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戦略ファームはブラックなのか?

はじめに

コンサル業界の人気が高まる中で、戦略ファームを志望する方も新卒・中途問わず以前と比べてかなり増えていると思います。その中で「戦略ファームの仕事や働き方の実際」が知りたい方も増えているでしょう。

アップルもこの業界に飛び込むときには「仕事内容や働き方は実際のところどうなんだろうか?」ということが気になりました。しかし当時は今ほどネットにコンサル関係の情報があふれているというわけでもなく、コンサル業界本や、現役戦略コンサルの方が書いたブログの内容など、多少の情報を参考にした程度でした。入ってみるまでその実態はわからぬままでした。実態を知らなかったこそ、入った後に「想像と実態のギャップ」に多少悩まされたこともありました。

実態をある程度知った上でこの業界に入ってきてもらうほうが、採用する側、される側の双方がハッピーだと思うので、アップルもこのnoteで戦略ファームの実態をいろいろとお伝えしています。

さて今回は、実態の一つの観点として、「戦略ファームはブラックなのか?」という点についてお話したいと思います。コンサル業界を目指す以上、ある程度のハードワークをする覚悟ができている方がほとんどだと思いますが、その”度合い”がいかほどなのかについては興味があるでしょう。

戦略ファーム志望者の方をはじめとして、ぜひご覧ください。

結論から申し上げると

結論から言えば「ブラックかどうかは、あなた次第!」ということになります。

どういうことか?説明しましょう。

まずブラックかどうかの定義は「労働時間がどれくらい長いか」とします。一定の労働時間を超える場合、ブラックであると定義しましょう。一般には月の時間外労働(深夜残業や休日勤務など)が100時間を超えるとブラックな労務環境と言えるかと思いますので、「ブラックである=月の時間外労働が100時間以上」と定義することにします。

さて、戦略ファームの一人ひとりの労働時間を左右する変数としては2つあります。

1.労働生産性
その人が与えられたミッション・成果をどれだけの投下時間で達成することができるか。

2.役職
戦略ファームの中での役職。パートナー、プリンシパル・シニマネ、マネージャー、アソシエイト、コンサルタントのどのポジションにいるか。

1について。コンサルの仕事に限らず、労働生産性は一人ひとり異なります。AさんとBさんに同じ仕事が与えられたとき、Aさんは労働生産性が高く勤務時間内で終えられるが、Bさんは労働生産性が低く残業が100時間必要、ということは普通にあります。このような場合、Aさんは「ホワイト」ということになりますが、一方でBさんは「ブラック」ということになります。このようにある会社や仕事がブラックかどうかはその人の生産性に応じて変動する”相対的”な概念です。

ちなみに戦略コンサルティングのような頭脳労働は生産性の格差がかなり大きいという特徴があります。この点については以前「デキるコンサルタントとデキないコンサルタントの差」というお題の記事でまとめましたのでご覧ください。

2について。これも当たり前といえば当たり前です。戦略ファームには上述のような5~6段階の役職の階層がありますが、それぞれの階層によってミッションや業務内容は大きく異なります。アソシエイトやアナリストは調査・分析を愚直にすることがミッションですが、マネージャーになるとプロジェクトの実行責任者として顧客折衝やメンバーマネジメントをするのがミッションになりますし、さらにパートナーになると営業が主たるミッションとなります。このように役職によってミッション・業務内容が大きく異なるので、その遂行に必要な投下労働時間も変わります。

したがって、戦略ファームがブラックかどうかは「その人の生産性と役職次第」、つまり「あなた次第」ということになるわけです。

ブラック分布図

ブラック度合いを左右する「生産性」と「役職」の2軸をとって戦略ファームにいる人々の分布イメージを面積グラフにしたのが次図になります。

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この図の濃いグレーで塗られたところが「ブラック領域」です。総面積では半分くらいを占めています。(未経験の人がまず最初に就く)コンサルタントやアナリストのポジションだと6割くらいがブラックな労働をしているというのがアップルの感覚です。一方で、この階層でも上位1割くらいのハイパフォーマー(生産性が高いデキる人)はホワイトな働き方をしています。「俺の(私の)能力をもってすれば、これくらいの業務余裕っす。残業ほとんどしなくても回せます」という人は、一部ですが実際に存在するのです。

また、この図が示していることは、役職が上がるほど労務環境はホワイトになっていくという傾向です。例えばコンサルタントからマネージャーに上がればホワイト率が高まります。これは「自分で作業する立場から、作業を指示する立場に変わる」からです。またパートナーともなれば、(個人差はあるものの)自ら調査したりスライドを書いたりすることはほとんどなくなるため、基本的には勤務時間内で仕事が完結するようになるでしょう(その後のクライアントとの会食は別とすれば)。

ブラック分布図から言えること

ここから言えることは次の3点です。
・一律にブラックかどうかと論じることに意味はない。自身の生産性と役職次第

・未経験者は、自身の能力や生産性レベルを客観的に評価した上で戦略ファームに入るべき。低ければ入社して2~3年はブラックな状態に身を置くことになる可能性が高く、高ければ意外と余裕でこなせる可能性が高い

・労働時間という観点で楽になりたいなら、とにかく早く昇格すること。昇格すればもちろん責任は重くなるが、労働時間は短くなる


このようにブラックかどうかはあなた次第ではありますが、近年のトレンドとして戦略ファームもホワイト化は進んでいます。コンプラの流れとともに労務管理が厳しくなったことに加え、コロナ渦でテレワークが浸透し移動時間が大幅に削減されたこともホワイト化をかなり後押ししている印象です。アップルがこの業界に入ったころに比べれば、かなり働きやすい、ヘルシーな労務環境になっていると感じます。


今回は以上です。
戦略ファームを志望する方にとって参考になれば幸いです!

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