Webページの多言語化対応をした話
こんにちは!Webrydayのディレクター、みずこです。
noteの執筆は今回で2回目になるのですが、前回の投稿からだいぶ日が空いてしまいました…
今回はWebサイトの多言語対応について書いていきたいと思います。
感染症自粛期間が明け、いまや主要都市はどこに行っても人、人、人!
主要駅や観光地に行けば「ここは本当にジャパン…?」と疑問に思う時があるほど多言語が飛び交い、インバウンドであふれています。
そんな昨今、観光施設や飲食店などのサイトの多言語対応は、Web施策において重要な課題になっているのではないでしょうか。
Webサイトの多言語対応で有名なサービスのひとつにWOVN.があります。
WOVN.は、指定のタグを埋め込むことによって、自動で外国語翻訳してくれ、かつ単語登録ができるのでサイトの内容に合わせて翻訳のニュアンスまで指定できるという大変便利なサービスです。
が。
規模の大きいサイトや日常的に更新を行わないサイトにとっては、少し(けっこう)(いや、かなり)割高なんですよね…。
外国人観光客の来店が増えたので、メニューや注意書き、商品の購入方法なんかは多言語で載せておいて、できるだけ店舗への問い合わせや案内のオペレーションを増やさないように運営したい…
でも英語はともかく中国語や韓国語は全然わかんないし、自動翻訳は「なんでこうなった?!」みたいな翻訳にされそうで不安!予算もあんまりない!
そんなサイト担当者の方はけっこう多いのでは…??
と、いうことで。
今回はLPの多言語対応をしたわけですが、その際に利用したサービスについての使用感と、多言語化するにあたって注意したことについてをご紹介したいと思います。
クラウド翻訳サービスConyacを使ってみた
自動翻訳のツールは世に溢れていますが、できればネイティブ翻訳で対応したい、というご要望に応えて
今回はConyacというクラウド翻訳サービスを利用しました。
Conyacは翻訳の仕事に特化したクラウドソーシングで、世界中の翻訳者が登録しています。
翻訳の依頼方法は全部で4種。
今回は③のStandard翻訳を利用しました。
Conyac Standard翻訳について
費用は一律で、原文が日本語の場合は1文字につき6.6円。
基本的には依頼をしたタイミングで対応可能な翻訳者が翻訳対応しますが追加費用を支払うことによって、翻訳者を指定することが可能。
ダブルチェックにも対応しており(有料)、翻訳が問題ないか不安な場合は別の翻訳者に内容をチェックしてもらうことができる
修正期間は翻訳済テキストの提出から24時間
サービスを使ってみた感想
<良かった点>
どの言語も原稿である日本語1文字につき6.6円のため、費用が大変分かりやすかった
依頼後比較的早い段階で翻訳対応が開始される。
⇒早いものだと依頼後5分以内、遅くとも1時間以内には担当者がついており、翻訳が開始されていました。対応が非常に迅速で、緊急の依頼に最適。
⇒今回依頼したテキストは5000文字以内だったため、2~5時間程度で翻訳が上がってきていました。できるだけ短いワードでわかりやすく…などの指示にも配慮して翻訳してくれる
<微妙だった点>
ファイルアップ翻訳は、ファイル自体が共有されるわけではなく、翻訳者にはファイル内の文字列しか共有されない。
⇒Webサイトやバナーなどの画像ないテキストの文言はデザインにあわせた表現をしているため、修正指示を伝えるのがけっこう難しい翻訳者によって、ニュアンスに差が出る
⇒ ex )スマホの訳は「携帯電話」か「スマートフォン」か?ダブルチェック依頼をしないと上記のような細かいニュアンスに気付くことがとっても難しい・・・
オプションをつけると費用がかさむ(2名に依頼するため、倍の金額になります)
<その他>
翻訳者とは日本語でのメッセージのやりとりが可能。修正可能な時間内であれば何度でも修正を対応してくれる
メッセージ対応にはわりと差がある。丁寧に相談に乗ってくれる翻訳者もいれば、相談に対し修正だけ対応してくれる翻訳者もいる
<総括>
Standard翻訳を対応可能な翻訳者は、レベルテストの合格者のみとなっており、Conyacで取り決められた一定水準以上のレベルが保証されています。
参考:翻訳者ステータスって何ですか?
今回ダブルチェックを行い、翻訳レベル・表現などについても特に問題がなかったため、テキストのみで表現が伝わる依頼であれば安心して翻訳を任せることができると感じました。
なお、今回は翻訳者選定フェーズをまるっと飛ばせるStandard翻訳を利用しましたが、
翻訳者を選んで仕事の依頼をするConyac Marketでは、契約書の翻訳が得意な人、医療関係の翻訳が得意な人、IT系の翻訳が得意な人といったように、様々な専門分野を得意とする翻訳者が在籍しています。
お時間がある場合は依頼する翻訳者を選定した形での翻訳依頼もおすすめです。
契約成立するまでは費用は発生しませんし、時給での対応になるため(※時給は担当者によって異なります)内容によっては通常依頼のほうがコストを抑えることができそうです。
サイト制作にあたり、気を付けるべきこと
文化圏の認識の違いを理解してデザインを作る
◆カラーリングについて。
サイトの印象を大きく左右するベースカラー。
日本と海外では、色から受け取る印象が異なるということをご存じでしょうか?
例えばイエロー。
日本では『活発』『希望』などポジティブなイメージを連想するカラーですが、欧米や西洋では、『裏切り』『嫉妬』などの色として認識されることがあります。
これはキリスト教で、イエス・キリストを裏切ったユダの洋服が黄色であったということから、黄色に対しネガティブなイメージがもたれるようになったという由来があるようです。
目を引く色なので、日本でも踏切や注意を示す車の標識、信号などの危険色として扱われることもありますね。
また、日本では『穏やか』『自然』『癒し』『健康』を連想させるグリーンも、中国圏では『不貞』を意味するカラーであったり、欧米では『毒』や『不気味』といったイメージを持たれることがあるようです。
文化や宗教によってさまざまな意味合いがあるので、全く違う印象を与えてしまわないよう、注意が必要です。
◆レイアウトについて
多言語対応にあたり、日本語では短い文章でも他言語にすると単語数が増え長くなってしまう場合があります。
カード型のデザインなどは文章量に制限ができてしまったり、改行位置に影響が出やすくレイアウト崩れが発生する可能性が高いので、採用を検討する必要があります。
◆デザインの好みについて。
日本人は情報がしっかりと掲載されていることを好む傾向にありますが、海外ではすっきりとしたシンプルなデザインが好まれます。
できればローカライズしたデザインを作成するのが望ましいですが、予算には限りがあるため、構成を工夫して対応するのがよいでしょう。
制作するページの本来の目的とクライアントの意図をふまえ、必要な情報をしっかりと選別していくことが大切です。
多言語対応でのURL構造を知る
多言語サイトを作るにあたり、URLの持たせ方には大きく3つの手法があります。
①国別コードトップレベルドメイン
国別コードのドメインというのは、日本であれば『.jp』中国であれば『.cn』など、Webサイトのローカリーゼーションに最適なアプローチと言われています。
特定の国を対象にしていることがわかるため、検索エンジンに最も強くアピールでき、SEOの効果が高いとされています。
②サブドメイン
1つのドメインに対してサブドメインは複数作成することができるため、サブドメインに国別のコードを振る手法です。『.jp』ドメイン以外で私たちに馴染みのある『.com』ドメインは、国ではなく特定のドメインクラスに関連付けられている営利企業向けのドメインですので、
例えば中国語サイトの場合は『cn.ドメイン名.com』といった表記にすることで、シンプルでわかりやすいURLにすることが可能です。
③サブディレクトリ
多言語Webサイトの作成に最も多く使われているのが、サブディレクトリを使用した多言語対応です。
『ドメイン名.com/cn』といった形で、ドメインの右側のサブディレクトリで言語を区別します。
これらは①>②>③の順でローカルSEOへのインパクトが高く、しかし取得の難易度や管理コストも高いため、サイトの運用方法や今後の展開などの状況に応じてベストプラクティスは多種多様となります。
今回の制作は、すでに公開済みのサイトの新規ページの多言語対応だったこともあり、いちばん運用負荷の低い③を採用しました。
GoogleやWikipediaなどは①の国別コードのドメインで運用していますが
AdobeやNetflix、Spotifyのサイトは③のサブディレクトリで多言語対応されていますので、
必ずしも現地SEO最適化が正義!というわけではなく、企業戦略や予算にあわせたURL構造を選定するのがよさそうです。
締めのご挨拶
いかがでしたでしょうか。
多言語対応を検討されている方にとって、少しでも有益な情報となっていれば幸いです。
Webrydayでは、クライアント様の状況やご予算に合わせ、できる限りご要望にお応えできるよう日々試行錯誤をしています。
Webサイトに関するお困りごとや疑問など、ちょっとしたことでもご相談可能ですので、いつでもお気軽にお問い合わせください!
(社名がApplyNowに変わりました)