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ストーリーづくりの極意は「あーん、ぱくっ」である

戦略コンサルタントのアップルです。

ビジネスにおいてストーリーメイキングはかなり大事です。戦略コンサルタントの仕事でも大事ですが、経営者にもストーリーで語ることが当然求められますし、企画、マーケティング、営業の仕事などでもストーリーメイキングは随所で求められます。

そこで今回は、アップルが数々のストーリーメイキングの実践の中で到達した、ストーリーメイキングの極意をご紹介します。タイトルが意味するところは何なのか?気になる方はぜひご覧ください!

ストーリーメイキングの基本と応用

アップルも戦略コンサルタントとして常にストーリーメイキングと向き合ってきました。特にシニアコンサルタントからマネージャーにかけては、クライアント向け報告資料のストーリーを作ることをミッションに負うため、数多くのストーリーを作ってきましたし、試行錯誤しました。

アップルが5月に書いた記事でもストーリーメイキングを題材にしました。

この記事では、ストーリーにはいくつかのパターンがあり、それを知っておくことはストーリーメイキングの「土台」として有効であるというお話をしました。空雨傘ストーリー、結論ファーストストーリー、3C分析からの戦略導出ストーリーなど、ビジネスシーンで使えるいくつかの実践的な型もご紹介しました。

ただ、これらはあくまでも「型」なので、基本形でしかありません。数学でいうと公式を当てはめれば解けるような「基本問題」に該当するものです。難関大学の入試の数学の問題もそうですが、公式を当てはめればただちに解けるような基本問題はまず出ません。ほとんどはそこに一ひねりも二ひねりも加えた「応用問題」が大半を占めます。

ビジネスシーンも同様です。基本問題でかたが付くことはまずなく、常に応用やカスタマイズが求められます。ビジネスドキュメントのストーリーメイキングも、どれだけその時々の相手や状況に応じて応用できるかどうかが肝になります。

では、応用力を高めるためには、どうすれば良いのか?

アップルのエピソードからお話していきましょう。

アップルの昔のエピソード

本題につながる話として、ストーリーメイキングに関するアップルのエピソードをご紹介しておきたいと思います。

さかのぼることしばらく前、アップルがシニアコンサルタントのときでした。コンサルティングワークにもある程度慣れてきて、もう一段上の仕事にチャレンジしないといけないフェーズにありました。つまり、調査・分析とそこからの示唆出しはある程度自律的にできるようになっており、次の成長ステップとして仮説思考やストーリー思考の強化が求められる段階にありました。

そこで、当時のマネージャーの指示で、クライアント向けの報告会のワンパートのストーリーを考えさせられていたのです。「再来週の報告会の資料ですけど、アップルさんのパートのストーリーはまずは自分で考えてもらっていいですか?」という感じで。

アップルは前職の仕事でストーリーという言葉すらほとんど使ったことがなかったので戸惑いました。「ストーリーを作れってどうやって作ったらいいんだ?」と困惑した記憶があります。

そうした中でもやるしかないので、ひとまずテキストエディタでストーリーラインを書いてみて、マネージャーにレビューを求めました。マネージャーからは「うーん、この部分つながりが悪いですね」「ここの部分、メッセージがよくわからないいんですが」とあらゆる角度からの指摘が入り、合法的にボコボコにされた記憶があります笑。

ボコボコにされた後、一矢報いるため、アップルはふとマネージャーにこう質問してみたのです。

「ストーリーを作るコツって何かあるんですか??」

それに対するマネージャーの答えはこうでした。

「アップルさん、ストーリーを作るコツはシンプルですよ。「あーん、ぱくっ、あーん、ぱくっ、・・」を繰り返すだけです」

は?とアップルは思いました。何を言ってるんだこの人はと。そのマネージャーはコミュ力が高いタイプではなかったので苦笑、上記の補足説明はなく、アップルもボコボコにされた後だったため「それどういう意味ですか?」と問い返すこともしませんでした。

この言葉、やや意味不明だったこともあって、その後ずっと記憶に残っていました。ただその真意については、数年後までわからずじまいでした。

真意は「顧客志向」にあった!

「あーん、ぱくっ」の真意が分かったのはアップルがマネージャーになってしばらく経ってからでした。

結局のところ、ストーリーというのは相手に伝える手段なので、徹底的に相手の立場に立ちながら作るべきである。そうすれば自ずと最適なストーリーは見えてくる。これが真意だったということに気付いたのです。

つまり、「あーん、ぱくっ」というのは、クライアントに対しておいしいコンテンツやメッセージを次から次に口に運んであげる所作を意味していたのです。あたかも母親が幼い子供にご飯を食べさせるかのように。

相手の立場に立てば、Aというメッセージを受け取った次にどういうことが気になるか想像できます。それに合わせてBというメッセージをつなげます。じゃあBというメッセージを受け取った相手は、次にど何がほしくなるか?そこを想像しながらCというメッセージをつなげます。

これを繰り返していくことで、相手のツボにはまるストーリーが出来上がるというわけです。

メッセージA(あーん)
 ↓↓↓
メッセージB(ぱくっ、あーん)
 ↓↓↓
メッセージC(ぱくっ、あーん)
 ↓↓↓
メッセージD(ぱくっ、あーん)
 ↓↓↓

このメッセージの連鎖が最適なストーリーということになります。これはまさしくストーリーメイキングの極意だなと得心しました。

実際、これの極意を理解してからは、ストーリーメイキングに悩むことはなくなりました。

・相手の脳みそに憑依する
・「あーん、ぱくっ」を繰り返しながらメッセージをつなげる

この2つを意識するだけだからです。もちろん、5月の記事に書いたようなストーリーのパターンは土台としては使います。ただパターンが主で相手に合わせた味付けが従ではなく、あーん、ぱくっが主でパターンが従という感覚に変わりました。

おそらく小説家やドラマの脚本化は当然のようにやっていることなんだと思います。今流行りの「半沢直樹」の脚本家や監督も、視聴者に対して「あーん、ぱくっ」をめちゃくちゃやっていると思います笑。

ただ、ビジネスシーンでは、ストーリーをサプライヤー目線で作ってしまいがちです。これがビジネスコミュニケーションの食い違いの大きな要因の一つになっている可能性もあるように思います。


「ストーリーメイキングは、徹底して顧客志向で」


今回はここまでです。
最後までご覧いただきありがとうございました!

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