真夏の1週間道東出張(北海道オホーツク〜稚内)
夏の北海道女満別空港から入り、美幌町、清里町、斜里町、訓子府町、佐呂間町、下川町、雄武町、枝幸町、音威子府村、豊富町、天塩町、遠別町、稚内市により、稚内空港から羽田に帰る1週間の出張だった。
レンタカーでの道内移動距離は1200km—だいたい東京〜ソウルまでの距離だ。北海道は大きい!
初日の世界遺産知床の斜里町では、コロナも明けちょうど4年ぶりに町内のお祭りが平日昼間からやっていた。目玉のねぶた祭りは1週間前に終わったらしく、道の駅斜里に堂々と神輿が飾ってあった。
2日目の訓子府町(くんねっぷ)は、人口約4600人のコンパクトな町。道路もどこか海外映画にでてくるような煉瓦の橋を中心に、左右はブラウン色で正方形型の施設や住宅が建ち並んでいる。前日の斜里町では、形状の違う淡いオレンジや水色のパステルカラーの建物が目立ったので、訓子府は、均質な、どこかヨーロッパに来たような、そんな整頓された町だなと意外な発見だった。
となりの佐呂間町に訪れた。サロマ湖があり、訓子府町と同じような人口規模の町。ただ、ここは山あいで陸の孤島のような地形で、ここの住民たちは行動範囲がほとんど町内で完結しているようだ。道の駅では、サロマ湖の夜景を写した「サローマの休日」というポスターが貼ってある。実際のサロマ湖はいけなかったが、車で走るかぎり街の外観自体は”THE 日本の田舎”の印象なので、町の洋風でリゾートぽい地域振興ポスターには、外者の自分にとっては正直違和感があった。道の駅で帆立カレーを食べたが、さすがオホーツクの海鮮は美味しかった。
3日目は、下川町へ。日本のこんなところに•••、なんと中国政府公認の「万里の長城」があった。大量に岩が出てきたので、当時の役場と住民の方々が「万里の長城に行ってきたばかりだから、作ろうか」と本当にそんな流れで造られたそうだ。「その当時の役場職員が今の街の上層部なのもあり、下川町は柔軟な町なんだ」というのも聞いたことがある。実際登ってみると、なんとなくアンコールワットを彷彿させる。
次は雄武町へ。もう、オホーツク海がすぐそこに見える街だった。車で日の出岬までいくと、オホーツク海があり、あまりの水の透明さに心が洗われた。辛いことがあったら、時々ここに来てぼっーとしようと決めた場所だった。漁師町だが、意外にも海鮮丼が食べられる店がほとんどなく、仕方なくカフェで昨日と同じ帆立カレーを食べた。別の人から「この町には不動産屋がない」ときいて、この町は観光地というより地元の人が豊富な海産物を外に卸して成り立っている北海道の小さな漁師町なんだと知った。それにしても、県外出身者からすると憧れの360度オーシャンビューでとても見晴らしのいい町だった。
雄武町から枝幸町へむかう一般道。ずっとオホーツク海に面していて、ごく普通に牛が歩いている。
4日目は、枝幸町に行った。ここは、毛蟹漁No1の地らしく、道の駅でも冷凍して毛蟹が売られていた。これで1匹2000円だそうだ。そのまま車で三笠山展望閣までいき、人口8500人の街の景観を眺めた。
その後、人口800人規模の道内最小といわれる音威子府村へむかった。800人規模の割に、個人的には他の人口5000人規模の街と変わらないインフラがあり、栄えているなという印象だった。道の駅には、全国・全道からも多数生徒が集結する村内唯一のおといねっぷ美術工芸高校の様子が飾られていた。小規模な町に、このように多方面からくる高校生達の姿や活躍ぶりが露わになると街も住民も活気づくだろうなと想像した。
次は、人口3600人の豊富町に移ってきた。豊富温泉や牛乳が有名で、町は湯治移住の取り組みも実施していたりする。私も、はじめて豊富町の牛乳を飲んだが、コクが違う本当に美味しかった。そのまま車で宮の台展望台にのぼり、眼下に山手線沿線がまるっと二つ分入る広大なサロベツ原野を眺めた。周辺は牧場があったり、キャンプができたりするそうだ。個人的には、ここでゴルフをしたいな•••と思うほど芝生の華麗が印象的な街並みだった。
その日最後の天塩町から稚内市までは、道中、県外出身者の私にとっては、今まで見たこともない壮大な景色を眺めながらレンタカーで移動した。右手は一面の稚内湖、左手は風車の並ぶ新緑の山々。まるでアルプスの少女ハイジの風景かと思うような風情だが、現実離れのない、なぜか北海道のしっくりくる情緒ある道のりだった。ドライブ好きな方は、ぜひ一度夏にわざわざ稚内に行くことをおすすめしたい。車通りの少ないひたすら真っ直ぐな道で、山も海も風も感じられるメルヘンチックなカントリーロード。稚内へ向かう40号線の道は、北海道を存分に感じられるほんとうに贅沢な時間と空間だった。
そんなこんなで稚内に向かうも、夕暮れ時もせまってくる。お目当てだった日本最北端の宗谷岬へ直接むかった。ここは観光地だなと思ったのは、今回の出張ではじめて海鮮丼が食べられる飲食店があちこちにあったり、ホテルも多数ある。温泉もわいてるようだ。いたるホテル内にある稚内市の観光ポスターや町紹介冊子も町の心意気を感じる。「旅って、こういう場所に行くことだと思う。」の自然なキャッチフレーズに、思わずうなずきたくなるほど、居心地がよい町だった。
日本最北端の宗谷岬は、ほんとうは晴れていれば利尻島や樺太もみえるそうだ。逆に、冬の道は風が強くホワイトアウトでドライブ不向きな地だそう。稚内市は人口3万人の街で、代表的なのはニシン漁で、温泉もあり、雄大な北海道の魅力がたくさん詰まったわざわざドライブしにまた訪れたい憧れの街の一つになった。
稚内市で食べたサーモンの味が忘れられない。
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