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みかんミカンそして蜜柑

ご近所さんの助けもあり、残り1ケースちょっとほどになった我が家のミカンたち。

今年のミカンは皮が厚めなので、「わしゃそろそろお迎えがきそうじゃ…」とはるか頭上にかすかに見える光を見つめながら、たくさんのミカンの下でつぶやいているかのような、シワシワで元気がなくなりつつあるミカンを箱の底からかき回してピックアップして消費するイベント

怒涛のミカンラッシュ

の開催期間が短くなりそうで少しだけホッとしていた。

怒涛のミカンラッシュでは、食べたい個数をはるか超えた数のピックアップされたミカンをもくもくと消費する日々が続く。

「ビタミンCの補給量と反比例するかのように精神エネルギーが消費されていく」そんな恐ろしいイベントだ。


が、しかし。

前回ミカンの話をしたときにも少し触れた「コンテナ2杯分のミカンが家にあるにも関わらず、道で売っているミカンを購入した家人」がなにやらウォーミングアップを始めたようだ。


前回購入したのは、小ネット入りミカン(約1Kg相当)。

「あそこのミカンは美味しいって聞いたから…」

の言葉通り、小粒でめちゃくちゃ甘くてジューシーなミカンで、それほどミカンを得意としないワタシですら「このミカンだったら1日10個くらい食べられるかもしれない」と思ってしまうくらい美味しかった。

そんな甘くて美味しいネットのミカンは、コンテナのミカン消費量とは比べ物にならない速さで消費されていき、あっという間に無くなってしまった。


そう。

無くなってしまった。


そんな週末、ゴロゴロとソファーで動画をみながら「ぐふっぐふふふふっ」と怪しげな笑い声を立てている子に向かって家人がお誘いをかけ始めた。

「なぁなぁ子よ。ミカン買いに行かへん?畑もついでにちょっとだけ作業しに」


畑とミカン、目的とついでが逆じゃありませんこと??

畑作業がメインで、ミカンはオマケじゃなかろうか?そもそも、コンテナのミカンはまだまだ現役バリバリですけど?ちょっと何を言うてんのん?

心の声が脳内の500%を超える音量で駄々洩れしているワタシに気付かないふりをしている家人を見て、ワタシは確信する。


あぁ。コイツ、絶対にやるな。


まぁ、ネット1つ増えたところで大した量にはならないし、あのミカンは甘くておいしいからすぐになくなるし、目をつぶってやるか…

そんな余裕を醸し出していたワタシは、いそいそとルーンファクトリー4を起動した。


ーーー数時間後ーーー

「ただいま~。ミカン買ってきたで~」

ごきげんな家人はダイニングテーブルの上に、こないだと同じサイズのネットミカンをトンっと嬉しそうに置いた。

これだけ気に入っているということは、あのミカン販売所が閉まるまでコヤツは通い続けて、我が家にネットミカンが届き続けるのだろう…と、いつも通りの展開を頭に思い描いていると

「みてみて~」

と嬉しそうな家人の声が玄関の方から聞こえてきた。


今日は何か野菜も収穫してきたのか?と思いつつ、玄関に向かうとそこには

ミカンがいた。

そう、ミカン。

箱入りミカン、総量約10Kg(デデン


「箱の方が安いねんで~♪」と嬉しそうなのは何より。

そして「みんなに配ってあげたらええやん~」とキミは言うが、我が家はミカン農家ではない。それなのにミカン配りまくってたらおかしかろう?みんな気を使うだろう?配るのはワタシだろう?あぁん?

それに、箱入りミカンの方がかなり美味しいから、絶対に箱の方から食べる未来しか見えない。

そんな箱ミカンばかり選ばれていくのを見続ける、メンバーが欠けることのないコンテナミカンたち。

そんないつまでも涼しいところに置かれっぱなしのコンテナにいらっしゃるミカンたちの気持ちを考えたことがあるのかね?


ねぇねぇ、どうしてあっちのミカンばっかり選ばれるの?段ボールのおうちに住めるのは高貴だから?あのミカンたちは選ばれし民なの?コンテナは風がスースーして寒いよぅ…

って絶対に思ってるから。


そんなことに気付いてしまったワタシは、コンテナミカンを食べずにはいられない。


と言いたいところだけど、手が伸びるのは箱ミカン。


ゴメン。コンテナミカンたち。


ワタシはコンテナミカンに背を向け、目を合わせないようにしながら箱ミカンを数個手に持ち、リビングへと帰還する…



「こっちを見て… 一緒に遊ぼうよぅ…」



(ノД`)・゜・。スマナイッ ユルシテオクレッ


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