見出し画像

古着のノート。Vol.2 『シングルステッチの魅力』

こんにちは。APPS GENERAL STOREの伊藤です。

古着屋さんとして、見たり聞いたり、触ったり五感を使って、これまでに得た知識をお客様や後世に残していく為、記憶力のない自分の為にも、
書き綴っていければなと思っております。
(文才がない自分なので、いつまで続くかは謎ですが、、、)

さて、今回取り上げるのが、、、

Tシャツのシングルステッチとダブルステッチ問題!

古着好きなら、もうその魅力の虜であると思います。
古着初心者の方には、「何のこっちゃ?」と言った感じかと。

少しでもステッチの違いが意味する物や時代背景をお伝えできればと思い、
ここに書き綴ります。

そもそもステッチとは?

糸を通すことによってできる縫い目のパターンを指します。

そして、ここで言うシングルステッチとダブルステッチとは?

Tシャツの袖及び裾の折り返し部分の補強ステッチのことを指します。
首リブも含めるとちょっとややこしいので今回は省略します。


上:シングルステッチ
下:ダブルステッチ
  • 〜90年代初期:袖裾ともにシングルステッチ

  • 90年代半ば:袖シングルステッチ、裾ダブルステッチ (All Sportsなど一部、逆バージョンも存在)

  • 90年代後期:袖裾ともにダブルステッチ

この時代による変化を語る際に、よく言われているのは、
「時代とともに、技術革新により、シングルよりも補強力のあるダブルステッチが可能になった。」
「ダブルだとどちらかがほつれても、もう一方がほつれないことで、状態を保つことができる」

そういった側面も確かにあると思います。
ただそうすると、単純にダブルの方がモノとして良くない?となりますよね。

実は、産業発達の時代背景も重なっているんですよね。
ほとんどのメーカーが、縫製をダブルステッチに移行していく中で、
生産国も移り変わっていきます。
アメリカ製 → メキシコ製 → 中米(ニカラグア・グアテマラ・ホンジュラス) → アジア(中国・インドネシア・ベトナム)

生産国が変わっていく背景には、あらゆるコストを下げる目的があります。

そして、シングルステッチには、経験と技術が必要なためコストがかかる。そのため簡単に強度を上げられるダブルステッチができるミシンが開発されて移行していきました。

下記の記事も参考になるかと。

上記の記事内から引用させていただきます。

シングルステッチの技術は手間がかかり、年代による風合いが評価され、コレクターやファッション好きによって価値が認められています。
シングルステッチはヴィンテージアイテムの証でもあります。

NIGOがKENZOで取り入れた「シングルステッチ」ヴィンテージTシャツのデティールを深掘り

そして、年代とともに魅力的なデザインも減っていくこともシングルステッチが魅力的に感じる要因の一つです。
先に述べた通り、コストカットの中にプリントコストも含まれています。
例えば、色使いやプリントの大小など、あらゆる面で古い方が
今やろうと思ったら結構なコストがかかるなと感じるデザインが多く、
加工の方法に幅があるため、デザインも豊かです。

個人的見解はこんな感じです。
逆に、2000年代のチープなデザインやプリントが良い時もありますし、
プリント面に関することは、個人のお好みにも寄る部分も大きいかと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?