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学生の競争と社会人の競争の違い

戦略コンサルタントのアップルです。
久々の投稿になってしまい申し訳ありません。

今回は、学生と社会人で競争原理がどう根本的に変わるのかということについて書いてみたいと思います。これから社会人になる学生さんや、社会人なりたての方にはヒントになる部分もあると思いますのでぜひご覧ください!

学生の競争

アップルが学生だったのはもはや遠い昔ですが、思い出しながら書いてみます。アップルは地元の小、中、高校を卒業し、大学に進学し、東京で就職しました。最近では大卒の人が増えていますが、中卒、高卒、専門学校卒の方もいらっしゃいます。最終学歴が何であれ誰もがいわゆる「学校」で何かしらの教育を受けている/受けてきたことでしょう。

ではその競争原理とは何か?単純化すると以下の2つに集約と考えます。

・お勉強ができることが競争軸
・それが環境に影響される

 ・お勉強ができることが競争軸

学校教育とは何か?ということは必ずしも一口では語れませんが、その大きな位置を占めるのが「勉強」であることに異論はないでしょう。学校で授業を受けながらいろんなことを勉強する。今も昔もこれが学校教育の中核です。

そして学校教育には「テスト」や「偏差値」が伴います。学力がテストで測られ、学校が偏差値で測られます。したがって「テストでいい点を取れる」という意味での頭の良さが競争の軸になります。もちろん、これ以外にも、「スポーツができる(運動神経が良い)」とか「生徒会長としてリーダーシップをとれる」とか、身体能力や人間力のモノサシもありますが、「頭の良さ」の重みが大きいのは今も昔も大きくは変わらないでしょう。

 ・環境に影響される

学生の競争は「テストでいい点をとれるという意味での頭の良さ」が競争軸であるということに加え、それに関し「家庭環境や立地環境による教育投資の多寡によって有利不利がある」という特徴もあります。

近年、親の所得格差が子の学力格差につながっているという分析や考察がされています。家庭の所得水準によって子供に対する教育投資の金額が変わり、ひいては子供の学力に影響を及ぼすというメカニズムです。

また、以前の記事にも書きましたが、教育環境の地域格差というのはかなり大きいです。東京にはいたるところに塾や予備校がありますが、地方だと(小さな塾はあっても)河合塾、代ゼミのような大手塾が全くない地域も多数存在します。大手塾に通いたくても通えないというディスアドバンテージが地方には存在するわけです。つまり立地環境による有利不利が存在します。

以上まとめると、学生の競争原理とは、

・「テストでいい点をとれるという意味での頭の良さ」が競争の軸
・その競争において「家庭環境」と「立地環境」が大きく影響する
  -家庭環境:家庭の所得水準や、親の教育に対するスタンス
  -立地環境:都会は有利で、田舎は不利

となります。このゲームの勝者が、(学力偏差値が高いという意味での)いい高校や大学に進学し、さらにその学校名がブランドとなって就職上も有利に働くわけです。

社会人の競争

では、社会人になってからの競争は、どのように「原理」や「モデル」が変わるでしょうか?アップルも社会人になって15年程度経つので、その経験も踏まえてまとめてみたいと思います。

キーワードを頭出しすると、次のとおりです。

・個人プレーからチームプレーへ
・胆力が重要になる
・環境適応力が必要になる
・環境要因からは解放される

順にお話しましょう。

 ・個人プレーからチームプレーへ

学校での勉強は個人プレーです。自分ひとりで勉強し、自分ひとりでテストを受ける。そしてどの学校に進学するかという進路も、もちろん親や先生にも相談するでしょうが、最後は自分ひとりで意思決定します。

一方、社会人になると、ごくごく一部の人を除いてはチームプレーで仕事をすることになります(例外はピンのユーチューバーとして食っているようなな人)。会社に入れば何らかの部署に所属して仕事をします。その部署自体がチームですし、更にその時々でプロジェクトチームのようなチームの中で働くこともあるでしょう。

チームで仕事をするということは、何をするにも協調や役割分担が求められます。また、意思決定もチームとしてすることになるため、自分ひとりで決めるということは少なくなります(チームでコンセンサスをとったり、上司に相談した上で決めるなど)。

もちろん学生の時の部活はチームですし、クラスというのも考えようによってはチームなので、学生時代にチームの要素が全くないわけではないですが、社会人になるとチームワークが当たり前になるというのは大きな変化の一つと言えるでしょう。

 ・胆力が重要になる

これが学生と社会人の一番大きなギャップだとアップルは考えています。胆力というのは要するに「度胸」です。ビジネスというのは常に不確実性が付きまといます。また業績などのノルマが課されるため、そのプレッシャーにもさらされ続けます。そうした中で自分の与えられた仕事を前に進めていかなければなりません。このときに大切な能力になるのが度胸です。

例えば経営者であれば、時に(しばしば)大きな決断をしないといけないでしょう。右に進むべきか、それとも左か。どちらが正しいかは不確実でわからない。けれど自分が決めないといけない。こういうときに、度胸がある人は「エイヤ!」と決めることができます。一方で度胸がない人は、怖くていつまでたっても決められず、意思決定を先送り/放置することになります。

この手の話は経営者じゃなくても日常的にあります。営業マンであれば新規営業先に飛び込む勇気があるかどうかが常に問われるでしょう。また、アップルが属する戦略ファームでも、
・営業開拓における胆力(パートナー)
・クライアントに対してスタンスをとる胆力(マネージャー)
・駈けずり回っていろんな人にアポをとってインタビューし、有益な一次情報をなんとしてでも集めてくる胆力(コンサルタント)
と役職層を問わず胆力は求められます。

このように胆力や度胸は仕事で成果を出す上でかなり重要な能力ですが、社会人でこのことを強烈に理解・意識している人はあまりいないような気もしています。これから社会人になる学生さんは、「社会に出ると胆力が重要」ということは頭の片隅に置いておくと良いでしょう。

なお、この胆力が面白いのは、「お勉強ができるかどうか」とはほぼ相関がない点です。東京大学を卒業している人の胆力が平均として高いわけではありません。偏差値や学歴と関係なく、胆力が強い人は強いし、弱い人は弱いというものです。かつ、自分自身が胆力が強いか弱いかは学生時代に認識するのが難しいというのもあるように思います。

 ・環境適応力が重要になる

これも大きな変化です。学校教育は基本的に「環境変化」がありません。例えば小学4年生であれば、小学4年生として学ぶべきカリキュラム(算数ならXXX、国語ならXXX、等)が定められており、そのいわば「レール」に従って学習を進めます。明日からいきなり小学4年生のカリキュラムが変わるなんてことはあり得ません。また大学入試も毎年問題は変わりますが、大学ごとの「難易度」や「出題傾向」はある程度安定しており、だからこそ過去問を解くことが対策になります。

このように学校教育を取り巻く環境は安定しているため、環境変化ということを意識することはほとんどないでしょう。

一方で社会に出ると、日々業界、企業、仕事を取り巻く環境が変わります。最近はビジネス環境の変化が昔よりはやく、激しくなっていると言われているので、かつてよりも環境変化のインパクトは大きくなっています。したがって、環境変化に応じて自身の仕事をアジャストする「環境適応力」が重要になります。

例えばコンサルの仕事でも、
・太客だったクライアントからの仕事が、クライアントの業績悪化や役員交代に伴い蒸発した・・
・つい先日まで順調に進んでいたプロジェクトが、何かしらの理由によって雲行きが悪くなってきた。このままだと炎上しかねない・・
・当初思い描いていた初期仮説が、少し検証してみると全くの見当違いだった。さて、このイシュー、はたして答えがあるのか?・・
・メンバーの一人がメンタルで戦線離脱。さて、穴埋めをどうやって、どうやってリカバリーするか・・・
といった環境変化が割と日常的に発生し、日々柔軟、迅速に環境変化に伴う課題を対処しなくてはなりません。

つまり学生時代にはレールに乗っていればよかったのが、社会人になると日々レールがくねくね動いたり、レールが途切れたりするわけです。そうした中で、レールを矯正したりレールを引き直すという「環境適応力」が大切になります。

 ・環境要因からは解放される

これは社会人のポジティブな側面です。先述のとおり学生時代は家庭環境や立地環境に左右されますが、社会人になればそこから解放されます。家庭環境がどうだろうが、立地環境(出身地)がどうだろうが、仕事には影響ありません。環境要因から解放され、自分の腕ひとつでどうにでもなる。下剋上もいくらでもできる。これが社会人のポジティブな側面でしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。あまり構造化はできていませんが、学生の競争原理・ゲームと社会人の競争原理・ゲームが大きく違うことはご理解いただけたのではないかと思います。以下に対比でまとめて本稿を終えます。

<学生時代の競争原理・ゲーム>
・個人プレー
・学力・偏差値が競争軸
・家庭環境/立地環境に左右される
・環境変化なし(レールに乗る)
     
<社会人の競争原理・ゲーム>
・チームプレー
・不確実性やノルマを乗り越える胆力が重要
・環境適応力が重要(レールを引き直す)
・つまり「総合格闘技」
  -頭の良さも大事だが、協調性、胆力、環境適応力も同じくらい大事


今回はここまでです。
最後までご覧いただきありがとうございました!

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