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#ネタバレ 映画「リチャード・ジュエル」

「リチャード・ジュエル」
2019年作品
映画「チョコレートドーナツ」
2020/1/31 22:00 by さくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)

映画「ダーティハリー」以来、クリント・イーストウッド監督の作品には、善悪混ざり合った主人公が出てくることが多いです。

「その『わり切れない感』がどうも…」という方もいらっしゃるかもしれません。

でも、この映画「リチャード・ジュエル」は、観客も知っている冤罪(「善悪混ざり合った」は姿を変えてここに存在)を晴らす映画ですから、分かりやすく、大岡越前とか、水戸黄門ファンの方でも、喜んでご覧になれます。

巨匠の、過不足のない手慣れた作りで、安心して楽しめました。

★★★★☆

追記 ( 映画「チョコレートドーナツ」 )
2020/1/31 22:16 by さくらんぼ

映画のラスト、主人公たちが無罪を勝ち取った連絡を受けた場所は、カフェのようでした。

歓喜に震える主人公は、(ちょっと不自然に)チョコレートドーナツをかじるのです。

「ん?」と思って考えたら、

映画の最初には、主人公を弁護することになる男が、(これ見よがしに)チョコレート菓子を食べるシーンがありました。

映画の途中には有色人種系の男と同性愛だという噂が流される場面も。

その有色人種が警察に連れ去られる時には、(わざとらしく)「食事」がなんとかというセリフも入ります。

そして、主人公は品行方正、頭脳明晰ですが、どこか、(たとえば知恵遅れみたいに)少し普通ではない所を感じさせたのです。専門家ではないので断定はできませんが。

まだ、あるかもしれませんが、そんな、こんなを総合すると、この映画「リチャード・ジュエル」は、映画「チョコレートドーナツ」へのオマージュの可能性がありそうです。

追記Ⅱ ( トランクに入ったあの方の気持ち ) 
2020/2/1 9:25 by さくらんぼ

映画「ジョン・デロリアン」でもそうでしたが、容疑者(主人公)が普通に自宅で生活しています。

特に、この映画「 リチャード・ジュエル」では、マスコミが写真と実名を報道しています。有罪になれば死刑になってもおかしくない重罪人なのに。

それを思うと、日本でも、あの方が国際世論を味方につけ、日本の司法制度を糾弾しようとする気持ちが、少し見えてきます。もちろん、スパイ大作戦のような国外逃亡は、許されることではありませんが。

ちなみに、あの方にも会社を立て直したという功績はあるわけです。その善悪の混沌は、クリント・イーストウッド監督向けの題材のような気も、しないではありません。

追記Ⅲ ( 証拠の改ざん ) 
2020/2/1 9:50 by さくらんぼ

「想像した筋書き通りに、なんとしてもこいつを有罪にしたい」という警察側の気持ちに怒ったリチャード・ジュエルが、「では、私が有罪だという証拠はあるのか?」と、めずらしく声を荒げるシーンがありました。

でも、その時の警察側は「・・・」だったのです。

そうしたら、リチャード・ジュエルは「じゃあ、帰る」と言って、警察を出て行ってしまいました。まるで喫茶店から出ていくように。

その自由さに感動しましたが、もう一つ思ったことがあります。

「フロッピーディスク」の件など、日本では証拠の改ざんがありました。他の事件にも、改ざんの疑いがある証拠は複数あるようで、本当に恐ろしいことです。

追記Ⅳ ( 視点の高さ ) 
2020/2/1 16:39 by さくらんぼ

「 昔、お寺に裏山からシカが下りてきました。村人はエサを与えましたが、それを見た和尚さんは、シカに石を投げて追い払ったのです。

『冷酷だ!』と怒った村人に和尚さんは言いました。『人間に慣れたシカは、人間に捕まってしまう』と。」

( これは、どこかで読んだ話 )

もしかしたら、「知恵遅れ」というのは誤解なのかもしれません。

IQが高すぎても、周囲から浮いてしまうと言います。

二枚目でもないし、肥満体の彼を見て、周囲の人はバカにしていました。

しかし彼はKYではなく、それをよく承知しており、その上で、静かに我慢していたのです。

そして、唯一、彼をバカにしなかった男を弁護士に選びました。

彼の言動は、普通の感覚からいえば、また弁護士の感覚からいっても、少し「?」なところもありますが、それは、もしかしたら、オタク精神と、彼なりの視点の高さゆえ、だったのかもしれません。

いろんな状況で、彼の指示は、かなり適格だったような気がしますし。

追記Ⅴ ( しかたがないこと ) 
2020/2/1 20:43 by さくらんぼ

>「想像した筋書き通りに、なんとしてもこいつを有罪にしたい」という警察側の気持ちに怒ったリチャード・ジュエルが、「では、私が有罪だという証拠はあるのか?」と、めずらしく声を荒げるシーンがありました。(追記Ⅲより)

あのとき警察側が言った質問は、「爆発の瞬間、おまえは爆風の少ない裏側に移動していた。他の大勢は表にいて、大けがをしたが、お前は違った。なぜだ?」というものでした。

リチャードにとっては、痛いところを突かれた質問だったのでしょう。

彼は犯人ではないけれど、きっとIQが高く、爆弾に対する知識もあったため、半ば無意識に、裏側に避難したのでしょう。

それを警察は「犯人の証拠だ」と言いたかった。

でも、犯人ではなく「要領が良かっただけ」です。

事務所の席替えでも、(接客の苦手な者が)窓口や電話から遠い席は「あたり」で、近い席は「はずれ」だと認識するのと近い感覚のように思います。

リチャードは「あたり」の席に陣取っただけかも。

しかし、いずれにせよ、答えたくない質問に変わりはありません。

だから、「証拠はあるのか!」と声を荒げ、質問を煙に巻いて退室したのかもしれません。

いや、これは証拠のない私の邪推です。



( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 

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