ジャムという名の…
我が家はそこまで寒い地域ではないので、ミカンを家の中の涼しいところに置いておいたとしても、そこまで長持ちするわけでは無い。
なので、あんなこと(コンテナ2杯分のミカン)やこんなこと(があるにもかかわらず段ボール1箱分追加)があったミカンたちは、年明けを待たずして既になかなかのシワシワ具合になってきている。
シワシワするくらいなら全然大丈夫。酸味が抜けてくるので、果物の酸味があまり得意ではないワタシにとっては追い風と言ってもいいくらいだ。
でも、皮を黒く染めて「早く食べないと……わかってるよね?」とアピール激しい人たちが増えてくるとちょっと困ってしまう。
皮をむいてしまえば大丈夫なのはわかってる。わかってはいるけど、何となく焦る。早くこのミカンたちを食べてしまわなくては…と。
当のミカンを大量入荷した家人に至っては「ミカン飽きた。これ以上は食べられへん」と一番に離脱したあげく、ストックされているオヤツばかりを消費する害獣となり果ててしまった。なんてやつだ…
まぁ、何を言っても響かないのはわかっているのでワタシは遠回しに「さっさとミカンを食べなはれ」アピールを開始した。
カビたミカンを棄てるたび、これ見よがしに「あぁ~はよ食べなどんどんアカンようになっていくなあ~」と、袋に詰めた緑色のミカンをチラリチラリと家人にチラ見せする方法だ。
異様に利く鼻を持つ家人(タオルくさいくさい星人)は、ダメな感じの臭いを感知するや否や「なんの臭い?」「臭くない?」「どこの臭い?」とうるさいだけでなく、人体に害があるものを吸い込むことをものすごく嫌う。
なので、カビなんてもってのほか。信じられないこと極まりない物質のひとつなので、慌ててミカンの大量消費方法を検索し始めた。
そんな家人が選んだ方法は「ミカンジャム」
夏に作った「スイカジャム」は大失敗に終わったのもあって(書いたと思ったけど書いてなかった…?また今度書きます)ジャムを敬遠していた家人だけど、ミカンなら美味しくできるとふんだらしい。
早速ミカンをジューサーにかけ、鍋でコトコトコトコト煮込み始める。
コトコトコトコト…
ではなく「グラグラグラグラ」だったのはご愛敬ということで…
で、出来上がったジャムをビンに詰める工程を見たワタシは何となくアレな予感がした。
アレとはそう。
ちょっとソレ、固いんじゃない?
ってこと。鍋からビンに移す時点でかなりの粘度を感じるミカンジャムたち。
冷やしたらもうひとつ硬くなるような気がした。
でも、それは気のせいだと思うことにする。
このままの硬さを保ってくれるに違いない…。
キミたちを信じてる。(←New!
翌日、冷蔵庫でキンキンに冷やされたミカンジャムをお湯割りで飲もうと思ったワタシはスプーンをビンに挿しこんだ。
( ゚Д゚)新幹線のアイスと戦える硬さじゃねぇか…
あのバニラアイス一択。それ以外思い浮かばない硬さのミカンジャムがそこにはあった。
しかし、ワタシはそんなことで負けたりはしない。
持ち手の少し頑丈そうなスプーンに持ち替え、さらに闘いを挑む。
ぐぐぐっ…
ミカンジャムを少しだけ凹ますことができたものの、マグカップに移動させるほどのものは掘削出来てはいない。これはスプーンじゃダメなやつか…
そう思ったワタシが次に手に取ったのは「バターナイフ」
まっすぐなヤツの方がスッと中まで入り込んで、えぐりとりやすいに違いない。念のため、バターナイフを湯煎して暖めることによりミカンジャムとの闘いに万全を期す。
これでがっつりと大きな塊が取れるはずだ。
そうほくそ笑みながら、ミカンジャムに温かいバターナイフをぐっと挿しこんだ。
なにっ?!
スッといったと思ったのは一瞬で全然進んでいかないだと?!
それでも負けずにぐりぐりと力任せにミカンジャムに攻撃を加え続け、やっとのこと小さなマグカップでちょうど美味しく飲めるであろう量を取り出すことができた。
お湯割りしたミカンジャムは美味しく、体も心もぽかぽかと温まり幸せな時間を過ごすことができた。
翌日。
台所にいた家人がスプーンを手に持ち、何かこちらに向かって話しかけてきた。耳をすまして聞いてみたところ…
「スプーンがどえらい角度に曲がってるんやけど」
( ゚Д゚) キコエナイ
「バターナイフ、これどないしたん?」
( ゚Д゚) キコエナイヨ
「昨日ミカンジャム硬い!って言いながらなんかしてたで」と、通りかかった子が家人にそう伝えると、こちらを見ながら家人がこう呟いた。
「ほんまに、ジャイアンやねんから」
(ΦωΦ) メッチャキコエテマスケド
スプーンを歪める人の例えは、決してジャイアンでは無いとワタシは思う。
それにキミが言うほどスプーンは曲がっていなかったはずだ。だって昨日、ワタシが力任せに元に戻したはずだから。
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