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「差し金」は、叩いて直す。

精度が必要な定規をトンカチで、ひっぱたいて直すなんて…

乱暴と言えば乱暴な話しです。

でも、まぁ、精度が不足していれば直すしかない訳で。

諸行無常… 世の中にある物は全て変化する訳で、定規もご多分には漏れないって事ですね。

経年変化や使用環境のストレスによって狂いが生じた場合、道具の世界では、おおよそ2つの考え方があって

  1. 狂ったので直す → 修正し易い様に工夫してある。

  2. 狂わないように頑丈に作る → 修正不能なので、狂ったら使い捨て

傾向として、日本の道具は1が多いような気がします。
(まぁ、日本でも、最近のは2が増えてますけど…)

差し金というのは、大工さんが使う直角定規兼ものさしの事で、DIYerでなくても一度くらいは見たことがあるんじゃないでしょうか?

冒頭の写真の真ん中のが差し金、左のは一般にスコヤと呼ばれる直角定規です。

どの位狂ったのかというと、

スコヤと差し金の隙間が狂い。分かりやすくするためにLEDライトで照らしています。

直角定規に差し金を当ててみると、僅かに隙間が空いています。15㎝で0.5~1mm位。

この程度、全然問題なしと言われる方も当然いらっしゃると思いますが、当方としては許容範囲を完全に超えています。

…なので、修正を試みました。
ちなみに直角定規の修正は、かなり困難です。こちらは使い捨てか…

どうやって直すのかというと、

こんな感じで角のやや内側を叩きます。

長い竿と短い竿が90度で繋がっている部分を叩くのですが、叩いて曲げるのではなくて、打痕を付ける事で金属を伸ばし、押し曲げる感じです。

今回の場合、竿の間の角度が90度より開いてしまっているので、角の外側を叩きます。
すると、その部分の金属が伸びて角度が狭まる方向に力が働く事になります。

※※※※※※ 叩き過ぎ、注意!!! ※※※※※※

叩きすぎると、当然、90度よりも狭くなってしまいます。
その場合は、角の内側を叩く事になります。

加減しないと何時まで経っても終わらない。くれぐれも、叩きすぎないように。

慎重に、時に大胆に

直角定規でチェックして、問題が無ければ終了。

隙間なし

注意として、両面を均等に叩くようにした方が良いと思います。

片面ばっかり叩いていると、反対側に反ってしまうかも知れないので。

叩き終わった角。打痕は目立ちません。
裏側の面

こんなこと、滅多に(…っていうか、初めてやりました)しませんけどね。

「正確に作っているはずなのに、なんか隙間が空いてしまう…」って感じた時は定規を疑ってみるのも必要だと思います。

騙されること、多いので。

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