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声劇台本で妄想する!Apri’s Delusion 1. 『GCP』

はじめに

 第1回目はスズキドミノ様作 『GCP』 について記事をかかせていただきます。おそらく今まで私、30~40回くらいやったのではないかと思われる台本でございます。いつもありがとうございます、大好きです。

上記リンクは今回取り上げる GCP 作者の須々木倫太郎/ススキドミノ氏が管理人の台本掲載サイト『doodle.txt』です。台本をご覧になられたい方はお手数ですが、ページを下方へスクロールしていただき『GCP』のリンクより御覧ください。 

  尚、当記は一度でもこの作品を演じたことがある方でないと分かりにくい内容になっておりますが、セリフや内容を引用しすぎないよう配慮のためでございますので御了承くださいませ。では自分の演じたプランや妄想、考えを簡単に記していこうと思います。

ストーリーの流れ整理

おおざっぱな流れはこんな感じです。

ストーリーの流れ

『銃をつきつけあっている』という状況

 この作品、銃をお互いつきつけあった状況から物語がスタートします。
銃口をそらしたり、というのは各所であるかと思われますが、基本的には銃はずっと牽制に使っている状況と推測できます。

 それが声にどんなふうにのるか、というのはやってみれば分かる話です。さあ、実際構えてやってみましょう!なんか変わりますよね?
 それが一瞬ではなく、ずーっと続けているとどうなるか(より何か見えないものを求めるのでしたら、1時間くらい構える、っていうのをやってみると良いです。僕もむか~しやってみました)、当然手が疲れます、イライラもします。肩や背中も張ってきます。多分持ち替えたり、正面、斜め、横、とか体勢を変えたりするでしょうね。

 ここらへんをさらにリアルに追求するなら声劇中、ずっとモデルガンや似た形、重さのものを持って実際にやってみてください。一回やると、体にその感覚が染み付きます!これから何度もやるであろうひとは経験しておくことがオススメ!一回やるだけでずっと演技の質があがるのはお得ですよ!wベストはリアル知り合いと読み合わせです。まあ、長かったのですがその動きって声に表現として乗ったらたのしくないですか?という提案です。リアル感が出ますのでぜひ、ご挑戦を!

 ちなみにですが、細かい遊び方として、銃を向けながらも、エリートはスキを一切みせずにタバコを片手で吸うだろうし、ピエロは座り込んだり、結構激しくうごいたりしても絶対照準はずさなかったり、手品みたいな動きで、銃が右手左手うつったり、何個も銃を持っているような動きをみせたりとか(=油断ならない、タダものでないと感じさせる一因) ・・・そんな妄想もあります。ここらへんやるとしたら相手の協力も必要なんで、なかなかできませんが!でも、やれるととっても楽しいですよ。

 そして、銃に関して大事なことを最後に一つ。銃口を向けられると当然緊張しますよね。相手の感情が高ぶる=撃たれる(死ぬ)かもしれないですから。こんなに面白そうな台本ですが、全員が「誰かの指がちょっと動くと自分が死ぬ、自分の指がちょっと動くと相手が死ぬ」という、実は死がとても近い作品です。しかし悪党に嘘つきの彼らはもしかしたらこの緊張感になれっこなのかも・・・。そんな心理状態を自分で妄想したり、その中で生まれる”笑い”や”騙し””、”聞いている方が楽しめる演技”を探していくのがこの作品の醍醐味だと思っています。

面白いGCPは短いことが多い気がする

 私の持論ですが、”聞いていて面白いGCPは上演時間が結果短い”ことが多いです。(※上演時間の短いGCPが面白い、ではないのに注意。とはいえ、ゆっくりしたGCPであえて面白さを追求していくのもまた楽しいかもしれませんね!)
 長台詞を一定調子でゆっくりやると作品全体のドライブ感や緊張感が損なわれるような気がしています。作品全体のペースを作るのはセリフ量の多い”ピエロ”次点で”レディ”ではないでしょうか。このあたりの役を担う方が緩急をつけることでGCP全体が面白くなると感じています。

 逆にエリートの役を演じられる方は短いセリフや彼のキャラクターから作品のスピード感を出すのに貢献するのが難しいでしょう(ラストシーンは逆に彼の独壇場)。”作品が停滞しているな”と感じた時、幾度かそれにエリート役で試みたことがありましたが、私にはできませんでした。

 ということで”スピード感”でしたが、ひとつ注意していただきたいのは早い読み回しというのは小手先のテクニックの部分であるということです。やりすぎると心のあり方や自然な演技からはかけ離れていきます。ただ、そういったテクニックが聞く人を楽しませることも事実ですので、そのあたりは共演者の方などと演じつつ、空気を読みつつすり合わせながら好みでとりいれていくいくのがいいかと思います。

 参考までに暗黙のルールかというぐらいセリフの高速読み回しを伴って公演されることが多い”つかこうへいの『熱海殺人事件』シリーズ”なんてのもあります。GCPに求められているのはこういうはやさではありませんが、演じることにはこんな手法もあるということでご参考までに。

【私のアイデア紹介 各役の妄想・遊び まえがき】

 ここからは各役で私が妄想していることや、演じ方によっては自分や周りをたのしくさせられそうなアイデアを書いていきます。あくまで周りの反応が多少よかったとか、私の主観的に手応えがあったとか、楽しかったとかそんなレベルのものですが、もしかしたら演技プランのお役に立つかもしれませんのでここで紹介します。
 そして、とても大事なことですが、共演者の皆さんが戸惑うような演技をしないことや、作品を壊さないようにどうするか?とよく考え、めっちゃ考え、限界まで頭をひねりながら遊ぶことを推奨いたしますので、ご注意ください。(僕はもうへとへとなるくらいまで頭使って、これは台本リスペクトだ、と思えるぐらいまで考え、いけると思ったことだけ行動に移しています)それを前提でお読みください。

【私のアイデア紹介①】レディ役での妄想・遊び

 ”性別を偽っている” 背の高いオカマ”” レディ。私が一番お気に入りの役です。セリフの量も多く、終盤ガールとのかけあいは一番の見どころではないでしょうか。

 さて、楽しかった遊び方は『実はレディはガールの父親であった』と妄想して演じてみるというものです(笑)妄想が広がって、どうしてもやりたくなり・・・こっそり共演者の誰にも明かさず、自分の心の内にだけとどめてやってみたら、僕の心持ちは誰にも伝わらずとも、周りの方々から反応が良い演技ができました。断言しておきますが作者様意図とは違うと思います、あくまで私の妄想です。詳しく説明します。

 まずなんでそんなことを思ったかといいますと、やたらガールのお母様(以下、ガール母)に想い入れのある様子なこと。ガール母へ全幅の信頼をおいている様子や、かなり配慮した行動をとったような過去も語られます。
そして、”信用のおける友”のような存在の娘であるガールに対しても戸惑うような様子も見せます。ただ、後半ガールとの掛け合いでの感情的なレディのセリフが私としてはうまく(心が)入らず、どういう解釈をしたら気持ちがうまく入るかな…?と何度も何度も考えた結果、『実は父親』みたいなところまで妄想をすすませることにしたのです。
こうしてやってみると、

・”東洋人”女性への想い入れ
・途中からもしかしたら・・・とガールの容姿から気づき始める
・ガール母の死へ悲しむ
・他に教えることの解釈
・ガールの”復讐”の意味を深読みしてしまう
・ガールが自分が父親であることを知らない様子であることに対する責任や
 苛立ち、ガール母への想い
・わざと挑発されてガールに殺されようとする心理
・警察が来た時、ガールにも迷惑がかかってしまうのではと考える心理
 (ここをうまく出せると仲間であるピエロを打つエリートにも説得力)
・時折、大事なセリフを”父親”として発する

 …みたいなことができるようになったり、役作りに深みが出たりするようになり、お芝居に一貫した方向性が出ます。ただ、しつこいようなのですが、僕の妄想の話なので、素晴らしい台本を汚さないよう、周りの共演者の皆様が混乱しすぎて作品崩壊させすぎないよう、ちょっとしたエッセンスを加える程度に遊んでみるのがよろしいかと思います。しっくり来る部分がありましたらぜひ、お遊びくださいませ。一度やってみると楽しいですよ。あとは”レディ自身も事実を知らず、自分が父親かも・・・しれない”ぐらいの疑念を持っている、みたいな設定でやってみるとかもありかもですね。

 さらに、これはオススメしないのですがあえてリスナー全員に”これはもうレディはガールの父親だろう”と伝わるよう作品をつくるとすると、父親として言うであろうセリフをオカマ口調から通常の成人男性口調にしたり、それに対するガールの反応もなんとなくそれに気づいたり違和感を感じているような反応を打ち合わせたりする必要がでてきます。が、それだと台本改変やアドリブも必要になってきて作品を壊してしまうことにもなりますのでご注意ください。作者様の意向を無視することや作品の勝手な改変には私、断固反対いたしますので。

【私のアイデア紹介②】エリート役での妄想・遊び

 ”オールバックの強面”エリートこと本名ロベルト、その正体はなんと詐欺師。クールだったりダンディだったりとかっこよさを見せる色々なエリートを見ますが、私が楽しい遊び方としては『ギャップを演じる』というものです。

 エリート最大の見せ場は警察のサイレンが鳴ってから、”仕事をする”ように見せるシーンではないでしょうか。蛇足ですが、この”仕事をする”という言い方のニュアンスはポール・ニューマンとロバート・レッドフォードが共演した映画『スティング』を彷彿とさせます。この映画も詐欺師がとってもかっこいい、あぷり1番のオススメ映画ですので機会があればぜひご覧ください。

さて、話を戻します。
ラストシーンでは自らの仲間であるピエロを撃ち、レディに”即バレ”しないよう緊張感ある演技をしていたと示唆するセリフがあります。僕が考える”ギャップ”というのは、レディとガールが去ったあとに

1.レディの緊張感
2.警察が来るという緊張

 それぞれから段階的に開放されていくのをおおげさに演じてみるというものです。いわゆる”別人じゃない!?”あれ?キャラ変わった?”というレベルまで変えると結構おもろいです。イメージとしては殺し屋から居間のビーズクッションに埋まっているお父さんくらいまで変わると、とってもたのしくて、”ああ、こいつは詐欺のために芝居を今までしていたんだな”という雰囲気を出せます。特に、レディが去ってすぐのセリフでそれが出せると、初見リスナーの方に「エリートどうした?!」みたいな驚きからセリフの補完によって衝撃を与えられ、演者側からその反応が楽しめます(笑)楽しいのでぜひ。

 また、なかなかできないとは思いますが、この場合、同時にピエロとの距離感も変えれるとベストです。作品全編におけるピエロを追い込むシーンで微妙に庇うまでいかないにしても(「あれ?コレ大丈夫か・・・?」)
みたいに匂わせる微妙な間とかの伏線を1個か2個出しといたり(やりすぎるとくどいのでやるならほんとにひとつとかで充分かなと思ってます。)、
ピエロ役の方と”●●のシーンでは「おいロベルト!これ以上はまずいって!!」みたいな心境を出してほしい”とか打ち合わせして、そういうシーンも作っておくとより作品全体のまとまりが高まります。この方向性でいくとしたら簡単なところではピエロが追い詰められた時、”自分のことも知っていたか”とか”その推理あたってます”的なニュアンスのセリフを「助け舟を出す心持ち」で演じるところから始めると簡単です。
こういう遊び方もあるんだなーくらいに心にとめおきくださいませ。

【私のアイデア紹介③】ピエロ役での妄想・遊び


 天才詐欺師のピエロさん。途中連邦捜査官を騙ってみたり、最後は本当のことしかいっていないとか言いますが、それすら嘘。基本的に何やっても楽しい自由人なピエロさんです。言い回しとか作中で遊ぶと良いでしょう。

 特に書きませんが一応やったことを。。。僕がやった作品改変にならない程度のおふざけは、いわゆる大道芸人やサーカスのピエロさんがよくやる”仕込み”やロールプレイを実際に声でやってみてることが多いです。あとは時間稼ぎすれば勝ち(警察が来る)だが、余計な話で引き伸ばしすぎてレディに気づかれないかと神経をつかっている心境とかでしょうか。ちなみにですが僕はいつも頭の中のイメージで長台詞中は鳩とか国旗とかバラの花とかいっぱい出してます(笑)
今まで遊んだことはこんな感じ

・どこから出したかわからない食べ物を急に食べる、ガム噛んであえて
 レディの部屋で吐く感じとかおすすめ。
・はなほじる
・トランプ飛ばす
・咳き込んで口から何か出す
・銃を突きつけ、警戒してないようで警戒している感じで動く
 (他の3人よりあきらかに動いている感)
・レディが去った後にロベルトに変声器付別人顔マスク(ハリウッド
 メイクみたいな)を外す動きしてもらって全くの別人になる
 →コレはわけわかんなくなり失敗!

あとは演じ分けで遊ぶとか、

①基本的には道化
②警察が来た時にちょっとキリッとさせて連邦捜査官モード
③レディが去ってからはロベルトと砕けた感じ

こういうのも楽しいですよ。

その他

 ガールは自分ちょっと演じたことがありませんのでちょっとわかりません、ごめんなさい。。。。ただ、結局彼女は何者だったのかということはいつも考えます。レディ友人の娘ということすら嘘?とか、どのタイミングで構えがしっかりしてかとか、そのあたりの演じ方は楽しそうですね。あとはレディのところに書いた逆パターンでガールだけがレディを父親としっていて、レディはそれを知らないとか。そういう妄想してみるのもアリかもしれません・・・。その他にも、レディはエリートもすら信用しておらず、実は部屋には金目のものは実際ひとつもなくて、最近周りを嗅ぎ回っている”誰か(ガール/詐欺師)”を釣り出す芝居だったとか。そういう妄想をしてみるのもなかなか楽しいです。

最後に 

 GCPに対して感じていたことをすこーしだけ出させていただきました。もっと過激な解釈でのプランや激しい遊びもあるのですが、この作品が大好きな故に、一生懸命取捨選択して書いても大丈夫かな、という範囲でかかせていただきました。とてもたのしくて配役ひとつひとつが文言だけはない丁寧な設定をされており、テンポの良く誰でも楽しめる素晴らしい台本だと感じております!こうした台本を公開されているスズキドミノ氏には感謝に絶えません。10年以上ずーっと楽しませていただいております。この場を使って御礼を。本当にありがとうございます。

 そして、最後にもう一度書きますが、こうした妄想や裏読みを形に演じてみるというのは本当に楽しいもので、声劇はそうした相手の解釈を読み合いつつ楽しむという遊び方もあると昔教えていただきました。そうすることで作品に対してさらに深い造詣や可能性を得たりと、僕もこうした声劇の楽しみ方を強く支持しております。というわけでそんな(しつこいですが作品破壊しない程度の)楽しみ方をする方が増えて、僕自身も楽しみたいなということからnote記事を残させていただきます。

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