顧客第一主義~「商売冥利に尽きる」気持ちを忘れない~
おいしくて評判のお饅頭屋さんの有名な話があります。
小僧さんが店番をしていると、身なりの汚れた乞食のような人が饅頭を1つ買い求めたそうです。
小僧さんが1つだけの饅頭を包んで渡すことを躊躇していたら、奥からご主人が出てきて「まことにありがとうございます」と深々と頭を下げ、包みを渡し、代金を受け取ったそうです。
小僧さんは後から、「どうしてご主人自ら出てこられたのですか?」と聞くと、ご主人は「さっきのお客様は、評判の饅頭を一度でいいから食べてみたいと思って、なけなしのお金で買っていかれたのだ。こんなに有難いことはないではないか。お得意様は大切しなければならないが、今日のようなお客様を大切にするのが商売冥利というものだよ」と諭されたという話です。
「お客様第一主義」や「顧客中心」といった言葉を掲げる人は多いけれど、本当にお客様を大切にするという気持ちは、損得や役割分担、契約やルールといったビジネスで決められている決め事に則るだけではなく、それを超えた商売冥利という気持ちを忘れないことにあります。
自分の仕事は誰が喜んでくれているのか?、どのようなお役立ちができているのか?売上や利益の大小や、相手が有名か無名かにかかわらず、商品やサービスをお届けして喜んでいただける刹那に感謝できる気持ちが、顧客第一主義の原点だと思うのです。
仕事において、お客様との接点、刹那を感じられることができるのは大変恵まれていることだ思います。逆に言えば、自分の仕事のプロセスに顧客接点を持つように改革・改善していくことが、原点を忘れず、やりがいを感じながら仕事ができるコツなのかも知れません。
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