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Apple Event感想会(2024年5月7日) 新iPad Proのデザイン

薄くなった……のか?

2024年5月7日の午後11時より、Apple Eventが配信されました。

告知のビジュアルにはApple Pencilが描かれていました。iPadが発表されることは疑いがないほど明らかでしたし、実際、iPadオンリーの発表会と言っていい内容だったと思います。

Apple Vision Proの国内発売をまだかまだかと待ち望んでいた身としては、発表会後にしれっとApple Vision Proの国内発売が開始されないかと期待していましたが、こちらは空振りでした。

やはりWWDC24の開催タイミングでの発売が濃厚でしょうか。
国内発売が遅れれば遅れるほど、後継機発売までの間隔が短くなるので、実質の価値が目減りしていきます。
しかもApple Vision Proは毎年の買い替えが現実的ではない50万円という価格です(私は買い替えても古い端末を売却せずに保管しています)。
恐れているのは、買ってから1年もしないうちに後継機が発売されることです。
しかも今回の発表会ではM4チップが発表されM2チップ搭載のApple Vision Proはチップセットで考えると2世代も前の製品になってしまいました。まだ国内では発売していないのに。発売前から型落ち感が漂っています。
まあ発売したら結局買ってしまうのですが。

売ってない商品の話をこれ以上しても仕方ないので本題に戻ります。

今回の発表会では大きく分けるとiPad AirとiPad Proの新型が発表されました。
見た目に変わったところがほとんどないiPad Airの話題はパスします。
というわけで、6年ぶりのフルモデルチェンジとなったiPad Proのデザインを見ていきましょう。

まず、薄くなりました。
発表会の画像を見ると、びっくりするほど薄く見えます。

ただ、注意してほしいのは、びっくりするほど薄くなったように見えるのは13インチiPad Proだけということです。11インチiPad Proの方は大して変わってないません。

11インチiPad Proは前モデルが厚さ5.9mm、新モデルが厚さ5.3mmです。
11インチiPad Proは2018年の時点で厚さ5.9mmです。そこから6年かかって0.6mmしか薄くなっていないのです。
横に置いて見比べてみれば確かに違いはあるのでしょう。
しかし、すごく薄くなったと感動するほどではないだろうと思います。
iPhone 15 Proは14 Proより0.4mm厚みが増していますが、これを14 Proのほうがすごく薄いと言ってる人は見たことがない。0.4mmの違いが0.6mmになってもそれほど違いがあるとは思えません。

一方、13インチiPad Proでは、前モデルが厚さ6.4mm、新モデルが厚さ5.1mmです。
こちらは1.3mmも薄くなっています。これなら実感できそうな変化です。筐体が大きいぶん,薄さも強調されて感じるはずです。

となると、薄型化したことを理由に買い替えるなら13インチモデルを買わないといけません。

新しいアクセサリ

今回、Apple PencilとMagic Keyboardが刷新されました。
Apple Pencilの方は、外観が変わらないようなのでここでは触れません。

Magic Keyboardの方はファンクションキーが追加されたり、トラックパッドが触覚フィードバック対応になりました。

本体と異なり薄型化はしていないようですが、キーボードのある面にはアルミニウムが採用されました。この部分は形状もiPad本体と類似性があります。

これまではヒンジ部分だけが金属製で、本体との一体感はそれほど高くありませんでした。Apple製品ではアクセサリ系は本体とは別個の素材を使うことが多いです。これは、本体と接触した時に本体を傷つけないという意味もあると思いますが、本体とアクセサリの区別という意味もあると思われます。

今回、本体と同じアルミニウムを広範囲に採用したということは、キーボードとiPadをこれまでよりも一体的に位置付けるようになったということではないでしょうか。
MacとiPadは別物という建前を維持しつつ、いかに両者を近づけるかということをここでも意識しているように思います。

カメラユニットが変化した理由

さて、本体の外観でもうひとつ変化があったのが、カメラユニットのデザインです。

これまでカメラユニットにだけ黒のガラス板がはめ込まれていましたが、新モデルは背面と同じ素材での仕上げ。
カメラユニットの部分は筐体と一体で削り出しされているようです。

第一印象はAppleらしくない。他メーカーのスマホのカメラユニットに近い印象を受けます。
iPhoneのカメラユニットも似たようなものでしょうと言われそうですが、あちらは色は共通でも素材感が違います。

iPad Proはこれまではカメラユニットを黒く塗りつぶして一体的に見せるようにしていました。
ただ、Proモデル以外ではそういうことはやっていません。カメラレンズとマイク用の穴(とフラッシュ)があるだけなので、ユニットにまとめる必要もないのです。
今回はiPadのラインナップ全体での統一感を優先した外観を選んだということでしょう。

細かい変化の中に面白みを見出す

しかし、冷静に新しいiPad Proを見てみると、たしかに薄くはなりましたが、基本的な形状は同じで外観に劇的な変化はありません。
薄型化は素晴らしいですが、これはデザインというよりもエンジニアリングの成果です。
結局のところ、2018年にフルモデルチェンジしたiPad Proを順当にアップデートさせたものに過ぎないのではないでしょうか。

そうすると、前モデルとの違いをアピールするために、意図的にカメラユニットのデザインを前モデルから変えてきたと見ることもできるのではないでしょうか。

別に悪くいうつもりはありません。iPhoneやiPadのようにディスプレイを核にするモバイルデバイスの行き着く先は単純な板の形ですから、2018年時点でそこに到達している以上、あとはどれくらい薄くできるかという問題しか残りません。
それ以外の変化は、ある意味どっちでもいい違いなのです。
折りたたみデバイスのような新しいフォームファクタに移行することでデザインを振り出しに戻すようなことをしない限り劇的な変化は望めないのです。

変える必要のないものを変えても仕方ありません。
外観の変化が大きかった時代を懐古しつつ、細かい変化の中に面白みを見出す姿勢が大事でしょう。

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