見出し画像

Apple Vision Pro1か月使ってどうだった?意外とよかったアレ、気にならなかったアレ

Apple Vision Proの発売から1ヶ月ほど経ったので、感想などを書きたいと思います。


買ってよかったのか

まず確認するべきことは、60万円に見合うものだったかです。つまり買ってよかったのか。

答えはイエスです。価格に見合う満足感がありました。

とはいえ、国内価格が約60万円と発表されたときは買うのをやめようかと思いました。
私がいかにApple信者といえども、60万円をポンと出すのはためらいました。アメリカでの発売から半年ほど経ち、熱がすこし冷めていたことは否定できません。

同じ60万円なら、他のことに使ったほうがもっと楽しいかもしれない。予約開始日が近づくにつれて、そんな考えが頭をよぎるようになりました。

値段あたりで得られる楽しさの程度はモノによってバラツキがあるものです。
たとえば同じApple製品なら、iPhone 15 Pro Maxが18万9800円から買えます。iPad Pro(M4)の13インチモデルなら 21万8800円から買えます。

私モノにしか興味がないので、モノ同士得られる楽しみを比較しています。
とはいえ、旅行に行くとか、美味しいものを食べるとか、そういう行為と比較しても値段あたりで得られる楽しさにはそれぞれ差があるでしょう。

たとえばApple Vision Proを買ってできることがiPadと同じであれば、値段あたりの楽しさはiPadの3分の1程度しかないということになります。

Apple Vision Proのような新しいカテゴリの製品の場合は、買ってどれくらい楽しめるのか、想像がつきにくいところがあります。

ちなみに私の場合、Apple Vision Pro発売の少し前に発売したiPad Proは購入を見送っています。
すでにiPadを持っていたので、新しいiPadを買っても自分の使い方では変わり映えしないと思ったからです。
特定のモノを想定しているわけではありませんが、値段あたりの楽しさとして最低限これくらいほしいという基準はあります。かなりザックリした感覚ですが。

新しいiPadは、得られる楽しさが期待よりも小さいと判断したわけです。
それならApple Vision Proのためにお金を置いておこうと考えました。

ところが、いざApple Vision Proを買う段になると、得られる楽しさが期待よりも低い気がしてしまったわけです。

こうしてみると、値段あたりの楽しさがとか言ってますが、たんにケチなだけのような気もしてきました。結局は買ったわけですが。

買ってみたらかなりよかったのです。

なぜApple Vision Proが必要か

なぜApple Vision Proが必要なのでしょうか。

理屈でいえば、ディスプレイがメインになるデバイスとして究極のものだからです。この話は過去のnoteに書きまので読んでみてください。

ただ、Apple Vision Proを買う人は、iPadくらい持っていそうです。
大画面のディスプレイを普段から使っている人もいるでしょう。
すでにiPadを持っている人が、あえてApple Vision Proを買う必要があるのか。
こう問われると悩みます。

私の場合もApple Vision ProでやっていることはiPadと同様にコンテンツの消費が中心です。
iPadでも同じことできるよと言われると、そうかもしれません。
AR系のアプリはiPadでは体験できないものですが、そんなに長い時間使っているわけではありません。

それでも、なぜだかApple Vision Proは毎日使いたくなります。

それはなぜか。考えてみると、操作がとても心地いいのです。

目線と指先だけで全てをコントロールできる快適さがあります。
はっきりした記憶はないのですが、iPhoneやiPadを初めて触って、タッチパネルで操作できる快適さに触れた時のインパクトに通じるものがあると思います。

もちろんそれ以外にも良いところがあります。

しばらく使ってみて良いと思ったのは、いくつもウィンドウを開いて作業するのが快適であるということです。

Apple Vision Proを使ってこの記事の原稿を書いているときのことを例に説明しましょう。まずメモ系アプリでこの文章を書いていて、横にブラウザを開いて調べ物をします。
反対の横には動画サービスを開いています。ながら見でYouTubeを見ていたり、見放題系動画配信サービスの動画を見ています。

これをiPadでやると窮屈です。

ちなみに、ここからさらに他のアプリを開きたくなったときも、すでに開いているアプリが簡単に配置換えできます。空間全体が使えるので、上にも下にも配置できます。

ほかにも、巨大なスクリーンで映画を見られるのは大きなメリットです。同じコンテンツでも大画面で見るとインパクトが違います。

そのほかに、3D映像や360度(あるいは180度)映像という新しいエンターテイメントコンテンツが出てきています。

トータルで,エンターテイメントのクオリティがかなり高くなっているといえるでしょう。

ハードウェアについて

装着について

装着感はもう慣れたのですが、それでも快適とはいえません。

最初はソロループバンドを使っていました。しかし、どうも付け心地がよくない。
そこで、買って2週間した頃からデュアルループバンドを使っています。

これがソロループバンドと比較して、かなり快適でした。タイトルに書いた意外と良かったアレというのが、このソロループバンドです。
これを試したことで、フィッティングがいかに重要か理解しました。ソロループの時よりも顔面への負担が小さく、本体が軽く感じます。

Apple Vision Proよりも先に発売したMeta Quest 3は、ユーザーが様々な方法でフィッティングを改善させていました。
後頭部に小型のモバイルバッテリーを付けて、前後の重さのバランスをとったりするわけです。そこまでする必要があるのかと思っていたのです。
ですが、ちょっとしたバランスの違いがかなり大きな違いになるのですよね。

ソロループバンドの方がかっこいいのですが、快適につけられるということは日常的に使う上で重要です。

ちなみに、ソロループバンドに関しては購入時の測定でSサイズが選ばれています。
しかし、締め付けを調整するダイヤルはかなり緩めた状態でないと装着できません。Mサイズの方が合うのではないかと疑っています。

買ってすぐならサポートに連絡したらサイズ交換とかしてくれるかもと思いましたが、めんどくさいんですよね。
しばらくはデュアルループバンドを使うつもりなので、まあいいかと放置しています。ソロループバンドもSサイズで使えないわけではないですし。

ただ、ソロループでもデュアルループでも、ヘッドバンドのせいで髪型が崩れがちです。前髪が長いと、Apple Vision Proを装着するときに邪魔になります。前髪以外もバンドで締め付けることになるので、あまり見栄えがよくないんですよね。
公式サイトの写真とかを見ても、ヘッドバンドの影響を受けにくいショートかワンレングスの人が多いですよね。それかもう髪をまとめているか。
私の場合、中途半端に長いので装着した状態はあまり見栄えのいいものではありません。
家で使う分にはいいのですが、外では使いにくいですよね。

あと、日本の夏はApple Vision Proに向いてないような気がします。目元をがっつり覆うので熱がこもります。
夏場はクーラーでしっかり冷やした部屋じゃないと快適に使えません。

バッテリーについて

バッテリーは公称値で2時間ほどしかもちません。
不便だろうと思っていたのですが、実際のところ気になりませんでした。室内で使うだけなので、電源ケーブルにつなげばいいだけでした。
気にならなかったアレというのは、バッテリーもちのことです

ちなみに公式では使わない間は電源ケーブルをさしっぱなしにすることを推奨しています。
しかし、これでは満充電のまま置くことになるので、バッテリーには負担があるのではないかと思います。

そこで、使用中にバッテリーが減ってきたら電源ケーブルをさすことにしています。バッテリー残量が80%を超えたら通知が来るようにしているので、そこで充電をやめています。
私の使っているMacBookでは充電の上限を80%で運用しているのですが、最大容量がそれほど下がらずに済んでいます(充放電回数487回で93%)。

Apple Vision Proは昼間はバッテリーをつないだまま運用して、寝るときにバッテリーを外しています。
平日は夜しか使っていないので、日中に電源を入れておく意味がないのでこのような運用になっています。
起動にそれほど時間がかからないので、特に不便さはありません。

visionOS とアプリについて

基本的な操作感

Apple Vision Proを装着すると、外の様子がほぼそのまま視界に映ります。
本体のカメラが外の様子を撮影、リアルタイムで本体内部のディスプレイに映しています。
人間が自分の目で見るのと遜色ない映像を作り出しているのはすごいことです。

Apple Vision Proを手術中に装着している医師がネットで紹介されていましたが、それができるのも、映っている映像と実際の外界にほとんどズレがないからこそでしょう。

ただ、映像を捉えているカメラの性能はそれなりに明るいところでないとノイズが目立ちます。大抵はアプリを見ているので気になりませんが。

Apple Vision Proの操作についてもいちおう説明しておきましょう。
操作したいところに目線を向けると、マウスのカーソルが合ったような状態になります。そのまま親指と人差し指でつまむ動作をすると、マウスでクリックするのと同じ動作になります。

手の位置はほぼどこでもいいので快適です。

ユーザーの目線のトラッキングは、たまにうまくいかないことがあります。
かなり上のほうを見ているときとか、小さなボタン類のタップではたまに誤タップが発生します。とはいえ、全体としてはかなり正確なので、あまり気になりません。

アプリの使用感

アプリについても書きたいと思いますが、まずYouTubeのアプリがありません。
動画系は、AmazonプライムビデオとDisney+はあります。Netflixはありません。 

YouTubeは専用アプリなしでも不便ではないと最初は思っていましたが、YouTubeを見ながらSafariを使うときに不便でした。YouTube用に別ウィンドウを開かなけれなならないのですが、手間なんですよね。1回タブを消すと、次にみるときにまたタブを分ける操作をしないといけないのもめんどくさい。

それで、有料のJunoというアプリを購入しました。

キャプチャして気づいたのですが、水平を保ってキャプチャするのが難しいです。

VisionOSの半透明なデザインに最適化されていて、非常に使い心地がいいです。
動画を再生し始めると自動的に全画面になるところも快適です。
Safariでやっていると、いちいち全画面モードにする必要がありますが誤タップで再生のシークバーの方が操作されてしまうことがよくありました。
ただ、字幕の翻訳が選択できないのだけは不便ですね。

次に話したいのが写真アプリ。
3Dの写真とか動画が見られるのがウリですが、パノラマ写真の方が感動しました。
昔iPhoneで撮影したパノラマ写真を見たのですが、自分の周りをパノラマ写真が取り囲むように表示されます。旅行で撮った風景を見て、写真を撮った当時のことをありありと思い出しました。

パノラマ撮影は前からiPhoneに搭載されていましたが、iPhoneで見ても迫力はありません。
これをApple Vision Proで見るとものすごい臨場感になります。
むかしからある機能で撮影した写真の価値がこれほど高くなるとは思いませんでした。

空間写真・空間ビデオに関する機能もあります。
要するに3Dの写真と動画です。
撮影はApple Vision Pro本体でもできますし、iPhone 15 Proでも撮影できます。

Apple Vision Proで撮影する場合と、iPhoneで撮影する場合で、画角や画質に違いがあるようですが、普通に使っているとあまり意識しません。

3Dで見るにはApple Vision Proで見るしかないわけですが、小さいサイズで見るとあまり迫力はありません。Immersive Viewモードで見ると、映像が拡大されてかなり迫力があります。

ARについては、3Dのモデルを現実空間に出して見られるアプリがありますが、日常的に使うようなものではありません。
iPhone使えたPolycamもあります。3Dモデルをいろいろと空間上に呼び出して眺めることができます。楽しいですが、日常的には使いません。

ARで便利なのは、家具などを買う前にサイズ感をARで試せる機能でしょう。

家電メーカーBALMUDAの公式サイトではGreenFan StudioがARで見られます。部屋に実物大で配置してサイズ感を確認できるので便利です。スマホで見てもピンときませんが、Apple Vision Proで見ると本当に部屋に置いているように見られるので便利です。他の製品もARで見れるようにしてくれないでしょうか。

ARはスマホで見ても現実感がないのが難点でしたが、Apple Vision Proならリアルに感じられます。

高級スーツケースメーカーのRIMOWAも専用アプリを出していますが、実物大で確認することはできないようです。

アプリのウィンドウ配置については、自動整理の機能がないので、いくつものアプリを適当に立ち上げていくと、アプリ同士が重なり合ってしまいます。
これをうまい具合にワンタッチで整理してくれる機能があると便利だと思います。

アクセサリ

ケース

アクセサリというと、公式でケースが出ています。3万円くらいするやつです。
作りはいいようなのですが、あまりカッコよくないと思ったので買っていません。
表面の生地がクシャクシャなのが嫌なんですよね。

それで、別のを何か買おうと思ったのですが、ぜんぜんグッとくるのが見つけられませんでした。

適当に安いやつ買おうかと思ったのですが、ケースを探しているうちに、そもそも持ち運びをしないという運用が定着しました。結局まだケースは買っていません。

キーボード

Apple Vision ProでもiPhoneと同様ソフトウェアキーボードが表示されます。
が、キーボードとの物理的な接触が一切ない上、指の認識も人差し指限定です。これで長文は打てません。
そこでワイヤレスのキーボードを購入しました。

買ったキーボードは上にリンクを貼っていますが、フルサイズのものです。
Appleの純正品買いなさいよと言われそうですが、純正キーボードはあまりにも見慣れた外観で、全然ワクワクしなかったんですよね。
透明なやつかっこいいじゃんと思って買いました。

ただ、フルサイズのキーボードよりはコンパクトなタイプのほうがよかったかもと思っています。
部屋と部屋を行き来して使うこともあるので、軽くて小さい方が便利なんですよね。

しかも、これまでフルサイズのキーボードを使ってこなかったので、逆に不便です。なんかキーが大きくて使いにくいぞ、と。小さいのに慣れすぎてるだけなんですが。


文字入力は他にも問題があって、変換候補が入力しているアプリの画面に出ません。iPadでも外付けキーで入力時は打ち込んでいる文字の近くに変換候補が出ます。
Apple Vision Proは変換候補を表示する別のウィンドウが表示されます。

このウィンドウをアプリに近づけると操作しにくくなってしまうので、キーボードの方に近づけています。

ただ、こうすると入力中にアプリとキーボードの2箇所を確認しないといけないのでめんどくさいんですよね。ブラインドタッチができません。

スタンドとトレー

デスクの脇にApple Vision Proを置くためにトレーを買いました。そのまま置いておいてもいいのですが、なんだか収まりが悪いので。

ジュエリーとかを置くためのベロアのトレーです。
本体を傷つけないので便利。サイズ感もかさばらなくてちょうどいいです。値段は一番安いのを買ったつもりですが、それでもちょっと割高でしょうか。あと裏面はベロアではなく紙で、作りが雑です。

Apple Storeでは、いい感じのトレーが使われています。これを販売してほしいですよね。

それか、展示用の什器みたいに飾れるスタンドがあるといいですよね。
Amazonを見るとサードパーティーのスタンドもいろいろあるようですが、あまりカッコよくはない。

最後に

というわけで、Apple Vision Proを1ヶ月使ってみた感想を書きました。

今のところ毎日使っています。
使っていて楽しいので、買ってよかったと思っています。

世間では、あんまり売れ行きがよくないという話もありますが、この値段ですから仕方ないでしょう。

ゴーグル系デバイス自体は需要があると思いますので、徐々に価格がこなれていって普及していくのではないでしょうか。
たとえば、今はスタバにいる大学生ですら使っているノートパソコンも、はじめて登場したときは非常に高価なものでした。
それが世代を重ねて値段が下がってきたわけです。

いま販売されている第1世代のApple Vision Proについては、この記事の執筆時点で発売当時より円高となっているので、価格改定で値下がりの可能性もあるかもしれません。そうすればもう少し売れるかもしれないと思ったりもします。
とはいえ、アメリカ本土でも大してそれほど売れていないことからすると、値段以前にまだ様子見の段階なのかもしれませんが。


いただいたサポートは、研究用の書籍の購入、手元にない過去の製品の購入などにあて、よりよい記事の提供を目指します。