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研究活動の良さ


この間、学会に参加してきまして。

はじめましての方、
2度目ましての方、
先行研究ましての方、
見たことある名前の方がたくさん。
それに、同じように院生で心理学研究をしてる方もちらほら。



学部生の時に比べて、
圧倒的に研究に割ける時間が増えて
最近は一日中頭を悩ませ、論文を読んでは唸り、
ラジオ体操をして日々を過ごしている。




そんな中で、私なりに考えた、研究活動の良さ。
特に、大学院生として研究を行う魅力。


今日は、そんな話をしようと思います。




その①
「捨てなくて良い」


最近、就活もしてるんですよ。
その中で、就活とは"絞る"作業だということに気づいてきました。

自分の興味を探り、インターン先を選ぶという超初期段階だからかもしれませんが

いかに自分の希望とマッチする会社を見つけて、会社からも必要としてもらえるような人になるか。
全部の企業なんて見てられないし、
職種や勤務地、福利厚生などこだわりがある点である程度あたりをつけて探していく。

つまり、betterを見つける旅。



それに比べて研究は、bestを選ぶ営みです。
ふさわしい1つの結論を出すために、
全ての可能性を考慮しておく必要があります。

Aという事象を示す時は、
考えうるB~Zまでの選択肢を出しておくことが重要です。

もっというと、
研究の意義は、Aを示すことではなく、
B~Zを考えた上で1つの答えを出すというプロセスにあると思うんです。


そういう意味で、捨てなくていい。

もちろん綺麗で一貫した結果が出るに越したことはないかもしれませんが、
研究が進み複雑な知見が多くなっている現代において、
「必ず」はあまり信頼性がないとまで私は考えています。


出た結果に対して、
何通りもの解釈がある場合、
論文に書けばいいんです。
(もちろんその主張に沿った先行研究は必要になりますが)


「ご縁」だとか「タイミング」だとか
そんな都合の良い言葉に甘えず、
全ての可能性を考慮し、
ひとつずつ潰していく。
あるいは、ひとつずつ残していく。
そうしてたどり着く真理に
不要な思考なんてないというのが
とても素敵じゃないですか。




その②
「考えるのを放棄することを許さない」


研究は、マニュアルがないんです。
(もちろん、論文書く時の体裁とか、研究手法とか、
そういう意味ではあると思います)


人生において、なにかの道を走っている時、
大抵その先にはもう誰か別の人がいますよね。

でも研究で重視されるのは、
"新規性"です。

自分以外誰も進んだことの無い道に進むのです。「道を作る」と言い換えても良い。


どれだけ面白い研究でも誰かが既にやっていることはやる必要が無いし、
逆にいうとたとえつまらない研究でも、
世界初の知見であれば大当たりです。
1等賞が貰えます。

たくさんの人が、1等賞を貰える世界なんです。


「考えるのを放棄することを許さない」って
すごくネガティブに聞こえるかもしれないけど

考えて考えて、
自分だけの研究を行うことさえ出来たら
胸を張って専門家と言えるのです。


この考え方に最近の私は
すごく背中を押されているんですよね。



その③
「知的好奇心による追求美」



学会でチラッと使われた「機能美」という言葉が印象に残っていて。


「機能美」を調べると、

余分な装飾を排して無駄のない形態・構造を追求した結果、自然に表れる美しさ

と記載がありました。


無駄のないシンプルさから来る美
ということなのでしょう。




「この研究を社会で活用・応用するとしたらどのような方法がありますか」
「この研究の社会的意義はなんですか」

人類に共通する注意機能という
いわゆる基礎に着目している私に対して
卒論発表や研究授業で幾度となく投げかけられた質問。

私が苦手なその問いを、
プロフェッショナルが集まる学会で
誰一人してこなかった。

社会になにが必要か
自分の研究では何を求められているのか
現実に応用して生かせることはあるか

それを説明出来るに越したことはないけど、
ただ好きで、知りたくて、
面白いと思って、それだけで取り組む研究があってもいいじゃないか。

何かに発展させるとか、役立てるとかじゃなくて、
生来的に人間に備わる機能の解明そのものに惹かれる学生がいてもいいじゃないか。


きっと、世界は
研究者の「知りたい」というシンプルな欲望によって輪郭を獲得してきたんじゃないかと思うから。





なーんて、偉そうに研究について語ってみましたが。


最後にもうひとつ、
研究に挫けそうになった未来の私に言えることがあるとすれば、

膨大な情報量を持つこの広い知識の海に、
1人で浮かんでいるわけではない。
たまには別の人の島にお邪魔して、
初心に立ち返ること。
島はひとつでは無いし、移動させても良い。
だけど、一度走らせた島の座標は、戻ってこれるように覚えておくこと。

これだけは、心に留めておいて欲しい。





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