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直さず活かす、内向性

皆さまは、内向型外向型という言葉をご存知でしょうか?この言葉は、心理学者のカール・グスタフ・ユングが1921年に性格分類のひとつとして使った言葉です。当時は科学的根拠がないと言われていましたが、後の研究で、内向型と外向型では脳や遺伝子に違いがあることが分かってきたそうです。

とはいえ、人間は誰もがその両面性を持ち合わせており、その度合いは年齢・環境・経験など後天的な要素によって変化するものだともいわれています。そのため現在では、先天的な特性と後天的な要素の割合は半々程度とされているのだとか。

そんななかで、内向型に焦点をあて、内向型の特性を活かした働き方・生き方を見つけるきっかけを提案してくれる本があります。

■ 内向型と外向型の特徴

以下は、この本で紹介されている内向型と外向型の特徴として挙げられているものです。

【内向型】
・自分の内側(感覚や感情・思考など)に興味のベクトルが向きやすい
・刺激の容量が少なく、少しの刺激で十分
・元気を充電するために、くつろぎや休息が必要
・考え事やぼーっと物思いにふけることに、より楽しさを感じる
・じっくり考えて頭の中でまとまってから話し出す傾向があるので、情報処理に時間がかかる
【外向型】
・自分の外側で起きている出来事や他人に興味のベクトルが向きやすい
・刺激の容量が大きく、多くの刺激が欲しい
・積極的に外出したり、誰かと一緒にワイワイ過ごしたりすることで、元気を充電する
・積極的に活動することに楽しさを感じる
・話しながら考えをまとめていくので、情報処理のスピードが早い

あなたはどちらに当てはまったでしょうか?

「人の言うことをいちいち気にしていたらキリがないよ」「なんでも気にしすぎだよ」「完璧にしようと思わなくていいよ」

私はこれまで、そんな言葉たちを何度聞いてきたか分かりません。

そして、そんな言葉を投げかけられる度に「どうして私はこんな性格なのだろうか」と、余計に思い悩んでしまってばかりいました。なぜなら、私は私なりに、周りの言うところの『気にしない』を実践しながら前向きに生きているつもりだったからです。

しかし、それが『ネガティブな性格』からくる感情ではなくて『生まれ持った気質』によるものであることを理解してからは、自分との向き合い方も少し変わりました。

何十冊もの自己啓発本を読んだり、自分の自己肯定感を高めるために小さな挑戦を続けたり。それまでの私はそんな風に、「自分を変える」ことに費やしてきた時間が多かったように思います。それらの経験で学んだことも本当にたくさんあったけれど、「自分の特性を活かす」ことについて考えるようになったのは、ここ1年程のことです。

だから、この本を読んでまず思ったことは、この本で書かれていることに辿り着くまでに、私は沢山の遠回りをしてきたんだなあ…(5つのステップで解説してくれているなんて、もう少し早く読みたかった…!)ということでした。

■内向型を直すのではなく活かす

一言で「内向型」といっても、そこには様々なタイプに分けることができます。そこでまずは、内向型のなかで自分がどのタイプの要素が強いのかを知るところからこの本は始まります。(この本にはワークシートが用意されており、自分と向き合いながら読み進めることができます!)

実際に私も、ワークシートの項目について考えながら、本書を読ませて頂きました。その中で特に面白いなあと思ったところは、最初に行った内向型のタイプ別で挙げられた強みと、後に自分が考えた「自分の強み」が、実質的にほとんど同じ内容になったということでした。

【タイプ別(Dタイプ)の強み】
・単純作業を苦なくできる
・不足の事態を避けるために余裕をもった計画・準備ができる
・周りに流されない
【わたしの考えた強み】
・集中力が高い
・優先順位をつけ、計画的に行動ができる
・コツコツと努力できる

言葉のニュアンスは少し違うものの、本質的にはほとんど同じように思えますよね。そう思うと、自分の強みを自分自身がきちんと理解することは、それを活かす環境を見極めるためにも、大切なことなのだと改めて実感しました。

■自分らしい生き方・働き方

この本で筆者は、仕事とは、「価値を提供すること」「人の悩みや困り事を解決すること」であると述べています。

その仕事が好きで、自分の強みも活かせ、情熱をもって取り組めるのであれば、どんな仕事だって適職になり得る。

「自分には何が向いているのだろう…」「やってみたいけど自分にはきっと向いていないかも」慎重派な内向型さんからすれば、やってみたいことがあっても、最初の一歩がなかなか踏み出せないことって結構あるのではないでしょうか。

自分がやってみたいことで、誰かの役に立つことがあるならば、まずはお試しでやってみよう!

この本のワークシートの中には、『お試し体験』というシートがあります。ダメ元でもいいし、お試しでもいいので、これをきっかけに勇気を出して一歩、踏み出してみるのもいいかもしれません。

そういう私は、今は「やってみたいこと」と「自分に合う働き方」との間で葛藤を続けている状態です。しかし、このnoteを含め、「文章を書くこと」へ一歩踏み出すことができたお陰で、日々さまざまな経験や発見をすることが出来ています。

たとえそれが、働くことやお金を生むことに直結しなかったとしても、「自分らしくいられる」新しい道が開けることで、見えてくる世界がある。もしかすると私のように、次の目標や夢なんかが見つかるかもしれません。

内向型の背中を優しく押してくれるようなこの1冊。気になった方はぜひ、手に取ってみてくださいね。

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