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今日の科学 6月17日

1920年6月17日は、フランスの医師で遺伝学者のフランソワ・ジャコブが生まれた日です。彼はメッセンジャーRNA(mRNA)の存在を予言し、タンパク質の合成が転写と翻訳の2段階でおこなわれると提唱しました。そして、1965年にノーベル生理学・医学賞が贈られました。

「遺伝子は生命の設計図」とよく言われます。それぞれの生物はDNAをもっていて、遺伝子はそのDNAに書き込まれています。そして、必要に応じて、DNAに書かれた遺伝子の情報が読み込まれ、それに対応したタンパク質がつくられ、細胞の中で働きます。

現在は、DNAからどのようにタンパク質がつくられるのかわかっていますが、そのきっかけとなったのがジャコブとジャック・モノーの研究です。モノーはパスツール研究所で大腸菌に乳糖を加えたときにつくられる乳糖分解酵素のβガラクトシダーゼの研究をしていて、そこにジャコブも参加しました。

ジャコブの上司だったアンドレ・ルヴォフは、ルヴォフは細菌に感染するウィルスであるバクテリオファージの研究をしていて、バクテリオファージに感染すると、細菌にバクテリオファージのDNAが入り、バクテリオファージが増殖することを発見しました。

ジャコブは、ルヴォフとモノーの研究は本質的に同じものであると気づき、大腸菌が乳糖を分解するときに、関係する一連の遺伝子がRNAに転写されると考え、その一連の遺伝子ととにも、遺伝子の発現を制御するDNAの塩基配列もあると予想しました。

これはオペロン説と呼ばれ、後にDNAの遺伝子情報とmRNAとの関係や転写RNAの働きなど、細胞内でタンパク質がつくられるしくみを明らかにする礎をつくりました。その功績により、ジャコブ、モノー、ルヴォフの3人は1965年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。

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