見出し画像

No.4 『自分の時間』 アーノルド・ベネット

『自分の時間』 (ベネット・アーノルド 著、渡部昇一 訳 / 三笠書房)

自分の時間ー1日24時間でどう生きるか

という表紙を目にして、思わず手に取った一冊。

時間というのは、自分より多く与えられている者もいなければ、誰かに奪われてしまうこともない。誰にでも平等に与えられているものである。

また、"24時間"という決まった時間が毎日与えられ、明日以降の未来の時間を前借りする。なんてこともできない。

この本では、人生をより良いものにするために、この時間の使い方について語られている。

「もっと時間があればー」は言い訳にすぎない

毎日の生活に対する不満は、「もっと時間があればやりたいと願っているのに、やらずにそのままにしていることがたくさんある」と感じていることから生じている。

しかし、私たちは本来あるだけの時間(24時間)をすでに所有しているのだから、これ以上に時間を与えられることはない。

という真実を理解し、向き合うべきだ。

ただし、24時間という時間の中で充実した1日を過ごせるようになるには、楽なやり方、近道といったものはない。

私の場合、これまでの25年間で自分が満足できる1日を毎日過ごすことができなかったことから考えても、そうすることがいかに難しくて多くの犠牲を払い、たゆまず努力をし続けなければならないかは、たやすく理解できる。


では、どのように自分を変えていけばいいのか。

完璧なスケジュールを作り上げることができれば、充実した生き方ができると考える人もいるかもしれないが、これは大きな間違いだ。

何から始めればいいかというと、ただ始めさえすればいいのだ。

幸運なことに、未来の時間(明日の時間・今から1時間後の時間)というのは私たちのために手付かずのままで取っておかれている。今までの時間をどれだけ浪費してきたとしても関係なく。

これはとてもありがたいことであり、何か始めようと決心した時点で新規まき返しができるということである。


はじめから「大きな変化」を求めてはいけない

せっかく何かを始めたとしても、それが失敗し続かなかったらもったいない。こうならないための注意事項がいくつか述べられている。

失敗者の多くは、あまりに多くのことを企てすぎて失敗するのである。

1日24時間という限られた範囲で充実した毎日を過ごすという大事業にとりかかるために、早々に失敗するということだけは避けなければならない。

つまらない成功で構わないので、こつこつ積み重ねていくことが大事。華々しい失敗からは何も生まれないが、つまらない成功はつまらなくない成功をもたらすかもしれない。

今まで仕事以外の時間を無気力に過ごしていたが、今日は30分読書した。1時間英語を勉強した。こういう小さな変化から始めることが大事だと感じた。

1日1時間でも1週間だと7時間、1か月だと20時間にもなる。これだけの時間あれば本だったら4,5冊は読めるだろうし、英語の力も確実に向上するだろう。

こうした小さな成功を繰り返すことで自信がつき、もっと多くの時間を有効に使えるようになるかもしれない。


頭の中に「内なる1日」をつくる

平均的な社会人を例に挙げると、会社での勤務時間は8時間である。

世の中の多くの人は、この8時間を本当の意味の「1日」だとみなし、その前後の16時間を単なるプロローグとエピローグに過ぎないとみなしている。

このような姿勢が、16時間に対する関心を失わせてしまう。1日の3分の2の時間を、3分の1を占める勤務時間に付随している時間に過ぎないと捉えていては、完全に充実した1日を過ごすことなどできるわけがない。

そこで、勤務時間以外の16時間を「内なる1日」とし、この時間はすべて自分の心と身体を向上させることだけに使うのだ。

この16時間に全精力を注いだら、本業の能率が落ちてしまうと考えるかもしれないが、そんなことはない。むしろ能率は確実に上がるだろうと筆者は述べている。

この16時間に自分が何をしているのかを振り返ってみると、いかに無駄な時間を過ごしていたかに気づく。

電車の待ち時間・なんとなく開いて見るSNS・なんの興味のないのにボーッと見ているテレビ。

自分がどのような1日を過ごしているのかを内省し、16時間の「内なる1日」をいかに有意義なものにできるかに、充実した1日を過ごせるかどうかかがかっている。


財布にはまっさらな24時間がぎっしりと詰まっている

私たちの財布には、朝起きた時にまっさらな24時間が詰まっているのである。

しかし、この24時間は1日が過ぎると無くなってしまうものであり、次の日に取っておく。なんてこともできない。

その日に無くなってしまうお金だとしたら、必死に使い切る人が大半であるにも関わらず、その日に無くなってしまう時間に対しては鈍感な人が多すぎる。

私もその1人だった。

この本を読んだことをきっかけに、時間の大切さに気付かされたので、充実した1日を過ごすことができるように、小さなことからコツコツ始めていきたいと思う。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?