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空気呼吸器が怖くなった消防士

どうも!救急救命士のAPO隊長です👩‍🚒
今日は、空気呼吸器が怖くなってしまったという話です。

先日、消防学校に入校しました。
消防学校というのは県に一つある消防の教育機関です。

消防士として採用された後、半年くらいこの学校で教育を受けます。
そのあとに、それぞれの職場に戻っていくんですね。

その以外にも、消防団の教育が行われていたり、少年消防団といったような子供達の教育にも使われています。

そんな消防学校ですが。僕のようなベテラン消防士でも、入校することがあります。専科教育というやつで、より専門スキルを高めるための授業があるんです。火災に特化した教育はもちろんありますし、消火器や火災感知器といった設備がきちんと法律に沿って設置されているかといった予防と呼ばれる分野に特化したものもあります。

APO隊長が入校したのは、「実火災研修」というプログラムです。
大型コンテナの中に実際に火をつけて、その中に空気呼吸器を装備した訓練生が入ります。火災初期の炎の出方や煙の発生機序、火災が拡大してくるとどのように炎が進展して、最終的にどこまでなら消防士が対抗できるのか。どの時点になったら消防士は緊急退避をしなければならないのか。

火災戦術のためにも、自分たちを守るためにも、非常に重要な訓練です。

コンテナ内部のイメージです。
コンテナの外観のイメージです。

ご覧の通り、お大型のコンテナといっても5人も入ってしまえばかなり狭い空間です。炎を動きを観察するために、とても暗い。煙の動きを学習するために、入り口のドアを閉めることになるので、訓練中はコンテナの中に閉鎖された状態になります。

閉所恐怖症の方にはきっと怖い空間だと思います。
なので、訓練前には火をつけずにこのコンテナの中に入って、真っ暗にしても平気かテストを数回行います。

事前のテストで閉鎖空間も大丈夫!となったらいざ訓練開始となります。

APO隊長も閉鎖空間のテストを楽勝クリア。楽しみで仕方ない。
さあ、いざ本番です。
まずは空気呼吸器をつけてまだ火のついていないコンテナに侵入・・・そのあとに着火されて、煙の動きを観察するところから研修プログラムは始まります。

その時です。・・・。

ふっと頭に不安がよぎりました。

「あれ?」「なんか呼吸が苦しい・・」
「吸えない?」「いや、、、そんなはずは・・。」「吐けないのか?」
「空気呼吸器の調子がおかしい気がする・・・。」

👨‍🚒🤚「教官!ちょっと呼吸器の調子が悪いので、一旦退出します!」

僕は一旦コンテナの外にました。
一度マスクを外して、深呼吸。もう一度マスクをつけてみる・・・。
・・・うん・なんともない。大丈夫だ・・。ちゃんと吸える。苦しくない。

仕切り直しでもう一度、みんなの待つコンテナに入ってみる。

👨‍🚒「戻りました。大丈夫です。お待たせしました!」

・・・あれ・・・?苦しい。
「息が吸えない。」「やばい。。危険だ。」「このまま煙がきたら。。」
「呼吸回数がはやい、過換気になってしまいそう。」
「不安だ。。怖い。。。ここから出なきゃ、、。」

そんな僕の様子を、教官はしっかり見てくれていました。

👨「APO君どうする? 次もあるよ。今回がラストチャンスではない。体調の影響もある。」
👨‍🚒「すいません。今回は入りません・・・。退出します。」

僕は消防隊長です。
空気呼吸器が不安と感じたことは、今まで一度もありませんでした。
暗闇が怖いとか思ったこともありません。
だからこの訓練に応募したし、この体験をどのように職場に還元していくかということばかり考えてました。

正直ショックでした。
その後も、見学したり、授業があったりと研修は続いたんですが、その内容は全く覚えていません。

「空気呼吸器が怖い消防士」

消防士の資質が失われてしまったという虚脱感。。。
これまでなんともなかったのに、、、という自分への疑い。
これからどのように後輩に教育していけば良いのか。
この事実をどうやって上司に伝えたら良いのか。

消防士になってもうすぐ20年。
僕は大きな壁にぶち当たったのです。

ー続くー

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