第4話:最終|不条理なゲームに巻き込まれた俺の行方|2分
この小説は、第4話です。
第1話~第3話を先にお読みいただきますようお願いいたします。下記の目次等をご利用いただくと便宜かと存じます。
望みは繋がった、そう信じるほかない。香織と俊太は心配してないだろうか。
そんな思いを余所に、ゲームマスターが口を切る。
「次が最終ゲームです」
「……やっとか。何をさせられるんだ?」
「質問に答えていただきます」
「質問? またクイズか……。問題は?」
すぐに返答はない。
ゲームマスターは、部屋の隅に積まれた箱から、一枚の紙とペンを持ってくる。そして、俺の目の前で、何かを紙に書き、それをこちらに向けた。
「はあ!?」俺が叫ぶように言う。
「どういうつもりだ!? 家に帰りたいに決まってるだろ!」
「一答しか許されませんので、慎重にお答えください」
ゲームマスターは、俺から視線を動かさずに続ける。
「これまでのゲームには、全て意味があります」
――これまでのゲームには、全て意味があります
俺は、これまでのゲームを振り返ることにする。
第1ゲーム:ナポリタンの大食い対決
第2ゲーム:カレーの料理対決
第3ゲーム:シンプル・ガチクイズ
最終ゲーム:質問
ああ、まだ分からない。この不条理なゲームの内容は、振り返ったはずなのに……。
俺は目を閉じ、更に深く思考を巡らせた。
◆
暗闇の中を漂っている。
心地よさを感じながら彷徨よっていると、何かにぶつかる。
見えない壁があるような。一段と深い闇。これ以上は進めない。
けれど、以前よりも薄い闇。そこに手をかざしてみる。
見る見るうちに、周りの闇と同化し、境目がなくなる。
そのとき後方から光が差してくる。
振り返ると、暗闇が裂さけ始めていた。
裂け目から誰かの声も聞こえる。
見えない壁があった方に目を戻す。そこには何もない。
もう十分だ。その光と声の方に戻ることにする。
◆
「あの~、そろそろよろしいでしょうか?」
俺は、目線を上げないまま、呟くように答えた。
「……家に帰ろう」
「先ほどと同じ答えですね? それでは正解を――」
「いや、違うんだ」
自然と涙がこぼれた。
「一緒に家に帰ろう、香織。俊太も連れて――」
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