新 もういちど読む山川世界史3

前置き

いよいよ本格的に時間を作れるようになってきたので、更新を習慣づけるようにしたいね。
近所のお気に入り豆屋さんで仕入れたマンデリンをデロンギで淹れて、ベランダで飲みながら更新しているため最高に気分がいい。今まで少しずつQOL向上に向けて投資していてよかったなあ。ぐすん。
ところで最近話題(?)の「3か月でマスターする世界史」は、夫が気になると言いモンゴル帝国あたりの回から録画していて、たまに一緒に見ているのですが、やっぱりおもしろいですね。テキストも買ってあるので、山川の方が無事完走できたらぱらぱらと眺めてみたいと思います。

第1章:古代の世界~2 古代ギリシアとヘレニズム(P23-29)

さて、本題。前回の古代オリエント世界の記事はこちら↓。

第2節では、古代ギリシアとヘレニズムを取り上げる。

1.古代ギリシア・ポリス
古代オリエント世界と同様に、ギリシア人もクノッソスのクレタ文明やオリエント文明に学びながら勢力を伸ばし、専制王国へと発展する素地を持つ小王国を形成していた。しかし、前1200年ごろに東地中海で起こった民族移動(※1)のためにこれらの王国は滅ぼされる。【ここまで青銅器時代】
民族移動を経てドーリア人をはじめとする第2波のギリシア人たちが活躍するが、アテネは唯一侵入を防いだ。このような攻防の中でギリシア人の世界は拡大していくが、前8世紀には貴族の支配する都市国家(ポリス)が生まれ、アテネでも王権が弱まって貴族によるポリスが成立した。【ここまで鉄器時代】
ポリスの成立による社会の安定と人口増加に伴い、その後約200年間、植民活動が行われた。やがて平民が貴族に変わって重装歩兵制(※2)の担い手となり、軍事的役割が増したことにより政治主張を始め貴族と対立する。僭主政(※3)の時代を経て、クレイステネスの改革によって僭主を追放する陶片追放(オストラシズム)(※4)の制度をはじめとする民主政治の基礎がおこった。ペルシア帝国がギリシアに侵入したペルシア戦争(※5)で、スパルタとアテネのポリスがペルシア軍を撃退したことにより、アテネがデロス同盟を組織して東地中海一帯の支配を強めた(アテネ帝国)。さらにペルシア戦争で活躍した下級市民の発言力が増したことで、ペリクレスの主導のもとに民主政(※6)が完成した。

スパルタとアテネの間で、ギリシア世界を二分するペロポネソス戦争(※7)が勃発する。スパルタの勝利で終わったものの、アテネはポリスの民主政が精神的な支えを失い、スパルタは貨幣経済の浸透により土地を失った市民が増えて国力が衰えた。その結果、スパルタはテーベに敗れてギリシア世界の主導権を譲ることになる。(※8)

2.ヘレニズム時代
その後、前4世紀後半にギリシア世界はマケドニアの支配に入る。マケドニアのアレクサンドロス大王(※9)は、前334年ペルシア遠征にたち、10年でギリシア~エジプト~インダス川流域に至る大帝国を建設した。王の死後はエジプト・シリア・マケドニアの3王国に分裂した。
3王国のうち、エジプト・シリアではマケドニア人がギリシア人とともに支配民族となり、少数で民衆の上に立つオリエント的な専制支配を行った。
アレクサンドロスの東方遠征により、東方の文化と融合した新たなギリシア風の文化が普及するヘレニズム時代が始まった。

3.文化的特徴
ギリシア文化は、ポリスの共同生活を重んじ、政治的・社会的自由を享受した市民たちののびやかな精神によって生まれた、後世に古典と呼ばれるすぐれた作品を多く残す(※10)。また事物や人間存在への深い探求・理解を求める一方で、日常生活には神々に犠牲を供する多神教的な祭儀もあり、オリンポス12神への信仰や、オリンピアの祭典・競争、アポロン神殿の信託は、民族の一体感を持つための重要な絆であった。(※11)

ヘレニズム時代では、ポリス的な意識が失われ、個人主義と世界市民主義が盛んになる。(※12)自然科学がめざましい発達をとげ、学問の中心地はエジプトのアレクサンドリアに移り、王立研究所や大きな図書館が建設された。(※13)

おもしろ&わからんポイント

1.古代ギリシア・ポリス
※1.前回記事にも出てきた東地中海の民族移動。しかしここでも詳細な記載がない。たぶんこの海の民だろうか、結構謎に包まれていてちょっと調べただけだと移動した原因は不明のよう。夫とは気候かな、という話もしたが。うーむ、そろそろ資料集的な補助資料を導入すべきかなあ。。
※2.一般市民も武装できる=重装歩兵ができた背景としては、手工業の発展と貨幣経済による武器の価格下落があるとのこと。(参考:重装歩兵・密集部隊 (y-history.net)
※3.僭主政って何?と思って調べたら、権力を使って市民を味方につけた独裁政治のことらしい。(参考:僭主政 (y-history.net)
※4.村八分的なもの。実際はそんなにひどい扱いではないぽい。僭主かどうかを投票する際に陶片を使うとな。(参考:陶片追放 - Wikipedia
※5.ペルシア戦争だ!マラトンの戦いだ!これは進研ゼミ『オリンピア・キュクロス』でやったぞ。漫画でも教科書上でも、マラソンの語源はマラトンの戦いの伝令エピソードとの記載があるが、ネットで調べるとヘロドトスの記載は違うみたい。
※6.この教科書、今のところすべてのコラムがおもしろい。コラム(P25)によると、ギリシアの民主政の特徴が、直接民主政かつ女性や在留外国人の参政権なし、というのは有名な話。他にも現代と異なる点としては、最高決議機関の民会や、民会決議を審議する民衆裁判所の個別法廷、行政職などすべての重要な決断を担う構成員が、1年任期付きの抽選で選ばれた複数の市民であることが挙げられる。ここまでは私もだいたい知ってたけど、おもしろポイントは、軍事的な頂点となる「将軍」職は重任を許されており、民主政を完成させたペリクレスは、この職に連年留まることでアテネを支配していたこと。結局、本当の平等なんてものはなかなか実現しないものだ。
※7.ペロポネソス戦争だ!ソクラテスの弁明だ!しかしあっさりと終わってしまうしソクラテスのソの字も出てこない。ギリシャ旅行のとき、サントリーニかどこかの土産物屋で夫が買ったスパルタTシャツ、よかったな(写真なかった)。
※8.このころ、ポリス間の対立のため傭兵が用いられるようになった(=市民かつ戦士のあり方に変化)とのこと。なるほど~~。
貨幣経済によって武力を得た市民が、今度は武力を傭兵として切り離し商売とした過程が古代ギリシア~ローマでは重要だったわけだ。そしてさらなる貨幣経済によるスパルタの弱国化……!
だからTtT(Tears to Tiara/ティアーズ・トゥ・ティアラ。私の愛するマビノギオン的な世界観のゲーム)には傭兵育成システムがあるわけね(?)。そろそろ脳内がTtTでいっぱいになっていきそう。

2.ヘレニズム時代
※9.アレクサンドロスの征服範囲すごすぎでは!?え!?!?やばい広いすごい。マジ大王。(無知と語彙力のなさがえぐい)
アリストテレスがアレクサンドロスの先生だったんだよね。ほえーすご。
東方遠征に伴って各地に建設されたギリシア風の都市のことをアレクサンドリアと呼ぶのか。FF9のアレクサンドリアもギリシア風の都市ってことなのか。ふむー。
アレクサンドロスのコラム(P28)では、ペルシア戦争の報復を果たし、オリエント世界をアケメネス朝の専制政治から解放し、ギリシア文化をオリエントに伝えて融合させた、という通俗的な?評価に対して、ちょっと違った見方を説いている。アケメネス朝を滅ぼした後も、アレクサンドロスはペルシアや東方の文化や風俗を自ら導入し、アケメネス朝時代と地続きの豪族に行政を任せ、アケメネス朝の血縁者を妻にするなど「アケメネス朝の後継者」とも評価できる行動をした。つまり、オリエント文化を否定してギリシア文化を強要するような征服者らしい行動はしていなかった(できなかった?)とのこと。

3.文化的特徴
※10.ギリシア文化として挙げられているのは、ヘロドトス・トゥキュディデス(歴史)、アリストファネス(喜劇)、ソクラテス~プラトン~アリストテレス(哲学)。個人的には、「真理の相対性を説き、弁論術の教師としての役割をも果たしたソフィスト(P27)」の記述が一番気になる。プラトンのせいで(?)ソフィストは詭弁者だなんだと言われるが、そういうニュアンスは(当然といっていいのか)採用されていないわけで、ソフィストについてはもっと知りたい。
※11.タレス~デモクリトスの自然哲学が事物への探求を、アイスキュロス、ソフォクレス、エウリピデスの悲劇が人間存在への深い理解を表すものとして挙げられている。
それらに対置される形で多神教的な側面が述べられるのも興味深いが、よく考えるとつながりがわからないかも。
ちなみにこれはギリシャ旅行で訪れたデルフィ遺跡の写真。

アポロン神殿の柱
アポロン神殿を上から
競技場。なるほど競技を神にささげていたわけね
ペルシア戦争のサラミス島の海戦の戦利品が並べられていたらしい
神託を待つ行列が長くて、待ってる間に壁に文字を書く文化があり、
文字書き商売の人がいた。って話だったような気がする……

※12.ストア派・エピクロス派が個人主義、世界市民主義として挙げられている。ポリス⇔コスモポリタニズムの対置。エウクレイデス(ユークリッド)、アルキメデスによる自然科学の発達も。
※13.なんと日本の飛鳥・天平時代の仏像彫刻にはヘレニズム美術の影響がある(P29)との記載があり、ちょっと調べてみたらこんな記事が。仏像には「アルカイックスマイル」が、建築にはパルテノン神殿風の柱があるとか。へえ~!

後書き

さすがに盛りだくさんすぎてベランダでは書き終わらなかった。
ギリシアあたりはある程度触れてきたからイメージしやすいし、旅行の思い出も相まって楽しかったなー。
しかし盛り上がりすぎてこのペースだと遅々として進まない。古代が終わるのはいつになることやら……。

おわり。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?