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今日の科学 7月4日 ヒッグス粒子が発見された日

2012年7月4日は、欧州合同原子核研究機構(CERN)の2つの研究グループにより、ヒッグス粒子の発見が発表された日です。ヒッグス粒子は素粒子に質量を与えるもので、この発見によって素粒子物理学の標準模型の最後の1ピースが埋まりました。

素粒子とは、物質を構成する最小単位の粒子と説明されることがよくあります。でも、現在の素粒子物理学では、物質だけでなく、力も素粒子によって生まれていることがわかっています。標準模型は1970年代半ばにはできあがり、予想された粒子が実験によって次々と発見されてきました。

その中で、最後まで発見されずに残ったのがヒッグス粒子でした。ヒッグス粒子を発見するために、CERNでは大型ハドロン衝突型加速器(LHC)を建設し、2008年に完成しました。そして、ATLASとCMSの2つの国際グループがヒッグス粒子を探す実験を進めました。

2012年7月4日、2つのグループが「ヒッグス粒子とみられる粒子を発見した」と発表しました。このときは、暫定的な実験結果をもとにしていたので、断定を避ける表現でしたが、ピーター・ヒッグスらによって予言されていたヒッグス粒子が実際に発見されたとして、世界中で報道されました。

ヒッグス粒子の発見は、物理学の歴史に残る大発見で、ヒッグス粒子を予言したピーター・ヒッグスとフランソワ・アングレールは、2013年にノーベル物理学賞を受賞しました。ヒッグス粒子の発見によって、素粒子の標準模型に記述された素粒子はすべて発見されました。

しかし、これで宇宙のすべてがわかったわけではありません。この宇宙には、ダークマター、ダークエネルギーといった標準模型には入っていない正体不明のものが存在することもわかっています。それらの正体を明かし、この宇宙のしくみを知るには標準模型を超えた新たな理論が必要なのです。

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