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ツナでも食べられないツナは?

こんにちは、こんばんは、Mariaです。

スペイン語リスニング訓練にポッドキャストを聴いてます。昨日のコラムのテーマは、

La Tuna Universitaria(ラ ツナ ウニベルシタリア)

についてとありました。

ツナ?ツナ缶?でも、スペイン語ではマグロはAtún

じゃあこれはナンだ?と思ってコラムを聴いていくと

「Tunaとはスペインの伝統音楽集団の一つ」

なんだそうです。知りませんでした。で、調べてみました。

●  放浪の音楽集団 La tuna universitaria 

彼らの発祥は、スペイン最古の大学サラマンカ大学だそうで、いわゆる大学ソサエティーの一つでした。およそ12世紀ごろには存在していたとされています。

当時は、学生の音楽集団が楽器演奏、歌、踊りで恋愛やご当時自慢、流行歌などを人が多い場所やイベントで演奏していたようです。

もともと大学のサークル活動でしたが、投げ銭がもらえることから卒業をしても職がなく貧乏な若者連中は旅をしながら演奏を続けました。

この音楽活動が広まったのはこの演奏旅行も一助だったのかもしれません、他の大学にもグループができ、スポーツリーグのようなTunaの名門大学も生まれました。

● ボクたちおそろいの衣装で巡ってます

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Tunaという言葉は、彼らの衣装の代名詞でもあります。

西洋中世時代の絵画などで見かける膝下にかけての細身のパンツに同色のタイツ、ちょうちん袖付きの上着、統一色にしつらえたマントという衣装で粋にかまえ、颯爽と演奏する男たち。

La Beca(ラ ベカ 写真上)というシンボルカラーの太い帯に大学から授かった勲章やエンブレムの刺繍をしたものを誇らしくかけています。このLa Becaは彼らのプライドのようですね。

特にこのマント(写真下)は彼らの功績の証です。背中にはファンの女性たちから贈られるカラフルなリボン、マントには旅先で得た刺繍ワッペンがびっしり。これがグループのキャリアと歴史を表します。

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制服というのは恐ろしい、私の友人でも制服着る職業の男性に弱い人がいますが、実にかっこよく見える上に声を張って愛を歌われたらもうイチコロでしょう。

(写真 : wikipedia ¨Traje de tuna¨ より拝借。)

●  ヒーローと貧乏紙一重

とにかく教養はある彼ら。吟遊詩人、楽器の麗しいハーモニー、甘い声色、巧みなダンス。。これらを併せ持つTunaたちは、こりゃもう魅力や娯楽の少ない人々の活力剤になったことでしょう。

彼らは、大学まで行くぐらいですから出身は悪い身分ではありません。本人たちはつまらない職や地元に帰って家業を継ぐことを本望とせず、同じ思想の仲間たちと集団生活を選びました。

ここら辺、わかります。ステージに上がって聴衆に拍手や歓声を浴びると、もう歓喜と興奮により脳内麻薬大放出の快感に浸ってしまい、しかも一度でもお金がもらえたとなると、辞めたくてもやめられない人が出てくるのが音楽、芸能の世界なのです。

ですので、卒業後イッパシの社会人になっても彼らは放浪の演奏旅行を続けました。収益が芳しくない時は、修道院や巡礼宿でタダ飯とベッドを施してもらいながら日々生計を立てていたそうです。

ステージでは女性たちの憧れの的でしたでしょうが、もう家からは勘当されもしたであろう彼らと結婚となると飛んだ「ろく◯なし」だったのでは?と想像します。。さすが、さすらいのバンドマンのルーツ。

ちなみに彼らの集団は女人禁制です。芸能に長けた男性に惚れるのはどの世も変わらないもので、男臭い集団にはファンもついたでしょうが、彼らと一緒に冒険含む旅をするとなると、お嬢さん方には危険を伴うものだったでしょうし。

●  海外でも一世を風靡したLas Tunas Universitarias

しかし彼らは単なる地元でくすぶる路上演奏家の域を超え、南米各国など海外ツアーまで果たしております。

現在、メキシコやベネズエラなどでは、時に統一した衣装をまとってお祭りなどを巡る男性音楽集団があります。彼らの音楽は地元独自のリズムや音楽形態はあるものの、なんだかどこかTunaにも似ている風情が漂います。

●  演奏はこんな感じですよ〜 

短めのビデオをアップしました。飽きたら、スキップしながら聴くもよし、ですw。

↑ これはアラゴン州首都サラゴサのグループです。「カラタユドに行くならば」という歌。カラタユドというのは、アラゴンにある町の名前です。この団体のメインカラーは紫のようですね。

↑  La Tuna  Unviersitaria で検索するとこのバレンシアの団体がよく出てくるのできっと有名なんだと思います。出先から面白い登場の仕方でお客さん大喜びw。ここなオレンジが貴重のようですね。

こちらにアップするのにいっぱい聴きましたが、共通点は、どれも演奏が最初しょぼくて、だんだんテンション上がって中盤から色々見せ場が出てくるところ。最初シャイなのにお喋りが高じるともう止められないくらい興奮する(うちの旦那?w)典型的スペイン人だなぁ、なんて感じました。

● 現在の「ツナ集団」

発祥当時ももちろんですが、La Tuna Universitaria はどのグループもプロ音楽家はいません。彼らはアマチュア音楽集団として活動をし、伝統を継いできました。

現在はさすがにもう貧乏独身貴族をキメて放浪をするメンバーはおらず、皆さん結婚をし地元で本業に励みながら、練習や本番に集う形で続けています。

スペインはLa Tuna Universitariaのように、男性ばかりでつるんで企てを楽しむ団体がたくさん存在します。最近日本でも流行ったバスクチーズケーキで有名なパイス・バスコ地方には美食クラブという、美味しいものを自分たちで作って自分たちで食べるグループがあり、これも伝統を継いで長く続くクラブもあります。

スペインも世界の風潮に漏れず、女性の地位や性差別に敏感になってますが、これらの「男臭い」社交料理グループや音楽集団の習慣には女性たちも放ってやらせとこう、という感じのようです。なんたって、

亭主元気で留守がいい

ですもんね〜。

今回はLas Tunas Universitariasについてお伝えしましたが、一夜漬け情報ですので、もし誤りがありましたらどうぞお知らせください。また、詳しくご存知な方からの更なる情報お待ちしております。

最後まで読んでくださってありがとうございました。次回またお会いしましょう!

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