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今日の科学 6月7日

1896年6月7日は、アメリカの物理化学者ロバート・サンダーソン・マリケンが生まれた日です。彼は、原子核の周りにある電子の状態を理論的に計算する分子軌道法を提唱しました。この功績により、1966年にノーベル化学賞を受賞しました。

原子は、原子核の周囲に電子が存在する構造になっています。原子の中の電子は、複数の原子を結合させ、分子をつくるために重要な働きをしているために、たくさんの人たちが研究してきました。

マリケンは、1925年にヨーロッパに留学したときに、当時、最新の理論として注目されていた量子力学を学びました。そして、その考え方を導入し、1928年に分子軌道法を提案し、2原子でできた分子の分析結果を説明ました。

分子軌道法では、分子の結合に関係する電子の軌道は分子全体に広がっていると考えます。この考え方は、原子と電子の結合エネルギーを理論的な計算に役立つことから、この理論が主流になっていきました。今では、化学結合を説明する理論として大学で詳しく学ぶものになっています。

分子軌道法は、マリケン1人でつくられたものではなく、たくさんの人たちによって展開されました。その中でも、ドイツのフリードリッヒ・フントの貢献が大きかったのですが、1966年のノーベル化学賞を受賞したのは、マリケン1人だけでした。

コンピュータが発展し、複雑な分子も扱えるようになった現在、分子軌道法の重要性はどんどん増しています。

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