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▶︎私がほとんど恋愛小説を読まずに育ったワケ

大学生の頃に付き合っていた彼は、本が好きな人だった。なかでも特に山田悠介さんの本が好きだったようで、アパートに置かれたカラーボックスの中には、ずらっと山田作品が並んでいた。

彼は「好きなときに読んでいいよ」なんて言ってくれたのだけど、結局私はその中の1冊くらいしか読まなかった気がする。恋愛と同じように、本にだって相性ってものがあるのだから仕方がない。

彼は、書斎のある家に住みたいと言っていた。私も書斎には一定の憧れはあって、なんなら名探偵コナンの工藤邸に住みたいくらいだ。掃除はちょっと(…かなり)大変そうだけど。

そんなことを思った私は、ふと実家のことを思い出した。

現在、私の部屋になっているその空間は、高校生になるまでは『本の部屋』と呼ばれていたのだ。本棚がいくつも並べられたその部屋には、両親の買い揃えた本や漫画などがびっしりと収納されていた。

正直、両親がどんな本を置いていたのかはまったくもって覚えていない。なにしろその部屋は埃っぽくてあまり長居したくない感じだったし、母親の趣味であろうシリーズもののミステリー小説がかなりの数を占めていたような気もする。それよりも今は、あの大量の本が現在の実家のどこに収納されているのかの方が気になって仕方ない。

でも私が、昔から本に親しみながら育ってきたのは、両親の影響だということは間違いないようだ。それに、わたしがほとんど『恋愛小説』を読まないのは母親の影響が強いのかもしれない。

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あるとき、リビングで本を読む私に向かって、父親が1冊の本を手渡してきた。

普段父が読んでいる本は、どちらかというと時代ものが多い印象だったので、手渡されたその本がゴリゴリの恋愛小説であることに驚きを隠せなかった。

ちょうど、知人にお薦めされた恋愛小説を読んでいるのを目撃したからのチョイスなのだろうが…私は普段ほとんど恋愛小説を読まないのだ。

恋愛に絡めたミステリー作品は別として、本棚にある恋愛小説なるものは、よしもとばななさんの「High and dry(はつ恋)」くらいだろう。

そんな私に、こんなゴリッゴリの恋愛小説を薦めてくるとは…流石、父である。

本の厚みもそれほどないし、せっかくなので読んでみるか…なんて、軽い気持ちで本を開いた私。蓋を開けてみれば、最後まで一気に読み進めてしまった上に、途中からは大号泣する始末で…なんというか、父恐るべし。って感じだ。

この本は、初恋の人と結ばれた後、アルツハイマーとなって自分のことを忘れて行く妻に、毎日自分たちの軌跡(昔話)を物語として聞かせるお話。「純愛」ってこういうことなんだろうなと思わずにはいられない程、とにかく美しい物語だった。

でもやっぱり、感情移入をしすぎてしまうというか、つい現実と重ね合わせてしまう私にとっては、やはり少し荷が重いところもあって。自分の頭で自由に想像することができてしまう小説においては、探偵のいく先で必ず事件が起こるような非現実的な世界に、つい逃げ込みたくなってしまうのだ。

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それにしても。父親からこんなロマンチックな本をお薦めされるとは思ってもいなかった。母親にこの本の話をしたら「お父さんは意外とそういうの読むのよねぇ。私はそういうジャンル得意じゃないから」とバッサリだった。

今思えば、私たちのために母親が選んだのであろうディズニー関係の本も、ロビンフッドとか、バグズライフとかダイナソーとかそんなのばっかりだった気がする…。(弟が虫や恐竜が好きだったからという理由も一応あるんだろうけど。笑)

でも、母が恋愛小説を読まないのは、案外私と似たような気持ちがあるからなのかもしれない。

何はともあれ、私も将来子どもが産まれたならば、なるべく本と触れ合わせながら育ててあげたい。でも、読書の趣味も親に影響されるのだとすれば、私も読書の幅を広げたほうがいいのかもしれない。

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ともきちさんとyuriさんのコラボ企画、恋愛×読書コンテストに参加させていただきました。

普段「恋愛小説」をあまり読まない私にとっては、少し難しいお題でした…!でも、ドキドキもキュンキュンもしないような、こんな(企画倒しのような)視点で書いた記事がひとつくらいあってもいいのかなあということで。笑

こちらのコンテストは、7月31日まで応募可能です!皆さまもよければぜひご参加ください :)♡

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