「こんな荒川区の水と景観があるよ」と発見された方は、ぜひコメント等でご一報ください!
(間違っている箇所もあろうかと思いますが、その時もぜひ教えていただければ助かります。)
【あらかわ風物資産マップ 「水×景観」編】、ぜひ皆さんと一緒に作り上げていきたいです。



4. 次年度に向けて

さてさて、意見交換会の後は次年度に向けたお話ということで、隅田川、暗渠それぞれの担当者からいくつかの方向性が示されました。
今回の発見報告の内容や、塾生の皆さんの興味どころを伺いながら、次年度の取り組みを検討していきます。
過去、現在、未来を辿り、荒川区らしい景観について考えていければと考えています。

次年度に向けた方針と投票結果

篠原修塾長からは暗渠道に名前をつけてみてはという提案も。
江川堀や八幡堀にはプロムナードと名前がついた道がありますが、他の道にも名前があれば、まちの歴史を知る手がかりになりますね。

最後は記念撮影

ということで、水×景観の旅は2023年度も続きます。
次はアクション編。
隅田川、暗渠それぞれのグループに分かれてワーキングを行います。
どんな内容になるか、お楽しみに。


荒川区景観まちづくり推進委員 委員長 山本展久




荒川区景観まちづくり塾 2022 〈第6回講座〉
・内容:意見発表会
・日時:2023年2月25日(土曜日) 13時30分〜
・場所:サンパール荒川 5階 第7集会室(東京都荒川区荒川1丁目1−1)
・講師:篠原修氏(GSデザイン会議代表・東京大学名誉教授・荒川区景観まちづくり塾塾長)、岡田智秀氏(日本大学理工学部まちづくり工学科教授・荒川区景観まちづくり塾講師)

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