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Vol.11 総括~特に悪質だと思ったポイント~

 絵本出版賞の受賞後の経過について、これまで色々書いてきましたが、私が特に悪質だと感じた点について、最後に列記したいと思います。

1.メリットのみを強調し、作者にとってのデメリットには一切触れない。

 一番ひどいと感じたのは、作者に金を出させるくせに、「受賞作として出版を支援する」という言い方をするところですね。しかも受賞作以外も、実は出版しているし。
 また、「自費出版ではありません。共同出版です」と言いながら、出版社は黒字、作者は赤字という条件をシレッと出してくるのもひどすぎる。
 共同出版というのであれば、せめて「頑張って売れば作者も赤字にはならない」位の条件であるべきと思いますが、印税すら払わないので、初版分全部売っても、作者は完全に赤字。これを「共同出版」と呼ぶのはかなり無理があると思います。
 

2.クラウドファンディングを勧めてくる。

 私は、「テーマも良いですし、資金はクラウドファンディングでも集まるんじゃないですか」とも言われました。こんなこと言われると、お金がない人も「そうか、クラファンか」とその気になるかもしれない。でも、クラウドファンディングで資金を集めるのは、現実的にはかなり大変なことです。
 実際、「絵本出版賞から生まれた作品」として宣伝されてた中に、クラウドファンディングで資金調達している人がいましたが、100万以上の出版費用のうち5万以下しか集められていませんでした。しかもこの人、受賞作でもなかった。出版社からこういった感じで口説かれて、その気になっちゃったのかな、気の毒だな、と思います。
 私自身はこのビジネスの実態を知るにつけ、この点については、特に非常に怒りを覚えました。第一、皆さんの善意で集めたお金がこんな会社の利益として落ちるのは絶対に許せない。第二に、クラウドファンディングを勧めながら、契約自体はその結果を待たずに先にさせようのも悪質。結局、自分達が金を回収できればどっちでもいいんでしょうが、作者がどうなろうと知ったこっちゃないという会社だというのが、よくわかりました。
 

3.結局は“自費出版会社”の典型的なモデル

 私も最初、知らなかったのですが、絵本出版賞の提携出版社「みらいパブリッシング」の社長の松崎義行さんって、かつて自費出版ビジネスで数々のトラブルが明るみに出て問題となり、集団訴訟を起こされて倒産した「新風舎」の元社長さんなんですよね。
 出版社って結構、倒産も多いものではありますが、あれだけ社会問題にもなったのに、新しく起こした会社でも同じことやってるって…。看板つけかえれば騙せるって思ってるんですかね……。とか言う私も、応募時はそこまではノーチェックだったので、大きな顔はできませんが(笑)。
 企画担当の人にはやたらと「社長にも、是非一度会ってほしい」と言われていたんですが、実際には、この社長、全然、会社にいなかった!8月のオンライン授賞式の時も「残念ながら欠席」ってことで、事前に録画した映像での挨拶だったし、昨夏のあのコロナ爆発の時期に「社長は沖縄に出張していてしばらく不在」とのことで、「9月もほとんどいない、●日ならもしかしたらいるかも…」って感じで、結局、会わずじまいでした。この時期に、そこまで出張多いのか?ってのも個人的には、かなり疑問でしたが……。

 今、ふと思うのは、なんで担当があんなに社長に会わせたがっていたのかということと、もし会ってたらどうなってたんだろうな、ということ。そこまで社員を心酔させるものが何かあったのか、よほど契約させるトークテクニックに長けていたのか。
 そう思うと、単純なる興味として、一度会ってみても面白かったかも、とも思いますが、結局は無駄な時間を浪費する結果になったと思うので、やはり会わなくて正解だったかな(笑)。
 
 私自身は、こうした経験を経て、「比較検討すること」、「しっかり考えてから結論を出すこと」が大事だと改めて感じました。このマガジンは一旦終了し、次回からは、契約を決めた出版社とのやりとりや、実際の制作に関する話題を執筆していきます。「良い出版社」と「悪い出版社」を見極めるのにも役立つと思うので、今後も読んでもらえると幸いです。


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