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まなざし拡張企業MESONが描く空間コンピューティングの未来

Apple Japan40周年プレスリリースでMESONが紹介されました

この度、Apple Japan設立40周年を記念するプレスリリースの中で、空間コンピューティング技術を使った体験創出に挑戦している企業としてMESONを紹介していただきました!

自分もVision Pro実機体験者として、Vision Proへの期待をコメントしています。

プレスリリース抜粋

社会の空間コンピューティングシフトに取り組む企業の代表として、このようにApple JapanのプレスリリースでMESONを紹介してもらえたのは大変光栄なことです。

2017年にMESONを創業して以来、空間コンピューティング技術を活用した体験創出に取り組んできました。今回こうした機会をいただけたのもこれまでのMESONの取り組みや実績あってのことだと思っています。

今後も一層MESONとして社会の空間コンピューティングシフトに取り組んでいきたいとおもいます。

本当はもっと色々とプレスリリースでコメントしたかったのですが、字数の関係で自分の伝えたかったことすべてを載せることができませんでした。

今回のnoteでは、この機会に改めて自分がこれからの空間コンピューティングの未来をどう捉えているか、そして空間コンピューティングシフトの先にどういう社会をつくりたいかについて、noteに記したいと思います。


3つのコンピューティングパラダイムシフト

WWDC2023でTim Cook氏も言及していたように、これまで人類は2度のコンピューティングパラダイムシフトを経験しています。

1つ目がデジタル情報が民主化されて、誰もが自由にデジタル情報にアクセスできるパーソナルコンピューティング。

2つ目がデジタル情報にアクセスできるコンピュータを自由に持ち運べるようになり、いつでもどこでもアクセスできるモバイルコンピューティング。

AppleはMac、iPhoneと新たなデバイスを世に送り出し、両方のパラダイムシフトの推進に大きく関わっています。

人類の3つのコンピューティングパラダイムシフト

そして今回、Vision Proの発表とともに新たに空間コンピューティングへのパラダイムシフトが宣言されました。自分は社会がモバイルコンピューティングから空間コンピューティングへとシフトすることを「空間コンピューティングシフト」と呼んでいます。

空間コンピューティングシフトが起きたあとの世界では、私達が生きる現実空間にデジタル情報が違和感なく溶け込み、人間にとってより自然な所作でデジタル情報にアクセスできるようになります。

最も空間コンピューティングシフトを起こす可能性を持つVision Pro

そんな空間コンピューティングシフトを起こす一番最初のデバイスとして、Vision Proはとても可能性を感じたデバイスでした。

自分はVision Pro(そして空間コンピュータ)を「Pre-BMI」と称しています。BMIは「ブレインマシーンインターフェース」のことで、脳波を検出したり、逆に脳に刺激を送ることで、脳とコンピュータを直接接続することができます。
BMIはもはや私たちとデジタル情報が完全に一致する状態であると考えています。

空間コンピュータは私たちとデジタル情報が完全に一致することはまだ叶わないまでも、これまでのデバイスよりも私たちとデジタル情報の距離がより縮まり、私たちがいま暮らしているこの現実世界で自分たちの身体の一部のようにデジタル情報を操ることができると感じました。

自分はこれまでいくつものヘッドマウントディスプレイやグラス型デバイスを体験してきましたが、この感覚はこれまで他のどのデバイスでも感じることがありませんでした。

圧倒的に現実空間に”ある”と感じられるデジタル情報の存在感、デジタル情報を自分の身体の一部のように扱うことができる操作性、没入感を阻害しないUX。

空間コンピューティングシフトはここから必ず起きる。Vision Pro の実機に触れて、自分はそう確信しました。

もはや「空間コンピューティングシフトは起きるかどうか?」という議論はナンセンスだと思っています。これから考えなくてはならないのは、「空間コンピューティングシフトの先に何を実現したいか?」だと思っています。

空間コンピューティングで可能になる「現実世界へのまなざし拡張」

空間コンピューティングシフトを実現した社会の形に正解はありません。

むしろ様々な考えが衝突したり、混ざりあいながら、最終的には空間コンピューティングシフトが実現した社会がつくられていくと考えています。

だからこのnoteでは正解ではなく、自分がMESONで空間コンピューティングシフトを経て何を実現したいかを紹介します。

自分は空間コンピューティングの力でいま私たちが暮らしているこの現実世界へのまなざしを拡張できるようになると考えています。

「まなざし」とは世界やモノへの捉え方のことを指します。
「まなざしを拡張する」とは世界やモノへの見方を一変させ、新たな捉え方を発見することを表現しています。

空間コンピューティングによって、私たちは自分が生きるこの現実世界の新たな捉え方を発見する、現実世界へのまなざしの拡張を起こせると考えています。

少し幼少期を思い出しながら、より詳細に「まなざし拡張」の話を説明させてください。

小さいときに机の上に人形を並べて遊んだ記憶はないですか?僕はよくポケモンの人形を並べて遊んでいました。

人形が並ぶその場所はなんの変哲もない机の上ですが、小さいときの自分の目の前には壮大な遊び場が広がっていました。

小さいときはそんな壮大な遊び場を至るところでつくることができたし、友人とも共有することができました。大人たちにとってはなんでもない場所に対して、子どもたちは「遊び場」というまなざしを持っていました。子どものころの私たちは現実世界へのまなざしを拡張することにおいてとても優れた能力を持っていました。

ところが大人になるにつれて、現実世界へのまなざしが固定されてしまい、現実世界に対して違う捉え方をすることが少なくなってしまいます。

私たち、特に大人が生きる現実空間への捉え方は固定的で、多様ではないように見えます。例えば、教室は学ぶ場所であり、電車は通勤する場所であり、公園は遊ぶ場所です。

しかし空間コンピューティングはその現実世界へのまなざしを拡張してくれます。

学校の教室は思い出がたまるアルバム空間にもなるかもしれません。生徒たちが残してきた一年間の思い出が貯まる空間。これまでこの教室を使ってきた先輩たちの思い出を振り返ることもできます。

味気なかった通勤電車は毎朝同じ時間に乗る人達の匿名コミュニティ空間になるかもしれません。仕事に対する愚痴、今日も一日頑張ろうという声援、気になるニュースのシェア。たまたまその電車に乗り合わせた人たちがゆるく繋がれるコミュニティ空間が出来上がります。

何も特徴がない公園は実は学校よりも楽しく友達と学べる空間になるかもしれません。いままで気に留めなかった自然に目が行き、知らなかった世界を学べるようになります。

人とデジタル情報の距離が近づき、現実世界の中でデジタル情報を自分の身体の一部のように自由に扱うことができる空間コンピューティングによって、自分たちはもっと自由に現実世界を捉えることができるし、その捉え方を表現し他の人達と共有することができます。

そんな社会では自分が想像もしなかったような新たなまなざしに出会うこともできるかもしれないし、自分が発見した新しいまなざしで人々の日常をもっと有意義にできるかもしれません。

現実世界へのまなざしを拡張したのその先の社会

現実世界へのまなざしを拡張していった先にどんな社会が実現できるのでしょうか?

ここで自分が強く惹かれ、共感した一文を紹介させてください。

優れた文学作品は、それを読む前とは世界や自身の見方を変えてくれる。

まさきとしか著「彼女が最後にみたものは」書籍解説より抜粋

これは小説家まさきとしかさんの「彼女が最後にみたものは」という小説の書籍解説に出てきた一文です。自分はこの一文に強く共感しています。

文学作品に限らず、世界や自身への捉え方を変えてくれるものにとても価値があると考えています。人がこれまで囚われていた捉え方とは異なる、新しい捉え方を発見した時、その人の感性はもっと自由になり、心が豊かになっていきます。

これこそまさに自分がまなざしの拡張に感じている可能性です。

自分は人が人らしく生きられる社会をつくることこそ、人がテクノロジーという道具を使う本来の目的だと思っています。人が機械のように超効率的に仕事ができるようになったり、多くの情報を扱えるようになることよりも、人だからこそ感じられることを感じ、心を豊かにできる社会をつくることがテクノロジーを活用する上で大事だと考えています。

空間コンピューティングはもっと仕事を効率的にこなしたり、情報を過多にすることもできますが、自分は私たちが生きるこの現実世界へのまなざしを拡張し、人々の心がもっと豊かになる社会をつくっていきたいとおもっています。

現実世界へのまなざしが拡張されることで、私たちは現実世界からこれまで以上に多くのことを感じ取ることができ、現実世界とのより強いつながりを持つことができるようになります。

そんな社会こそ空間コンピューティングという新たなテクノロジーを活用して実現できる、人が人らしく生きられる社会だと考えています。

人が人らしく生きられる社会を実現すべく、現実世界へのまなざしを拡張し、人々の心をもっと豊かにする。そんな空間コンピューティングシフトをMESONは起こしていきます。

まなざし拡張企業としてのMESON

MESONは人々の現実世界へのまなざしを拡張する「まなざし拡張企業」です。

この考え方は昨年MESONの経営体制を交代し、自分が新たにMESONの代表になってから掲げた考え方です。そして今回Vision Pro に触れ、その考え方がより強くなりました。

ただ振り返ってみると、これまでのMESONの活動も現実世界へのまなざしを拡張することに繋がっていた取り組みだったと再認識しました。

例えば弊社が博報堂DYホールディングス様と取り組んでいるSpatial Messageは本来は何もない吹き抜けやスタジアムに、「人々の想いが滞留する場所」という新たな捉え方を発見し、現実世界へのまなざしを拡張しました。

六本木ミッドタウンで初めてSpatial Messageを展示した際にはなにもなかった吹き抜けという空間が神社の絵馬を飾り付ける場所のように、人々の願いが滞留する空間へと捉え方が変わりました。

昨年、元日本サッカー代表監督のオシム監督でSpatial Messageが使われたとき、スタジアムという空間も「サッカーをする場所」からオシム監督へのファンの想いが滞留する空間、ファン同士の繋がりを感じる空間へと捉え方が変わりました。

Spatial Messageという体験を通して、空間に「人の想いが滞留する場所」「この場に来た人がつながる場所」という新たな捉え方が発見され、人々の現実世界に対するまなざしが拡張されていきました。

MESONではこれからも様々な取り組みを通して、現実世界へのまなざしを拡張し、人の心を豊かにできる社会を実現します。そして、現実世界へのまなざしを拡張できる人々を社会の中にももっと増やしていきたいと考えています。

すべての技術が現実とデジタルを融合する方向へと向かう

最後にもう少し、いまの技術進化を俯瞰した話をさせてください。

当たり前の話ですが、空間コンピューティングシフトはVision Proだけで成り立つものではありません。

私たちがモバイルコンピューティングシフトを経験したときにも、スマートフォンというハードウェアそのものを創ったり、OSをつくった企業もありました。クラウド技術や3G,4Gなどの新しい通信技術、Wifiなどの無線技術も進化し、統合していったことでいまのモバイルコンピューティングシフトが成り立っています。

これから空間コンピューティングシフトでも同じことがおこります。Vision Proによるハードウェア、そしてインターフェースの変革だけではなく、AIやブロックチェーン技術も混ざり合い、社会が現実とデジタルを融合する方向へと向かっていきます。

いま大きな話題を呼んでいるAI技術の発展の一番のインパクトは、自然言語で人とコンピュータが意思疎通できるようになったことだと考えています。
これまで人とコンピュータがコミュニケーションを取る場合、コンピュータが理解しやすい機械語と、私たちが普段使う自然言語の中間であるプログラミング言語を使ってきました。しかしこれからは私たちの自然言語でコンピュータとコミュニケーションが取れるようになります。これも人とデジタル情報の距離が縮まり、融合することを後押しする技術です。

ブロックチェーン技術はデジタル情報にリアルのオブジェクトと同じように価値を与え、扱えるようにする技術です。私たちはこれまでデジタル情報に価値を付与することはできませんでしたが、ブロックチェーンによってデジタル情報も現実世界のものと同じように取引したり、価値を感じることができるようになります。

同じ時期にこれらの技術が同時に進化してきたことは偶然ではなく、必ず繋がっています。

これまでAR/VR技術にフォーカスしてきたからといって、Vision Proだけを見て事業を考えても失敗すると考えています。現実とデジタルが融合する流れを捉え、今後の未来や自分たちの事業を考えていく必要があります。

その中で自分たちはVision Proや3Dのインターフェース革命を軸足に置きながら、まなざし拡張企業として人の心を豊かにできる新しい現実世界の捉え方を発見していきます。

ともに空間コンピューティングシフトを起こしたい仲間を募集しています!

私たちMESONは様々な企業様とともに空間コンピューティング技術を活用し、人々のまなざしを拡張する共創プロダクト開発を主力事業として取り組んでいます。

また来年Vision Proが米国でリリースされることを見据えて、Vision Pro のローンチタイトルアプリ開発にも積極的に取り組んでいます。今年はオーディエンスとして参加したWWDCに、来年はVision Proのローンチタイトルアプリを開発した会社としてMESONで登壇したいと考えています。

こういった空間コンピューティングシフトの挑戦に取り組むためにも、MESONではいま全職種積極採用中です!

空間コンピューティング領域は総合格闘技であり、様々なスキルやバックグラウンドを持つ方々がコラボレーションしていく必要があると考えており、MESONにも様々なバックグラウンドの方々が集まり、チームも大きくなってきています。

元々空間コンピューティング領域に関わっていた方だけではなく、外資系コンサルファームやゲーム/アプリ開発、建築、音楽など様々なバックグラウンドを持つ仲間が集まってきてくれています。

空間コンピューティング領域に飛び込むのはこれからでも遅くありません。これからのMESONでは人生に一度あるかどうかの技術変革の中で挑戦する経験を得ることができます。

少しでもMESONで空間コンピューティングシフトをともに起こしたいと思った方は以下のページからぜひご連絡ください!

また自分が描いた空間コンピューティングの未来に共感いただけた方は、是非このnoteへの「いいね」や、SNS上でシェアをしてもらえると嬉しいです!

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