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ゲテモノ喰い?いやこれは美食だ!コオロギラーメン「ANTCICADA」

※本記事には虫の画像が含まれます。


浅草橋、馬喰町、日本橋。下町の入り組んだ細道の中に、その店はあった。

昆虫食。世界人口が増えている中で「生産時の環境負荷が少ない」「栄養価が高い」「生産・加工が容易」などの理由で注目されている栄養源だ。

そんな昆虫食のお店として2020年にオープンした「ANTCICADA」が自宅から自転車で20分程度の距離にあると知ったのは今月頭。満を持して、本日12時に友人と行ってきた。

金曜と土曜は昆虫食のコース料理、日曜のみコオロギラーメンを提供という限られた営業スタイルの店。行列ができていたらどうしようかと心配していたが、幸い待つことなく入店。一見すると気づかないビルの一階、ドアの向こうはお洒落な異界だった。

店内はカウンターのみで15席ほど。10人ほどのお客さんがラーメンをすすったり、店員さんと会話をしていた。

その背景には大きなスズメバチの巣や、虫が浸けられたビン、鹿の頭の骨、虫の飼育箱......様々なものが綺麗に並べられている。

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(棚の端から威圧感を放つスズメバチの巣)

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(何かの虫が浸かられたビン。こういうものが壁いっぱいに並んでいた)

席に座り、「今日は初めてですか?何かご覧になって来られたのですか?」から店員さんと少し言葉を交わし、メニューを説明される。

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今日限定の「コオロギ喜多方ラーメン」があることはTwitterの情報で知っていたのでそれを注文する。また、気になったので私はタガメハイボールを、友人はコオロギビールSを注文した。

まず来たのはドリンクから。

目の前にタガメの入ったウィスキーの大きなビン。そこから生まれたハイボールは綺麗な色をしていた。

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洋梨を思わせるフルーティな香りがする美酒。タガメのオスが発するフェロモンがその香りをつけているのだという。

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コオロギビールはクラフトビールのようなコクのある味わい。

そして出てきたのがメインのラーメンだ。

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コオロギのみで出汁をとったというラーメン。

スープを一口飲んで察する。旨い。

「ヨーロッパイエコオロギの繊細なで深い旨味」という説明書きでは全くわからない言葉を、頭ではなく舌が理解した。

普通の喜多方ラーメンは豚で出汁をとるというが、全く劣ることはない。コオロギに対して抱いていたえぐみや泥臭さなども一切ない。言われなければコオロギで出汁をとっているなど気付かないだろう。しかし、奥に海老のような旨さを感じる。これが、コオロギか。


麺をすする。コオロギが練り込まれた中太ちぢれ麺は確かな食感。もっちりとしてこれも旨い。

メンマも味が濃くて良いと思っていたらコオロギ醤油でクタクタに煮たものだという。どこまでもコオロギ尽くしだ。

素揚げのコオロギは桜えびの入ったかき揚げの、天ぷら部分を食べているような感じ。強い味はないが、これだけをつまんでいたくなる軽さだった。


チャーシューを味変するためにと添えられた、つぶした梅干しとコショウもにくい。ラーメン屋というより、割烹の心遣いじゃないか。

一口一口堪能しているうちにあっという間に完食。

店員さんと言葉を交わし、写真もたくさん撮らせていただいた。

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(大量の生きたコオロギ。これにはなかなか驚いた。容器は深く、跳んで逃げることはできないという)

一杯に140匹というコオロギの生命が凝縮されたラーメンは、決して風変わりなラーメンではなく、私好みの味だった。コオロギだけで出汁をとっているのに豚と遜色ない、いや、それ以上を思わせるところに昆虫食の可能性を感じた。また他のラーメンもいただきたいし、コース料理もぜひ食べてみたい。

レペゼン群馬、新井将司。世界一になる日まで走り続けます。支えてくださる皆さんに感謝。