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007. スペイン建築に学ぶ

今から28年前、スペイン政府給費を得てバルセロナ建築大学大学院都市計画講座博士課程での受講が決定し、渡航した。
 「なぜ、スペインに?」と問われることが多かったので、決まって以下のように答えた。
横浜で開催された「横浜バルセロナ博覧会」に私の卒業設計が入選、横浜美術館奥に仮設施設が建設され、そこに展示品を出展するとき「澄み切った青空のもと、スペインのアーティストが白い仮囲板いっぱいに原色のペンキを塗りたくっており、日本人の感覚からはかけ離れたその色彩と自由さに「バルセロナってどんな街なんだろう?」と憧れをもったのが、スペイン渡航のきっかけでした!」と。


上:コロニア・グエル教会地下聖堂、 下:サグラダ・ファミリア教会東門の情景(1997年頃)          ともにアントニ・ガウディ設計

 家族に見送られ、8月にバルセロナに到着するも、9月開講予定の講義が翌年2月からということで、ビックリw。今から考えればいかにもスペインらしい話だが、当時は途方にくれ、何もすることもないので、スペイン語の勉強、建築図書館での調べ物をし、余った時間でバルセロナ市内の新旧建築物をとにかく見て回った。
 そのうちにスケッチ(スペイン語ではクロキスと言います)を始めたのだが、やはりガウディの施設や、教会建築のスケッチは描き手が下手でも見た目が悪くない。

 今であればここまで情熱を傾けて、丹念に線を重ねることもないだろう。私にとって、少し遅い「青春時代」の出来事である。


セヴィリアの主教会

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