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noteフェス2021【DAY3】

あっという間にnoteフェスも最終日となりました。3日目の本日は、フリーアナウンサーの倉敷保雄さんと下田恒幸さんによる「スポーツ実況という創作」のセッションをレポートしようと思います。

モデレーターは、noteディレクターの塩畑大輔さん。このセッションは、"実況とnote執筆の「共通点」とは"という記事(⇩)をもとに、塩畑さんが気になったパンチライン(聞きどころ)を広げ、質問を行うという形で進んでいきました。

■「実況」とは?

速球派であり感覚派の下田恒幸さん。そして、変化球派でプロトタイプの倉敷保雄さん。同じ実況の仕事において、タイプの違うお2人が口を揃えて仰ったのはこんなことでした。

実況とは「ガイド」のようなもの

ここで面白かったのは、ガイドに対する表現がそれぞれ異なっていたところです。

下田:実況とは、起こっていることを描写して、見えていない人に伝えること。

倉敷:実況とは、ミステリアスなもの。密室をこじ開けたり、ミスリードしたりする探偵団のようなものだと思う。

実況の仕事はいわば、耳でプレイを感じてもらうために音で導くもの。声の起伏であったり、その他の様々なテクニックを用いてガイドを行っていく。一方で、実況者は決してミスリードするガイドであってはならない。

そんなお話からは、実況を「ガイド」と捉えているお2人の根本にあるものが伝わってくるような気がしました。

■実況と創作の共通点

実況はガイドであり、クリエイター。

創作にキャッチーさは必要か?という問いから始まったこのテーマ。この中で私が特に印象に残ったのは、「リズム」に関するお話でした。

「文章の中には音感がある」と倉敷さんはいいます。文章にはリズムよく読める文章というのがあって、それと同じようにサッカーには、パスによってリズムがある。だからもちろん、実況にもリズムはある。

そこで例に出したのが、下田さんの実況でした。なんでも、下田さんの実況には七五調が使われることが多いんだとか。(今度下田さんの実況でサッカーを観る機会があれば、そこにも注目して聴いてみたいですね…!)

さらに興味深かったのは、「ここぞの場面で出る言葉は、事前に準備をしているのか?」という話題。

下田さんは、新聞の見出しを考える感覚でリズムの良いキャッチコピーを考えることがあるのだそうです。しかし、用意していたその言葉を使おう!と思って実況に臨むことはほとんどないといいます。そういう言葉は、後から聞いて恥ずかしくなってしまうとのこと。

実はお2人とも、キャッチーな言葉を事前に用意しているわけではなくて、普段考えていること(例え話など)の引き出しをたくさんもっているだけなのだそうです。でも、見出しになるような言葉がここぞの場面で出せるようにを常に意識している。

この部分のお話は、個人的にすごく興味を惹かれました。

読みやすい文章やリズムの良い文章というのは、最後まで読みたくなる文章に繋がっていると私は思っています。それはワードセンスだけの話ではなくて、句読点の打ち方であったり、構成であったりと様々な要因が考えられます。そのなかで、「引き出しに何を入れて、どこで何を出すか」というのは、実況と同じように文章表現において欠かせないものであると思うのです。

フック(誰かの心に引っかかる)=キャッチー

「フックに引っかかって、切り取った部分は持って帰ってもらえる。」文章であれば、引き出しの中身を推敲を重ねた上で言葉を選ぶことが可能ですが、リアルタイムの実況の現場ではそれができない。そんな状況で、瞬時にそのワードを引っ張り出せるというのは、やはり経験とプロ意識が成せる技なのだろうなと思ってしまいました。

■表現の土台をつくる

一つ先を予想するから、良い実況ができる。
素になることが一番こわい。

実況を行うときのポイントは、「まずは大雑把に。そこに描写を加えること」なのだそうです。そんなことを表した、「背景に色を足していく」という表現が私はすごく素敵だなと感じました。

一種のエンターテイナーでもある、実況という仕事。そんな実況のベースには、下調べが欠かせないのだといいます。実況は、過去・現在・未来について話していくもので、過去というのはベースにあたる部分。だからまずは、徹底的にリサーチすることが大切になるのだそう。

この土台作りというのは、文章を書くといった場合にもとても大切な部分ではないかと私は思いました。インタビュー記事でも、小説でも、エッセイを書くのでも。事前のリサーチというのは結局、引き出しの中身を準備しておくことですもんね。

斜めから見ると面白いこともある。
面白がってみることが大事。

そして、実況においてもnoteでの文章表現においても、やはりこの"自分が面白いと思ってものごとを見る"というのは、「創作」という活動において欠かせない要素なのだなと改めて思いました。

スポーツ実況のようにリズムの良いテンポで進んでいくこのセッション。創作に関するヒントもたくさん詰まっていて、凄く楽しかったです。アーカイブはnote公式YouTubeよりご覧頂けます!気になった方はぜひチェックしてみてください。

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