ショートショート「彼」


あたしは彼が大好きだ。うんと甘やかしてくれるから。

もう、恋人と言ってもいい。

「まだ眠たいわ」
「いいよ、すきなだけお眠り」

私達は一週間に一度会い、それは楽しく遊ぶのだ。

家でゴロゴロ、ゲームをしたり、お菓子をつくったり、ショッピングをしたり……

だけど、ああ……12時になると魔法が解けてしまう。

そして12時ピッタリになると彼は出て行き、入れ違いにヤツがくるのだ。

「12時だ。交代の時間だ。行かなきゃ」
「ああ、行かないで、ずっとそばにいて!」
「ごめん、また来週……さよなら」
「いや! 行かないで!」

私は絶望に崩れ落ちる。扉を出て行く彼。
そこへヤツが現われる……

「どうも~『月曜』です! こんばんわ!」
「いやああ、『日曜』! 戻ってきてー!!」



(了)

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