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食卓の向こう側(8)家庭科 授業は未来に役立ちますか

2003年12月に西日本新聞で掲載された「食卓の向こう側」、今回のテーマは家庭科。。。


「前は、ご飯と汁物とおかずを一度に作っていましたが、今は一時限に一品が精いっぱい。しかも準備から後片付けまで含まれるから、ほんと、大忙しです」

福岡県内のある中学校の家庭科教諭は、料理実習で「一汁一菜」すらできない現実を嘆いた。家庭で「食」を学ぶ機会が減る一方、教科を分担する学校も、悩みを抱えている。

昨年度から導入された新学習指導要領。中学校の「技術・家庭科」の授業時限数は、以前の年間70、105時限が、一、二年に、三年は35時限になった。

三年生は単純計算で週一時限から0.5時限に半減したことになる。

「食のほかに、衣・住と教える項目は多い。食にさける時間はまずか。生徒も、中学校に入ると高校受験がちらついて『家庭科』の授業に身が入らない傾向があります」。別の中学校の家庭科教諭は、心中を吐露する。


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二冊の中学校家庭科教科書、1962年のものと現在のもの。

六十二年の調理実習のメニューを見ると「シチュー「白菜の漬物」「ハンバーグ」と多種多様。

魚の三枚おろしもある。現在は、魚のおろし方は出てくるが「(包丁を使わず)手でおろす方法」、ハンバーグは「冷凍食品の上手な使い方」として紹介されている。

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「働く女性の増加、塾通いで忙しくなった子どもたち。昔の生活に戻れとはいえないけど、あまりに合理的すぎるような…」

家庭科教科書を研究のテーマにする福岡教育大教授の甲斐順子は、割り切れなさをのぞかせる。

「こんな報告があります」と甲斐が教えてくれたのは、三十代半ばを境に「栄養を考えた手作りの食事にこだわる女性と、手作りより電子レンジを使ってスピードを求める女性とに分けられる。それは中学校の指導要領の改訂とリンクしている」という内容。

六十九年告示の指導要領では、カロリー計算やバランスの取れた献立を考えることに力点を置いていた。

次の七十七年告示の指導要領では、家庭科の授業は男女一緒に受けるようにし、教科書も共通の一冊に、その内容は簡略化された。甲斐は「学校で何を学ぶかが、将来の食生活に大きな影響を与えるのでは」。


「こっちがうまいかな」「塩を入れた方だろう」十一月、福岡市中央区の福岡教育大付属福岡中学校であった二年生の家庭科の授業。カツオとコンブでだしを取り、うまみを出すことに取り組んだ。


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担当教諭の宮田三佐枝は「自分で味を確かめる力が育てば」。生徒たちが調理技術を競う「包丁名人大会」を開いたり郷土料理を紹介した「フード新聞」を編集させたり、教科書に”ひと味”加えた授業を続けてきた。


以前、生徒にスローフードとファーストフードのどちらが望ましいか、アンケートを取った。栄養バランスが優る「スローがいい」と答えた生徒が多かったが、宮田はファスト派を否定しない。

「生徒の忙しさは仕方ない。それを受け入れた上で必要なものを見分ける力、つまり生きる力を身に付けさせることが必要ではないか」。現場の模索が続く。


中高生はコンビニ食が好き

東京ガスの都市生活研究所が2001年に首都圏の中高生を対象にしたアンケートによると、コンビニで買う食品(複数回答)は「パン」(50.0%)、「おむすび」(43.7%)が上位。また95.7%がコンビニで買った食べ物は「おいしい」と答えた。

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転載終わり


私が中学一年生の時(1979年当時)は、家庭科の授業があったのを覚えている。料理の実習や縫い物など教えてもらった。

その時に冷凍食品を勧められたことはない。昔は魚の三枚おろしも教えてたのね。私は生の魚は苦手で触われないし、ましておろすなど到底無理💦

三十代半ばを境に「栄養を考えた手作りの食事にこだわる女性と、手作りより電子レンジを使ってスピードを求める女性とに分けられる」とあるけど、

2003年で三十代半ばということは2021年の今は五十代前半を境に分かれる??私の年齢に近いあたり、興味深い!


毎回ちがうテーマで色々な角度から食の問題を切り込む「食卓の向こう側」この連載もあと2回で終わり。

このシリーズの記事を楽しみにしてくれる人がいることをコメント欄で知り、うれしくなった「らんみか」です!

食についての記事、もう少しだけお付き合いくださいね〜。


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