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『絶望名人カフカの人生論』カフカ 頭木弘樹(2014)|読書感想文


本の紹介

『変身』や『城』で知られる文豪フランツ・カフカは、仕事や親、自分の身体など、ありとあらゆる事に対する絶望をメモや日記、手紙に書き記していました。読むとなぜか元気をもらえる絶望の名言を解説付きで。

感想

思ったより絶望してた

コップが目の前で砕け散ったらどうしよう、なんてなかなか考えないと思いますが、カフカはそんな心配までしていました。とても神経質で読んでいるこちらが心配になります。カフカの神経質は筋金入りのようです。いや、でも、もしかしたら一生に一度くらいはコップが突然砕け散ることがあるかも知れない。

自分と同じ絶望

仕事が嫌で行きたくないとか、子供の頃に親から言われたことがトラウマになっているとか、他の人が普通にできることができなくて苦しいとか、文豪といわれる人でも、自分と同じようなことを考えていたのだなと思いました。時代や国が違っても同じことを考えている人がいるということが分かると少し気が楽になります。そして、ある人の些細なことが、今ここにいる自分にまで伝わってくるというのが文字や本の素晴らしさですね。

励まさせる

カフカなんて偉大な人に悩める小さな自分が励まされる日が来るとは思いませんでした。カフカの深い絶望を読むと、私の悩みなど大したことないのだ、あるいは悩んでもいいのだと思えたからだと思います。

最後に

悩みや苦しみ、絶望の言葉が並んでいましたが、解説によってとても読みやすくなっていました。解説のおかげで読んでいる私が冷静になれたところもありました。悩んでいるときにまた開きたい本です。あと、カフカはまだ読んだことがないので読んでみたいと思いました。良いカフカ入門の本でもありました。

本のリンク

↑本書に出てきた本です。ちょっと不思議なラストが待っている素敵な本です。

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