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忘れ得ぬ心の風景(My favorite notes)

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琴線に触れる、忘れ得ぬ記事をこのマガジンに集めました。ご執筆くださったクリエイターの皆さま、大切な記事を本当にありがとうございます。ご縁頂けましたこと心から感謝申し上げます。
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記事一覧

仏教思想のゼロポイントを読みながら思ったことの4

解脱には思考だけでは難しいと書かれている。アーナンダーは釈迦の遺訓を確認する会議の前日まで悟れず、苦しみ、あーもうダメ、っとバッタンきゅうーになって頭がまだ地に着かず足も浮いた状態で解脱できた。比丘尼シーハーは7年も8年も修行しても煩悩が去らず、もう死ぬしかない、と首を括る縄に頭を通そうとした時、悟ったと。佐々木閑さんのYouTubeのヴァッカリやゴーディカのお話も似ている。 何か大きな衝撃を受けることが解脱の助けになると。 私ごとだが、現役人生の後半最後の方で、大きなショ

母と私が紡いだ「魂の成長」という名の物語

母が逝った 桜咲く春の訪れを待たずして 母が余命宣告を受けてからの日々は 自分史上、最も過酷を極めた 冷静と感情の間で常に揺れ動き 出来ることは何でもやった 私には兄弟がいるが 私とは真逆な人間とだけ言っておこう つまり、私は孤独な闘いを強いられた 次から次に訪れる大きな決断 しかし、自分が最後の砦 知恵を振り絞って、やり切るしかない 身内だろうと、公的機関だろうと 母の気持ちに寄り添えていないと 感じたときは、躊躇なく嚙みついた 時に「あなたみたいには出来ない

母の旅路に 寄り添う

「私、ここに泊まる、母さんの傍で寝るわ」 死に装束に身を包んだ母を、しんみりと見下ろす。 「えっ、俺はホテルに泊まるよ」 夫は、たじろぎ私の顔色を伺っている。 「いいわよ、かえって母さんと二人きりの方がいいわ、母さんには寂しい思いさせたから、最後は2人きりでいたいの」 夫は安堵の色を浮かべる。自分もここに泊まることを強要されるとでも思ったのだろう。 「そうか、いくらお義母さんとはいえ、死んだ人と同じ部屋で寝るのは、ちょっとね」 ここは、葬儀社の遺体安置室。 約十二畳程の和室

【風になったあなたを】

今日は命日。 愛する者を看取った日です。 13年経ちました。早いものです。振り返ると、自分を取り巻く環境は、随分と変わりました。心境だって移ろいでいく。 けれども、思い出す光景は色褪せない。 今も目に耳にハッキリと蘇るのです。  ⭐ ⭐ ⭐ あの朝、食事を終えると、眠気が襲ってきました。どうしたのか。睡眠不足の日々は続いていました。それにしても異様な眠気。 『オレ、ちょっと寝るよ』 「いいわ。寝てて」 ふと目覚めます。ベッドの上でミドリ。呼吸が浅い。これはいかん。

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