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#ネタバレ 映画「リング」

「リング」〈1998年〉
1998年作品
想定外の反則行為
2017/10/6 6:49 by さくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私の映画レビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

私は映画館で観ました。

確か映画「死国」との二本立てです。どちらも怖かったですが、「死国」は怖いというよりも哀しい映画でした。

しかし、映画「リング」は情け容赦のない恐怖映画でした。それは「全身にゾクゾクと鳥肌が立つ」もの。

特にTVから抜けだして来るのは想定外の反則行為です。あそこで観客はパニックになったはず。

近くにいた若いカップルの女性など、映画「リング」が終わった直後、もう一本を観ずに「もう、帰ろ…」と、彼にぐずりだしていたのを覚えています。

もし私が彼女の立場なら、帰ってくれない男なんて「減点1」にします。

★★★★★

追記 ( 布をかぶった男 ) 
2017/10/6 9:14 by さくらんぼ

映画「リング」のザラザラとしたビデオ画面の中に、①「頭に白い布をかぶって(だから顔が見えない)、井戸か何かを片手で指さしている、男性らしき人」が、一瞬だけ出てきます。

他では観たことの無い、意味不明で奇妙な映像は、もしかしたら、この映画の中で「もっとも気味の悪いもの」だったのかもしれません。

あれからずっと心に引っかかっていましたが、最近観たTVから解釈が出来たような気がしました。

何のドラマだか忘れました。もしかしたら映画「容疑者Xの献身」だったのかもしれません。警察に捕まった「容疑者が現場検証に立ちあうとき、犯行現場を指さしているところを警察から写真に撮られる」シーンがあったのです。私は「あっ、これか!」と思いました。

つまり映画「リング」は、超能力者が、世間様からイカサマ師とか、悪魔扱いされて、自殺したり、殺されたりした事が悲劇の発端になっています。その加害者の記号として①の男が出てくるのでしょう。つまり①とは、これから死刑判決を受ける被告なのです。

映画を観る者の多くは、「あんな超能力など存在しない」と思っている世間様の一部なので、無意識に他人事ではなくなるのです。

もし超能力を信じていても、人生に後ろめたいことなど何もない「清廉潔白な人」など少ないはず。映画はその「良心に宿る微かな痛み」に切り込みます。

それが映画「リング」の、恐怖の深層にあるスパイスなのでしょう。その他人事ではない記号として貞子が「TV画面から出てくる」のかもしれません。

つまり、あの白い布をかぶった男は、私であり、あなた方だったのです。

追記Ⅱ ( 差別 ) 
2017/10/6 9:25 by さくらんぼ

映画「ドリーム」の中でエンジニアをめざしたメアリーの言葉。

「私たちが成功しそうになると、ゴールをずらされる」。

追記Ⅲ ( 昭和の名残 ) 
2017/10/6 9:47 by さくらんぼ

そう言えば、あの当時、映画館には大きな看板がかかっていました。この映画でも二本分のホラーの看板が劇場の上部に設置され、50メーター先からでも、それを楽しめました。

そんなものを眺めていると、わくわくして、観に行きたいと思うものです。映画も二本立てでしたし、古き良き時代でした。

すでに世は平成でしたが、今思うと、あれが「昭和の名残」だったのかもしれません。

追記Ⅳ ( オープニング・クレジット ) 
2017/10/8 9:12 by さくらんぼ

映画「リング」のオープニング・クレジットには、たぶん伊豆大島への連絡船であろう船から見た、①「流れゆく夜の波」が延々と流れます。

そしてBGMには、②「何かの音楽テープを低速で逆回転したような、気持ちの悪い音」が付いていました。

あれは数ある映画の中でも特筆出来るほど逃げだしたい、気味の悪いオープニングですが、共感覚的にも①と②には違和感が少ないので、監督はさりげなく、なかなかの仕事をしているのだと思います。

ちなみに、日頃、私たちが音楽を選ぶときは、今の気持ちにフィットするものを選ぶわけです。ロックだったり、バラードだったり…だからビタミン剤のように心身の栄養になります。

逆に言えば、フィットしないものを長期にわたって与え続ければ、「病は気から」ですから、健康を害する可能性もあるのかもしれません。



( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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