さようなら私のデカパン。おしゃれの矢印を自分に向ける。
私の上司はおしゃれな人である。
スラリとしたスタイルで、職場ではカジュアルなデニムからエレガントなワンピースまで着こなすし、自分の好き嫌いが分かっている。
そんな上司と運動の話となり、運動の動機を聞いたときに、
さらっと言われた言葉が衝撃的だった。
「自分が着たい服を着たいからね」
そんなこと、私が生きてきた32年間で一度たりとも思ったことがない。
「運動したことで賃金が入る」もしくは「3ヶ月後大好きな星野源と二人で会うことが確定している」ぐらいの動機がないと、今はこれっぽっちもしようと思えない。
今までの人生を振り返ると、確かにスポーツジムに入ったこともあったが、風早くん似のインストラクターに会いに行くためで彼が退職したと同時に行かなくなったし、奇跡的に走ってたときは「痩せなきゃこの恋が実らない」と思っていたからだ。(そして実らなかった)
私の運動する動機「金か男」に対して、上司は「自己肯定」のために運動していた。
前置きが長くなったが、そんなおしゃれな私の上司。
日頃から堂々としていて、自信があって、パリッとしてて超かっこいい。
そのオーラの源をたどると、
普段から自分自身を大切にする努力を惜しまないし、自分で決めていくということをしている、と思った。
「自分に自信がない」が永遠の悩み
私は、人生でことあるごとにうなだれている。
「私はなぜこんなにも自信がないのだろう?」
「自分を好きになるってどうしたらいいのか?」
自粛期間中たくさん考えてポロリと出た答えは
「誰のためでなく、自分の満足ために選択する」
がキーワードなのかな、ということ。
私は長年「人の目が自分の判断軸」になっていた。
自分の人生、ずっと他人向きだった。
他人に評価されることが前提の決断であふれていた。
服選びでも他人向きの基準が適応されていた。
ぽっちゃり見えない服か
ムダ毛処理が甘くてもいける服か(!)
…そんなことばっかり。
「自分の心地よさ」「そんな服を着てる自分が好き」なんていう気持ちは、最近、これっぽっちもなかった。
服を通すたびに嬉しくなる感覚というのは、めっきり感じてなかった。
あやにーさんのツイートで下着について考える
そんなことを考えていたときに、あやにーさんのツイートを見かけた。
下着。
服の中でも、一番内側にある布。
人の目を判断基準にしている私は、外の見える服ばかりが優先。
家族以外、誰にも見られることもないだろう私の下着、ボロボロのままアップデートしていない。
自分でもくたびれた姿で干されている下着を見ると「ああ…」って思うし、
洗濯担当の夫にもなんか申し訳ない。
「下着をつけた自分を愛でる」
そんなこと、今の自分には到底できないと思った。
そんなとき、私は下着にまつわる2つの記憶を思い出した。
ブラジャーを半年に一度新調する女子の話
「半年に一度はかえなきゃ。誰も見なくても、肌に触れている一番自分に近い部分だから絶対いいもの、新しいものじゃないとダメだよ!」
すこぶる美人ではないが、めちゃくちゃモテていた同期の言葉。
自分を大事にして、相手も大事にできる人なんだろうと思った。
新年に新品の下着を下ろす家族で育った女子の話
友人の実家では、女子は元旦に新しい下着を身につけるしきたりがあった。
その子と初めて出会ったときの印象は「自己肯定感が高い」だった。
できることは「できる」というし、
過度な自慢はしないけど、自分に対する過度な謙遜や周りへの卑屈がない。
いつも自分自身を信頼している。だからこそ周りの肯定力もすごい。
二人とも、自分に持ってない部分があり心底羨ましいと思っていたのだった。
共通点は「下着を大切にする」。
身につけるものを気にかけている人は、自己肯定感が高いということか。
でも確かにそうである。
自分を見てがっかりしながら生活するより
自分で自分を素敵だなって思う、その積み重ねが自己肯定に繋がっていきそう。
長い自分の人生、一番自分のことを知っているのは自分だ。
自分を大切にするために、まずは下着を新調する。
30代も中盤に差し掛かってきた今、私はもっと私を大切にしていきたいと思う。
まずは、自分のために服を着たい。
誰かのためでなく、自分のために着たい。
上司のように、友達のように、矢印を自分に向けてみる。
それが自分を好きになる一歩だと思った。
まずは、自分に近い存在の「下着」を新調しよう。
誰に見られなくても、私が見ている。
日々自分の一番近いところにいる、もはや自分である。
下着を見てにんまりすることができれば、自分のことをもう少しだけ好きになれそうだ。
まずは、もはや2年前にお役目ごめんになったのに使っているマタニティ用の下着、通称デカパンと、ストラップが壊れたブラジャーを捨てることからはじめよう。
谷底に落ちた自己肯定感を上げていく30代女子の話、まだまだ続くと思います。
脈絡のない話を聞いてくださり、ありがとうございました。
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