見出し画像

#ネタバレ 映画「スパゲティコード・ラブ」

「スパゲティコード・ラブ」
2021年作品
神様のプログラムを人は解読できない
2021/11/29 9:23 by さくらんぼ (修正あり)

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)

なかなかの力作だと思いました。

タイトル通り「コンピューターの複雑なプログラム」のようなシナリオです。

しかし、海外作品に時々あるような、観る者を混乱させる作品でもないので、そこは安心しておすすめできます。

おじさんの私には、今の若者の心の中、その焦りみたいなものが、少しだけ覗けたような気がしました。

★★★★☆

追記 ( ライフプラン研修 ) 
2021/11/29 10:58 by さくらんぼ

あれは新入社員だと思いましたが、チラシの説明文を見ると中学生だったようですね。少年が一人、コンビニのイートインで考え事をしていました。

彼の手元にあるのはライフプランを書き込む用紙。だから、新入社員研修の宿題だと思ったのです。

従来は50代からが多かったライフプラン研修を、最近の一流企業では新入社員研修で行うようです。

その青年は、書いては消し、書いては消しで紙を破いてしまい、テープで補修しましたが、とうとう完成せずに、「ノープラン」とだけ書いて帰って行きました。

人生は予定通りにいかないものです。

しかし、だからと言って何も考えないでいると、老いてから慌てるものです。良い例が年金。若い頃から準備しておかないと、老いてから欲しいと思っても手遅れになりかねません。

配偶者もそうです。結婚しようか独身主義で行こうか迷っているのは、いつでも結婚できる若者の特権です。

老いてから配偶者が欲しいと思っても、結婚してくれる相手は少なくなりますし、もしいても、お金目当てかもしれないと疑心暗鬼になったりします。そして、それ以前に、エネルギーが枯渇して、いまさらの結婚に耐えられなくなったりします。淋しさとは裏腹に。

ですから、人生はままならなくとも、若いうちにライフプラン(人生のプログラム)を、一度ぐらい真剣に考えておくのも良いと思うのです。

追記Ⅱ ( 競走馬のような生き方 ) 
2021/11/29 11:25 by さくらんぼ

就職希望で上位に来る公務員は、ちまたで言うようには楽な仕事ではありません。その辺りの話は、公務員が主役のドラマを観れば描かれていることが多いです。

しかし公務員に就職した者と、会社員などの民間人として働く者との間には違いもあります。

民間人に転職が多いのなら、公務員は極小だということです。

大多数の人は公務員になったら一生公務員として働くのです。前述したように辛いことは当然にありますが、辛くても転職という決断にはまずたどり着きません。それこそ、何とか気分転換して、心機一転頑張り続けるのです。

この、遮眼革をされた競走馬ように、わき目をふらずに生きていくのは、転職も視野に入れている民間人とは違う生き方なのだと思いました。

だから、この映画「スパゲティコード・ラブ」で描かれている仕事上の悩みの一部は、公務員にはあまりないのかもしれません。しかし、繰り返しになりますが、公務員には質の違う苦悩が待っているのです。

追記Ⅲ ( 満島ひかり さん ) 
2021/11/29 17:54 by さくらんぼ

映画の初めと終わりに満島ひかりさんが出てきます。なぜかキャスト名には見つけられませんでしたが、映画のエンドロールに名前(ハートマークつきで)があった記憶です。

彼女が初めと終わりに登場したという事は、かなり重要な記号なのでしょう。

初めには、ゲームセンターで一人遊ぶ彼女が写ります。何かを吊り上げようとするゲームです。これは欲望という人生を記号化したものかもしれません。夢中になっていると、突然悲鳴が聞こえます。恐る恐る声のする方へ行くと、少年が一人寝転がって叫んでいました。

メンタル性の発作だと思った彼女は、座り込んで、自分の子供のように抱きしめました。落ち着くまで。

映画の終わりには落ち着きを取り戻した子供と二人で歩いているシーンもありました。

このエピソード、もし、子どもを中心に考えると、「人生につまずいても、助けを求めれば、きっと誰かが助けてくれる」というメッセージになりそうです。

大人を中心に考えると、「成果を上げたいのなら、人生我慢が大切です」というメッセージにもなりそうです。彼女が抱きしめているのは、傷ついた自分の心(疼き出したインナーチャイルド)なのかもしれません。

あのエピソードはどっちなのでしょう。

私は両方だと思います。

そして、後者から連想したのが、公務員という生き方だったのです。

追記Ⅳ ( 東京に出ること、公務員になること ) 
2021/11/30 11:56 by さくらんぼ

田舎に住んでいる不登校の女子高生が出てきます。彼女は不登校を恥じ、制服を着て、インスタで嘘のリア充を発信し続けていました。

そんな彼女は東京にいるメル友の男に誘われ、大喜びで男の家にころがりこむのです。男は仕事につまずいたプロのカメラマンで、女はカメラが趣味でした。

男は気晴らしに誘ってみただけなので、まさか本当に出て来るとは、家に強引に入り込むとは想像しておらず、うっとうしくなって「田舎に帰れ」と言います。すると女は、「帰れないよ…ここ東京でしょ!?、田舎帰ったら、負け犬になってしまう処でしょ!?」と泣きそうな顔をしたのです。

「故郷へ錦を飾る」とか申しますが、それは現代でも生き続けているようですね。私の父も若い頃に里帰りしたときは、貧しくても、たくさんのお土産を買抱えて、せいいっぱいの見栄を張っていたようです。

ところで、「帰れないよ…ここ東京でしょ!?、田舎帰ったら、負け犬になってしまう処でしょ!?」という言葉からも、公務員を連想しました。世間の人たちが「公務員は楽な仕事」だと思っているのだとしたら、若くして公務員を辞めた人も、「楽な仕事も務まらない人」、そういう目で見られることを覚悟しなければなりませんから。

ちなみに、カメラが趣味の彼女、実はプロのカメラマンである男よりも才能があるようでした。まだ彼女はそれに気づいていませんが、男は気づいたのです。その才能を潰すか、育てるのか、それも男の胸三寸。

追記Ⅴ ( 別れぬ理由 ) 
2021/12/1 9:03 by さくらんぼ

東京に出てきた若者が極貧生活に落ち込んで、食事も満足に食べられなかったり、ホームレスになってしまったりすることがあるようで、時々TVなどで紹介されています。

それを見るたびに、私は「なぜ故郷の実家に戻らないのか」と思っていました。親子の確執もあるのかもしれませんが、年齢的にはまだ親御さんもご健在の方が多いでしょうし。そこから再出発して夢を追いかけても良いと思ったのです。

しかし、家族だけでなく、近所の人や、親戚縁者・友人知人の目も考えると、やはり「(「負け犬だ」と陰口を言われる心配があっては)簡単には戻れない」という気持ちが、働いていたのかもしれませんね。

追記Ⅵ ( これからどこへ行く? ) 
2021/12/3 10:11 by さくらんぼ

「ねぇ、みんな、これからどこへ行く?」

これはチラシにあったキャッチコピーです。

このキャッチコピーから言っても、やはり、追記Ⅱ ( 競走馬のような生き方 )に書いた、公務員のわき目をふらない生き方とは対極の世界観を描いていたように思います。

追記Ⅶ 2022.8.30 ( お借りした画像は )

キーワード「スパゲティ」から連想した「鉄板ナポリタン」でご縁がありました。美味しそうですね。少し上下しました。ありがとうございました。

熱々の鉄皿の上に、溶いた卵と、ウインナーの入ったイタリアンスパゲティが乗っています。

トマトソースの甘い酸味と、淡白な卵の、味のコントラストがたまりません。

好みによって、タバスコを(これでもか)とかけた上に、パルメザンチーズもたっぷりかけて食べます。

これも名古屋めし。

若い頃は喫茶店や勤務先の食堂でよく食べましたが、最近は食べる機会がありません。懐かしいです。



( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)



#映画感想文

この記事が参加している募集

#映画感想文

68,930件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?