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無意識の「ルールブック」

私たちは無意識のうちに作り上げた「ルールブック」を持っています。

例えば、
良いパートナーなら、家事を分担するべき。
良い友達なら誕生日に電話をかけてくれるはず。
上司ならもっとフィードバックを与えるべき。

自分自身や、自分の周りの人、一人ひとりのために作られたルールブック。
その数もページ数も気づかないうちにどんどん増えています。

例えばスポーツのルールブックは、全員がフェアに、気持ちよくゲームを進めるためにありますが、この無意識のルールブックは実は、人間関係をよくするどころか、むしろ逆に作用することが多いのです。

なぜなら、まず、自分自身がその存在に気づいていない。
もし気づいていたとしても相手にシェアしたこともないからです。


若い頃、付き合っていた恋人が
何度もデートの待ち合わせに遅れてくることがありました。
ある時、もう我慢できなくなった私はものすごく憤慨して帰ってしまいました。

「私のことを大切に思ってくれていないんだ!!」
「私の時間も大切に思ってくれていないんだ!!」

なんて数日間しばらく口を聞けないくらいの怒りと悲しみでいっぱいでした。

この時、私が使っていた分厚い「恋人用ルールブック」の中身を考えると、
「相手を大切に思っているならば、待ち合わせ時間に遅れない。」
「恋人を大切に思っているならば、待たせることはしない。」
というものでした。

今になって思うと、これは私の父親が常に言っていたこと、そして私自身が常にが守ろうとしていたことと一致していたのです。
私の父親はよく、
「人を待たせる人は常識がない。」
「相手のことを大切にできない人は時間を守れない。」
と常に自分や約束時間の30分以上も前に到着して待っている人でした。

この様に育ってきた環境や、自分の数々の経験の中で、
知らず知らずのうちに作り上げられた「ルールブック」がこの時の私の大爆発の原因になってしまったのです。

もちろん、このルールブックは自分がこうありたい、と思う理想の姿に直結する場合もあるし、良い人間関係を築くきっかけになることもあるので、一概に悪いものだとは言えないのですが、問題はこのルールブック自体ではなく、その使い方にあったのです。

それは、
1つ目は、このルールブック通りに相手は動くものだという思い込みでした。

私たちがコントロールできるのは、自分自身だけです。
相手を変えたり、周りをコントロールしたりすることはできないのです。
そこを期待したり、勘違いしてしまうと大きな問題を生みます。

では、相手を変えることができないなら、されるがままで黙って
どんなことも受け入れなければならないのか?というとそうではありません。
もちろん、より良い関係を築いていく上で、お互いに対するリクエストを伝えるコミュニケーションは必要です。

ただ、問題なのが、先ほど言ったように、
相手が自分のリクエスト(利益)に従って変わるべきだと思っていることなのです。なぜなら、これが「ルール」だから。

そして2つ目。
これは相手の行動に勝手な意味づけをすることです。

どういうことかというと、
そのリクエストに従うも従わないも、相手の自由であるのにもかかわらず、
その「従わない」という行動に勝手に「大切にされていない」、「自分は愛されていない」、「自分には価値がない」などと自分勝手な意味づけをしてしまうことです。

相手はただ単に、本当に時間の遣い方が下手なだけかもしれないのに、です。


そして3つ目、一番問題なのが、
その相手の行動に自分の感情や気持ちを紐づけることなのです。

相手は時間を守らない=私は大切にされていない=悲しい
という、自分の感情が相手の行動次第で変わるような状態に自らを置くことです。

こうなると、常に誰かのある行動で自分の感情が左右されてしまう、つまり
自分自身は全く自分の感情に対してコントロールを持てない状態になってしまうのです。

でも大抵の場合は、私たちの無意識のうちにこれが行われていることが多いのです


今、私の友達の中にも本当にいつもディナーの約束に遅れてくる人がいます。
あまりにいつもの事なので、私は、
「約束の時間になったら先に注文して食べてる/飲んでるからね。」と伝え、遅れてきた時にはいつもその様にしていす。
(時々遅れてくる前提で約束時間前に注文していることもしばしばありますが ^ ^)

この関係での私は、
「大切な友達との約束の時間は守るべき」という友達に対するルールブックを捨てたおかげで、イライラすることも、憤慨することも、そして空腹で待つこともなく、気持ちよく時間を過ごし、その友達との関係も良好に継続することができています。

全てがこの様にうまくいくとは限りませんが、
まずは自分が持っている「ルールブック」に気づくことが大切だと思います。
そしてその「ルールブック」を破棄するのか、キープするのか。キープするのであればどの様に使うのか。

これを意識的に考えられるようになると
周りの人との関係も変わっていくのではないでしょうか。



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