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#ネタバレ 映画「マイ・ブックショップ」

「マイ・ブックショップ」
2017年作品
他人の評価は大切
2019/3/19 11:15 by さくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)

なんとなく現代の田舎が舞台みたいな雰囲気もあるのですが、1959年のイギリスが舞台です。

まだ、そこには色んな偏見もあったのでしょうね。今でもそうかもしれませんが、田舎は移住者に対して排他的なところもあるようですし。

これは、そこに毛色の違った女性が引っ越してきて、本屋を開くお話です。

街の有力者とは水と油。

生き方が下手というか、要領が悪いというか。

私も就職した直後には、先輩から似たような評価をもらったことがあるので、ヒロインには親近感がわきましたが。

純文学のタッチで、話は淡々と進みます。

ヒロインの顔が、どこか知人に似ているなどと思いながら観ていましたので、退屈はしませんでしたが、ラストには、「そう来たか…」と驚きました。

★★★★

追記 ( バイトを雇うと炎上する ) 
2019/3/19 11:45 by さくらんぼ

お手伝いの少女クリスティーンは、人生を達観したような、妙に冷めたところがあります。そして大人が好きではないみたい。

そんな彼女が出会ったバイト先の店主フローレンスですが、働くうち、どうやら、知的かつエレガントなフローレンスに惚れてしまったようです。

ですから、「あなたが死んだら、(あなたのお気に入りの)このお盆をちょうだい」と言ったのは、貴方の相続人になりたい。貴方の正統的な弟子(後継者)になりたい、という意味ではないのでしょうか。

それは、貴方を独り占めしたいという意味でもあり、劇中で重要な意味を持つと思われる本「ロリータ」と関係があるように思います。

本のロリータは「おじさんが少女を熱愛する話」のようですが、この映画「マイ・ブックショップ」は、「少女がおばさんを熱愛する話」なのかもしれません。

だからラストに、(フローレンスがクリスティーンに、「この本を読むと約束して」と言った本だけ持ちだし)本屋に火をつけてしまったクリスティーンは、フローレンスの世界を独り占めしたかったのではないでしょうか。

つまり心中です。

追記Ⅱ ( 映画「ビッグ・ウェンズデー」 ) 
2019/3/19 11:57 by さくらんぼ

(  映画「ビッグ・ウェンズデー」のネタバレにもふれています。)

>…そんな彼女が出会ったバイト先の店主フローレンスですが、働くうち、どうやら、知的かつエレガントなフローレンスに惚れてしまったようです。(追記より)

>それに気づいたBearはMattに「大人になることは辛い。でも見なさい、彼らは君のことを尊敬しているんだ(彼らの夢をこわしてはいけない)」。正確では無いかもしれませんが、概ね、そんなセリフを、温かく語るのです。( 映画「ビッグ・ウェンズデー」2015/9/11 by さくらんぼ より抜粋再掲 )

映画「マイ・ブックショップ」からは、映画「ビッグ・ウェンズデー」も連想されました。

追記Ⅲ ( 「ツタ」は語る )
2019/3/21 18:17 by さくらんぼ

「ヒロインが一人ブックショップの前に立っている」チラシの写真。

なにやら心配事があるような顔をしていますが、あれは何なのでしょう。

向かって左側の壁には、ツタが建物を縛っています。

ほんとうは、ツタは彼女を縛っているのでしょう。両手を組んで、閉じたポーズをしていますし。

この場合のツタは村の因習なのでしょう。

向かって右半分には本棚と窓の陳列棚があります。本も秩序を持って並べるものですね。秩序に縛られているのです。

そう言えば、紙と紐で本を包むシーンが、何回も意味深に挿入されていました。

それどころか、バイトの少女もヒロインに、「あなたが亡くなったらお盆をちょうだい」と縛っていましたし、ヒロインもバイトの少女に、「この本を読むんだったら良いわよ」と、交換条件を出して縛っていました。

「とかく人は縛りたがるもの」なのです。

これが主題かもしれません。

追記Ⅳ ( スカートの秘密 )
2019/3/21 22:05 by さくらんぼ

>ほんとうは、ツタは彼女を縛っているのでしょう。両手を組んで、閉じたポーズをしていますし。追記Ⅲより)

彼女のスカートは緑と黄色のストライプです。

ダメ押しに、本もスカートの前で持っています。

本屋の窓枠が緑であるように、緑は本屋の記号でしょう。

ならば黄色はツタの色かもしれません。

緑と黄色で、「ツタに縛られた本屋さん」を表していたのでしょう。


( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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