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今日の科学 6月24日

1953年6月24日は、アメリカの物理化学者ウィリアム・モーナーの生まれた日です。モーナーは、1つの分子だけを観察することのできる単一分子イメージング法の基礎をつくったり、紫外線によって蛍光をオン、オフできる特殊なタンパク質を発見したりして、超高解像度蛍光顕微鏡の開発に貢献し、2014年にノーベル化学賞を受賞しました。

科学の世界では、実験機器の発展が新たな発見につながることがあります。その1つが顕微鏡です。顕微鏡ができたことで、肉眼では見えない細かなものを見ることができるようになりました。私たちが学校などでも触れたことのある顕微鏡は光(可視光)でものを見る光学顕微鏡です。

光学顕微鏡は光の性質の関係上、200ナノメートル(0.0002ミリメートル)ほどのものしか見ることができません。それより小さく絞ろうとすると、像がぼやけてしまいます。光を使って、より小さなものを見ようと蛍光顕微鏡などがつくられましたが、200ナノメートルの壁を乗り越えるできませんでした。

モーナーは1989年に、1つの分子の光吸収を測定し、1つの分子にフォーカスして観察する単一分子イメージング法の基礎をつくりました。そして、紫外線を当てることで蛍光をつけたり、消したりできる特殊な緑色蛍光タンパク質(GFP)を発見しました。

モーナーが特殊なGFPを発見したことで、アメリカのエリック・ベツィグが考えた光活性化局在性顕微鏡法(PALM)が実現しました。これにより、200ナノメートルの壁を乗り越えて、細胞内部の様子を詳しく観察することができるようになりました。この功績により、2人は2014年にノーベル化学賞を受賞しました。

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