短編小説「ドクター金松」
と、いうわけで(どーいうわけだか?)小説ですよ。
登場人物:
ドクター金松:大発明家。その発明は日本の歴史を変える!!
(かなまつ)
一太郎 :活発だがおっちょこちょいな小学生。
花子 :おませな小学生。一太郎とは双子の兄妹。
ジャス子さん:徳島ジャス子。双子のお母さん。
(田舎のデパートではありません。)
ソフトウエア会社「ジャス子システム」社長でバツイチ。
博士の片思いの相手。でも今回は出ません。
下町の昼下がり・・ここ夕陽ヶ丘商店街も平和そのものであった。
奥さんA「・・でさ、ほら、3丁目の磯田あわびさん、知ってるでしょ?」
奥さんB「あ~なんでもピラニアを飼ったってウワサね。小さいけど珍しい
種類で高価らしいって。」
奥さんA「そ~、そのピラニアなんだけど、この前、近所のドラ猫に襲われ
ちゃって逆に尻尾に、噛み付いちゃって猫がビックリしてピラニ
アぶら下げて街中走り回って・・あわびさん血相変えて町中追い
かけ回したらしいわよ!それはもう鬼気迫る感じだったとか。」
奥さんB「ま~それじゃ、ドラ猫くわえたお魚追いかけて、裸足でかけてく
妖気なあわびさんね!」
「ま~やだ!」「お~ほほほ!!」
・・え~、しょうもない話で主婦が盛り上がっているところに男の声。
「あの~すみません!」
びっくりしてそちらを見ると・・今時頭をきっちり七三に分け、もう暑いと
いうのに背広のボタンをきっちり止め、首からカメラを下げた眼鏡のサラリ
ーマン風の男が、上体をこちらに45度に傾け(おじぎのつもりのようだ)
あいそよく微笑んでいた。
男 「あの~この近所に、金松博士の研究所があるとお聞きしたのですが、
ご存知ないでしょうか?」
奥さんA「あ~あの、よく爆・・じゃなくてひんぱんに模様替えのある建物
ね!」
男 「爆?爆っていったい何の・・」
奥さんB「と、とにかくこの道まっすぐ行って商店街をはずれた右をみると
ピンクのドームが見えますからそれです・・。」
男 「そうですか、ありがとうございます。」
男はまた90度に体をおりまげて深々とあいさつすると、研究所方向へ歩い
て行った。
それを横目に、奥さんたちの会話がヒソヒソ話に切り替わる・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・
「へっくション!!」
ドクター金松「また、ワシの女性ファンがウワサしておるようじゃの?」
一太郎&花子「それはないない!」(即答)
「そ、そんな・・ハモらなくったっていいじゃろ。傷つくわい。」
昼下がり・・天才科学者ドクター金松は研究にいそしんでいた。いつもの
ように、ご近所の双子の小学生、一太郎と花子が遊びに来ていた。二人は
博士の初恋の女性であり、有名中堅ソフトウエア会社「ジャス子システム」
の社長・・徳島ジャス子さん(バツイチ)の子供達でもあった。
と、その時・・
「ピンポ~ン」
一太郎「あれ、誰か来たみたいだよ?」
・・・・・・・・・・・・・・・・
男はだだっぴろい巨大な研究室のすみの汚いテーブルに座らされ、金松博士
と面会する。
花子「粗茶でございます。」
男 「どうもどうも・・私、K物産の山田一郎と申します。こちらはあの、
高名な金松博士でいらっしゃいますか?」
金松博士「いかにも、ワシこそが世紀の天才科学者、国民栄誉賞候補、人間
国宝予定の金松吉郎 その人であ~るっ!!!」
どど~ん!!(効果音)
山田「・・え、と、とにかくお目にかかれて光栄でございます・・。早速
ですが本日こちらをお訪ねしたのは、鬼才と名高い金松博士の貴重な
発明品を是非、わが社でお取り扱いさせていただきたく参上したわけ
でして・・。」
博士「ぬゎに~!?ワシの発明品を 軽々しくも 取り扱いたい・・だと
っ!!!!!」
山田「ひ、ひえーっつ!?な、なにかお気にさわりましたでしょうか・・?」
博士「いいよ。」
山田「がくっ」
・・・・・・・・・・・・・・・・
博士「・・じゃひと通り、一般人にうけいれられそうなヤツを紹介しようか。ついてきなさい。」
「・・どうじゃ、これなんか?」
天井と床に巨大な2枚の円盤、その間にCDほどの直径のシャボン玉のようなものが浮かんでいる。
山田「えーとなんですか?これ。 」
博士「これは なんでも溶かす液体 じゃよ!!地球上のあらゆる物体、金属、ゴムその他モロモロ溶かせないものはない!」
山田「そ、それはすごい!・・でもこの円盤はなんです??」
博士「それは 重力遮断装置 じゃよ・・。何せ、なんでもとかしちゃう ので入れる容器がない。しかたなく保管は無重力状態で浮かしておくしかないのじゃよ。」
山田「ええっ~~!?しかし、この重力遮断機の方がすごいんですが!!是非これを売って・・。」
博士「次、行ってみよう!!」(by いかりや)
山田「ちょ、ま待って~!どうか、この円盤売って下・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・
次に一行は(一太郎と花子もヒマつぶしについてきてます。)なにやら大きな
投光器のようなマシンの前にやって来た。
博士「これは 金松スケスケビーム 発生装置じゃ!」
山田「え~と、何ですか?それ・・。」
博士「この光にあたった生物は透明になってしまうのじゃ。しかも全く無害。ちょっと試してみるかね?」
山田「な、なんと・・!?それもすごい!ぜひお願いします。」
スイッチオン・・と見る間に山田の体は透明に!
一太郎「すごい!本当だったんだね!!」(疑ってたのばればれ(笑))
花子「う~ん・・今度の博士、ちょっとすごいかも?」
博士「むははは・・そうじゃろそうじゃろ!」
と、盛り上がっている中、山田の声・・
山田「あの~本当に私透明なんですか??なんにも見えないんですけど・・。」
博士「そりゃそうじゃ!眼球の水晶体も網膜も透明なんだから物なんて見えんよ?」
山田「・・じゃ、戻して下さい。」
・・・・・・・・・・・・・・・・
また、別の形の投光器の前に来た博士達。
博士「じゃこれなんか、どう? 金松スケチャウビーム」
山田「さっきのとどう違うんですか??」
博士「今度のは、透明になるんじゃなくて本当にスケちゃうんじゃよ。」
と、いいながら片手をビームにあてる。
花子「なんにもかわらないじゃない!」
博士「いや、かわっとるよ。」と、いいながら手を壁にあてると、なんといきなり腕が壁がないように抵抗なく吸い込まれていく!!
一同 「ええっ~!!」 (JOJOの奇妙な冒険のカーズみたい・・)
「で、この金松スケナイビームでもとにもどるのじゃよ・・。」
次に金松博士は手を金松スケナイビームにあてると、何事もなかったかのように、その手で湯のみを持ち、お茶をすすり始めた。
博士「理論的には分子間のスキマをどうたらこうたら・・なんじゃが、とにかくこのビームを当てれば、矢でも鉄砲でもすり抜けちゃうのでとにかく不死身!なにものもさえぎる事はできんのじゃ!」(ま、もっとも矢も鉄砲も持てんけど・・(笑))
山田「これはすごい!これを軍事・・とにかく一回やらせてください!このスイッチですね!!」
博士「・・で、その前に注意が、ありゃおそかったか??」
山田「スイッチオ~ンッ! 」ぽちっとな。
と、山田が光に包まれるや、次の瞬間消えたのだった。
一太郎「博士!あの人、突然消滅しちゃったけど??」
花子「・・一体、どこへ消えたのかしら・・?」
博士「いや、今のビーム全身にあびたから、全身がどんなものでもすり抜けるようになっちゃたんじゃよ・・。ところがじゃ、地球には重力ってあるから・・まーその~早い話。」
だまって、指を下に向ける。
一太郎 & 花子「ドシェ~!! 」(赤塚ギャグを彷彿させるズッコケ)
博士「まーまー、落ち着きなさい。金松レーダーと金松トラクタービームですぐに引っ張りあげるから。」
花子「そんな。。窒息しちゃうんじゃないの??」
博士「大丈夫。なんでもすり抜けるというのは、カラダの成分が非常に希薄になっとるのじゃよ・・。体内でほとんど酸素消費しないから、まーせいぜい10秒息とめたようなもんじゃろうて。」
数時間後・・
呆然と床に座り込んでいる山田とその肩にやさしく手をかけている博士。
山田「マ、マントルを見た!見てしまった・・。 」
博士「・・うん、うん。」厳粛な顔つきでうなづく金松博士。
・・・・・・・・・・・・・・・
博士「・・なんじゃ、実用レベルの発明品が見たかったのか、それならそうと最初からいってくれないと・・じゃから実験段階のを見せちゃったじゃないか(笑)」
(をいをい・・)
げっそりした山田を引き連れ、一行が来たのは大きめのロッカーほどの装置。
一見、檻のように金属の棒が一定間隔で床と天井をつないでいるのだが、目があらいので、人間の幅なら自由に出入りできる・・。
博士「これが自信作 停滞フィールド じゃよ。なんとこの中にいるものは3分間不死身になるんじゃ!」
山田「不死身・・といいますと?もしかして死なない事ですか??」
山田は一太郎と花子が、自分の後ろで「う~ん・・コレ、紹介するかあ?」という微妙な表情を見せている事に気づかない。
博士「そうじゃよ?例え核兵器をもってきても大丈夫!!ものは試し・・入ってみなさい。な~に大丈夫!これは本当に3分で効力がきれるんじゃから、数時間も地底のマントルの中をさまよったりする事はな~い!」
何が大丈夫なのかはわからない?が、不死身という言葉がいたく山田の琴線を刺激したらしい。
山田「それはマコトですか!?もし、本当に不死身なら兵・・と、とにかくためさせていただきましょう。」
少しあわてたように言葉を切る山田・・停滞フィールドに入る。
山田「これが不死身の装置?ですか。」
博士(スイッチを押しながら)「そう、なんと、マシンとその中の時間を3分間だけとめる事ができるんじゃ!!なんでもとまっちゃうから当然不死身・・」
突然、金松博士の声と意識が途切れた・・。
山田「ハッ?私は何をやっていたんだ!?」
ふと気がつくのもつかの間、一太郎と花子、金松博士が山田のカバンを物色中なのを発見・・。
一太郎「博士、見てみて!暗号解読器と通信機・・この人、アジア某国のスパイだよ!どうりで日本の企業は博士の発明に懲りてるはずなのにK物産なんて変だと思ったんだ!」
花子「まあ、パスポートがこんなに!・・貧相な写りの写真ね! 」
山田「お、おのれら~!もう、ゆるさん!!正体を知られたからには一緒に来てもらおう!」
スチャッと、すばやく背広の内から隠し持っていた拳銃(トカレフね)を抜き、ピタッと3人に狙いをさだめる・・。おもわず手をあげる3人・・。
山田「ガキは足手まといだから始末するかな?・・グフフフ」
一太郎「あっ、トカレフ!44マグナムとかじゃないの?かっこ悪~。」
花子「あなた、ものすんごく最初とキャラ変わっているわよ?」
山田「ほっとけ!!このやろ~冷静に対処しやがって、ぶ、ぶっ殺す!!」
そのとき、博士が床の一部を踏むとカチッっといい音がしてコンピュータ音声・・
「自爆装置がセットされました。爆発まであと20秒。なお、解除はできません。 」
山田「な、なんだ?じ、自爆装置!?」
ハッと気づくと博士たちがいない。
山田「くそ、ど、どこへ・・あっ、お、お前らいつのまにか停滞フィールドに!」
博士「お元気で~。」
停滞フィールドの中でにこやかな顔で手を振る3人。
博士がスイッチを押すとそのままのポーズで3人の時間が停止した。
山田「ちょ、待て!俺も入れろ!おい、こら聞こえてんのか!? 」
コンピュータ音声「爆発まで、あと5秒。 」
山田「うわ、おい、あやまる!ごめんなさい。入れてちょーだい!! 」
コンピュータ音声「・・5、4、3」
山田「ひ、ひええええええええ~!!!!!! 」
コンピュータ音声「1、0」
どっか~~~んっ!!!!!!!!!
研究所の大爆発とともにあたりは地響きが!!
・・・・・・・・・・・・・・・
主婦A「あら、いやだ・・また金松さんのとこ爆発しているわよ! 」
主婦B「や~ね。今月もう2回目じゃない。」
・・・・・・・・・・・・・・・
3分後・・停滞フィールドから出た3人は、半死半生でピクピク動いている
山田をなんなく捕らえた。
一太郎 「博士・・コレ、どーすんの?」
博士「自衛隊の公安部の知り合いに引き渡すか。どうせザコじゃな。」
花子「また研究所建て直しね!ちょっとは節約しないとたまに発明が売れてもぜんぜんだめじゃん!」
金松博士「まったくじゃな・・。なーははははははははは! 」
今日も平和な一日なのであった。
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