仮眠から目覚め、ふと手近な本を開き読んでみたところがこれ…!ということで、少々引用

いくらでも執拗に言い張るつもりだが、通常、私たちは、他者を犠牲にしなければ意欲することができないのである。私たちが、程度の差はあれ、皆、選民だなどとはとんでもないこと、私たちは皆、大なり小なり、神に見放された邪悪の存在なのだ。人間がたがいに傷つけあわない社会を構築しようと望まれるのか?それならば、無為症患者だけをすぐって入れてやるがいい。


結局私たちは、病める意志か悪しき意志かのどちらかを選ぶほかはない。前者はまことに上等な意志である。恐怖にひしがれ、石と化し、効力を失った意志なのだから。後者は有害である。したがって活動的であり、ある種のダイナミックな原理を授けられている。生成の狂熱を維持し、諸事件を生ぜしめるのもこの意志だ。黄金時代に賭けようというのなら、人間たちからこの意志を剥奪するがいい!むしろ人間たちからその存在を剥奪すべきであるかもしれない。この存在の秘密は、あげて、他者を傷つける性向の中にあり、この性向なくしては人間を考えることすら不可能なのだ。自分の幸福にも他者の幸福にも拗ねた態度に出る癖に、人間はまるで自分が理想的な一社会の確立を心から希っているかのように振舞う。

シオラン 「黄金時代」


ちなみにシオランをまともに読んだことはなかったので、今後読んでみようかと思いました☆

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