仁と義5 任侠短編小説 超常現象編3 (コメディ)
【美咲の復讐】
頭鬼組 分家、パブスナックレインボーの新しいママ、ランに起こった超常現象。
物が飛んできたり、足を引っ掛けられ転んだり、上から物が落ちてくる、ということが頻繁にレインボーのママであるランだけに起きていた超常現象。
それは、パブスナック レインボーが頭鬼組の分家となる前の、この店にいて行方不明となっているママで、誰かに殺された美咲の怨念そのものだった。
この店のママは私なの!と主張を続けて、この店のママになった人を追い出すように超常現象を起こしていた。
そこへ霊媒師の如く幽霊が見えるランが現れたことで、自分の無念を打ち明ける幽霊の美咲。
石頭一家を名乗る誰かにみかじめ料を払えと脅され拒否したら弄ばれて殺された事をランに打ち明けた幽霊の美咲。
ランは石頭一家の連中を店に呼ぶようにミオにお願いをした。
しかし石頭一家の連中が来る前に、膝織一家の柄の悪い連中が店に入ってきた。
パブスナック レインボー、新人ママであるランに会いに来たという膝織一家の五人衆。
リーダー格らしい男がズボンとパンツを下ろして、ランから受け取った名刺でお尻を拭く仕草をしてランに名刺を返した。
その時、幽霊の美咲が自分を殺したのはそいつだよ、ここで行方不明になっている他のママ3人も、自分が埋められてるそばにいる、という幽霊である美咲の声を聞いたランとミオ。
膝織一家、5人の前に立ったランと一触即発の状態になった。
その時、ミオになついているという尚樹から、あと1~2分で着くというメールを確認したミオは、カウンターから飛び出してズボンとパンツを下ろしたままの男の前で着ていた服を自分で破り豊胸でたわわに実った胸を露にしてわざとらしく床に倒れた。
ミオの胸やパンツが見えて、それに反応する膝織一家の五人衆。
『据え膳食わぬは男の恥って言うからな。じゃあ頂くとすっか』
倒れているミオのパンティに手をかけようとした下半身丸出しの男。
そこへやって来たミオの下僕である石頭一家の尚樹。
『いやー!やめてー』
と悲痛に聞こえるように叫び声をあげるミオ。
下半身丸出しの男がミオの露になった胸と捲れたスカートのミオのパンティに手をかけている男に対し、尚樹は条件反射のように外すと非常にカッコ悪い飛び蹴りが見事に命中。
『なんだてめぇら!いきなり何しやがる!』
『石頭一家のもんだ!てめぇらこそ店ん中で何やってんだこの野郎!ミオに手ぇ出しやがったのか?あぁ?』
『尚樹、こいつら石頭一家の名前使って女を食い物にして弄んだ挙げ句殺して山に埋めたんだ。
警察に電話して。おい、オタンコナス!お前ら石頭一家の名前使ってコロシやってたんだよな?何処の山に埋めたんだよ女たちを!?
可哀想なことしやがって!お前ら絶対許さないからな!警察来るまで大人しくしてろ!』
ミオは涙の混ざった声で涙を溢しながら男を睨み付けていた。
幽霊の美咲の気持ちが、ミオに入り込んでいるのが分かったランにも美咲の哀しくてやりきれない気持ちが入り込んで、ランの意思に関係なく涙が溢れていた。
『コロシなんて俺達には関係ねぇから俺達は帰るぜ。捕まりたくねぇからな』
ボックス席に座っていた4人が立ち上がろうとした時、ナッチのナイフとティップのダーツの矢が男たちの座る椅子に突き刺さった。
『動くなって言っただろ! 涙が溢れて狙いが定まらないんだからさ!』
ティップが涙を拭いながら男たちを睨んでいた。
メッチもまた涙を溢しながら、メリケンサックを指にはめて男の頭を小突いていた。
尚樹がメッチ、ナッチ、ティップ、ミオ、ランを見ると皆涙を溢していた。
普段見ない皆の涙に困惑する尚樹。
ミオとランだけがすすり泣きをしていた。
『ラン、ミオ…迷惑かけてごめんね。コイツらが捕まればアタシも…そばに埋められてる3人も見つけてもらえると思う。アタシたちもようやく成仏できそうだよ…』
美咲の声は店の中にいるラン、ミオ以外にも聞こえていた。
店内にいる男たちは美咲の声が聞こえたことで、訝しげに店内を見回した。
その時、尚樹に押さえ付けられている男が突然怯えだしたように震え始め、わめきだした。
『わ、悪かった…。俺が悪かったよ…許してくれ…』
ガタガタ震えながら手を合わせて踞る男。
ランとミオと怯えている男には見えていた。
この店で行方不明になっている女性4人、かつてこの店のママだった3人とレインボーの前の店のママである美咲が、踞る男の前に泥だらけの腐敗した身体で立っていた。
ほどなくしてパトカーのサイレンが近付いてきて店の前にパトカーがとまった。
ダーツの矢とナイフを速攻で椅子から抜き取るメッチ。
警官が3人店内に入ってきた。
『事件を起こしたのは?この人かな?』
一人の警官が尚樹に押さえ付けられている下半身丸出しで怯えてうずくまっている男を指さして、はだけた胸元を押さえるミオをチラッと見てランに問いかけた。
『そうです。店内で私たちに乱暴しようとしたんです』
腐敗している泥だらけの女性たちは、自分達をコロシて埋めた事を警察に言うようにうずくまっている男に詰め寄っていた。
その時、膝織一家の男たちを連行するためうずくまっている男の腕を掴んだ警官の手を振り払い、その手が警官の顔を叩いた。
下半身丸出しの男に迷惑防止条例、婦女暴行未遂に公務執行妨害が付け加えられた。
『○○山に行って女たちを掘り起こしてやらなきゃならねぇんだ、山へ…○○山に連れていってくれ…。
俺が埋めた女四人を俺が掘り出してやらねぇと、こ、この女たちが俺を呪いコロスって言ってんだよ、おまわりさん、俺を○○山に連れていってくれ』
『なに言ってんだこいつは…薬でもやってるのか?』
うずくまっている下半身丸出しの男に叩かれた警官が少し強めに男の腕を掴んだ。
『嫌だ、俺の目に前にいる俺がコロシて○○山に埋めた女たちを退けてくれよ』
『おまわりさん、この店レインボーとレインボーの前の店のママさんが4人行方不明になっているのと関係あるのかもしれないです。
私も最近何度か危ない目にあっているんです。今日もこの店に来たのはママである私に会いに来たようなので…』
『○○山に来て私たちをた…すけ……』
最後の力を振り絞ったのか、美咲は最後まで喋れないまま他の3人と消えてしまった。
しかし、その声は店内にいる全員が聞いていた。
警官たちも不思議そうに店内を見渡し、同僚の警官を見て声を聞いたか確かめあっていた。
『○○町飲食店、スナックレインボーにて迷惑防止条例違反、婦女暴行未遂、及び公妨により現行犯確保。
また○○山にて事件性の自供を繰り返す被疑者において、重大事件の可能性あり。○○山の捜査を要請』
警官が本部に無線を入れた。
その夜、警察は○○山にて4人の女性の遺体を確認した。
そして犯人である膝織一家組員の股先小行(またさきしょうこう)と名乗る外国籍の男を殺人死体遺棄の容疑で再逮捕した。
後日、頭鬼組 組長、石頭一家組長に対して犯人逮捕の協力で感謝状が授与された。
その後…石頭一家の相談役であり、頭鬼組分家であるレインボー組のミオ、(安桜芙美乃(あさくらふみお)の下僕でもある立石尚樹(たていしなおき)と舎弟4人は、頭鬼組分家 パブスナック レインボー組との仲を取り持つ橋渡しとなり、組員の間でトラブルは徐々に減っていき、ミオと尚樹の仲も徐々に深くなっていった。
そんな頭鬼組 分家レインボー組と石頭一家に組員を警察に売られて、事件の重大性により膝織一家の威厳を著しく損なわれて腸が煮え繰り返る膝織一家代表「膝織忠美(ひざおりただよし)」52歳は顎に手を当て、少し伸びた髭を撫でるように触りながら、何かを考えていた。
超常現象編 完
関東頭鬼組 分家 組長 頭鬼洋次郎(48)
若頭 阿久津龍一(38)
舎弟頭 新島浩二(37)
相談役 相田真二(38)
構成員 一之江将一 通称マサ(20)
荒巻和幸 通称カズ(23)
三澤謙二 通称ケン(25)
須藤弘道 通称ヒロ(23)
小林幸弘 通称ユキ(23)
パブスナック レインボー組メンバー💕
メッチ 木ノ内健(20)(きのうちたけし)
(めんちきることが多い。何でも武器にする)
ナッチ 中沢義男(20)(なかざわよしお)
(よくナイフをちらつかせる)
ティップ 榊枝真二(20)(さかきえだしんじ)
(ダーツの矢を数本いつも太股に隠している)
ミオ 安桜芙美乃(20)(あさくらふみお)
(アイスピックを両足太股に6本常時備えている)
ラン 一之江将一(20)(いちのえまさかず)
そのうち武器を持つようになる。
石頭一家の相談役
相談役 立石尚樹 (ミオの恋人)
仁と義、超常現象編を最後まで読んで下さりありがとうございました♪
頭鬼組と石頭一家の仲を取り持つ頭鬼組分家、レインボー組の5人と、石頭一家は後に組同士が盃を交わす兄弟分となります。
その頭鬼組分家レインボー組と石頭一家に組員を売られた、巨大組織である膝織一家代表「膝織忠美(ひざおりただよし)」は、頭鬼組と石頭一家への報復を企てるのであります。
只今執筆中でありまして、もう少し時間がかかります💦
次回作もどうぞ宜しくお願い致します。
安桜芙美乃(ミオ)