想い出を仕舞う箱
弊工房の作品の中に、「多段の筆箱」というのがあります。
当方としては、ボールペンや万年筆などの筆記具を仕舞う箱を想定して作ったものですが、お買い上げいただいたお客様から伝え聞いた範囲では、想定とは違う使い方をされている方が多いように感じます。
もう、1年半ほど前の話になりますが、あるお客様からは「自分の大切にしてきたものを次の世代に引き継ぎたい」という想いから、ご購入に至ったというお話をお聞きしました。
とても光栄に感じる出来事ではありましたが、反面、あくまで筆記具や画材などの収納を想定していたため、使い難いんじゃないだろうかといった不安も感じました。
もっと見合った形があるんじゃないだろうか?
そんな想いから、試行錯誤の結果、形になったのがこれです。
まだまだ、製作の途中なのですけど…
外蓋を外すと、3段の内箱が現れます。
ちなみに外蓋は天板を山桜、側板にイタヤカエデを使いました。
内箱の蓋はスライドさせて開閉します。材料にはニレ(楡)を使いました。
楡の木は、ヨーロッパでは良縁の象徴とされているんだそうです。
柾目の素直な木目も綺麗ですよね。
側板はハードメイプル。底板は桐です。
スライドする蓋は厚みが4mm程で、何もしないと反ってしまうので、端喰(はしばみ)を入れています。
よく見ないと分からないんですけど、構造的には、
一見して、あまり目立ちませんが、よく見ると「へーっ!こんな事してあるんだ…」って感心してもらえるかなぁ…どうかなぁ… (^^;
完全には無理でも、これで支障がない程度に反りを抑えることは出来ると思っています。
まだ、かんざしを入れたりの工程があるので、全体の見かけは変わってくると思います。
なので、販売はもう少し先で、2月中に出来たらと思っています。
この件については、また、加筆したいと思っています。
とりあえずのご紹介でした。
3/30追記
本日、iichiとcreemaにて、販売を始めました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?